国内の各地でバイオマス発電所で建設されていると聞く。その形態も様々あるのだろう。地元の間伐材を利用したものもあれば、海外からの木材チップや南国のヤシ殻を利用して行うバイオマス発電もあるという。わざわざ輸入するくらいなら、現在の化石燃料の利用と変わらないような気がする。ただ、そのカテゴリーが再エネか否かの違いではなかろうか。
たとえば、ヤシ殻。主要産地はインドネシアやマレーシアなのであろうか。
そのインドネシアも2025年からは、主力の石炭火力発電を再エネへ転換が進めるという。地元で需要があり活用されるのであれば、そちらを優先すべきではなかろうか。わざわざ二酸化炭素を排出してまでそれを運んでくる意味があるのだろうか。
宮城県仙台市に建設中のバイオマス発電所がある。2023年の稼働開始だという。この発電所では、燃料に北米産を中心としたペレットやインドネシアやマレーシア産のヤシ殻(PKS)を年間約31万トン使用する予定という。
佐賀県唐津市でも、新しいバイオマス発電所の建設が始まったという。この発電所は2024年に稼働を始めるそうだ。そして、ここでも燃料に、ヤシ殻などが利用されるという。
EUは 2021年1月に、「森林バイオマスはカーボンニュートラルではない」ということを認める趣旨の報告書を発表した。
WWFはこの報告書をもとに、「バイオマス発電は本当に推進すべきか」と疑問を投げかける。
欧州委員会は、2021年1月25日に発表した報告書『The use of woody biomass for energy production in the EU』の中で、ほとんどの森林バイオマス(主に木質ペレットなどの木質バイオマス燃料)は、石炭、石油、ガスよりも多くの温室効果ガスを排出すると結論付けました。
また、欧州委員会の委託を受け、この報告書を手掛けた共同研究センター(JRC)の調査では、対象とした24のシナリオのうち23のシナリオにおいて、バイオマスが気候や生物多様性、あるいはその両方に悪影響を及ぼしていたことが示されています。 (出所:WWF Japan)
日本経済新聞によれば、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が確認した内部文書では、「欧州委が、木材や有機性廃棄物を原料とする可燃性ペレットを使うバイオマス電力を再生可能エネルギーとみなすかどうかの基準となる「持続可能性基準」の厳格化を提案する予定だ」という。
内部文書は、「ノーゴー・エリア」と呼ばれる多様性の高い原生林からの木材は「再生可能」と認めるべきではないとしている。 (出所:日本経済新聞)
環境活動家らは木材を原料とするバイオマス電力はすべて再生可能エネルギーの分類から除外すべきだと訴えているそうだ。この先、欧州で「バイオマス発電」の規制に関して何か動きがあるのだろうか。それによって、国内の「バイオマス発電」にも影響は出てくるのだろうか。
やみくもにバイオマス発電に反対という気はない。持続的に森林資源が活用されるのであれば、バイオマス発電の有効性もあるのだろう。そのための日本独自のバイオマス発電の基準があってもいいのではないではなかろうか。また、必要に応じ、バイオマス発電の導入目標も見直されるべきなのであろう。
森林保護と持続的な森林活用は親和性があるのかもしれない。バイオマス発電はその中に限って活用されるべきなのだろう。当然ながらその場合であっても、温室効果ガス排出量を厳格に再評価しなければならない。
日本の国土の約7割を森林が覆っているという。そこで光合成が繰り返されることで、二酸化炭素が吸収され、カーボンオフセットされているのだから。