日経BPが先日、「第3回ESGブランド調査」の結果を公表しました。企業のESG(環境・社会・ガバナンス)活動に対するイメージを調べたもので、トヨタ自動車が3年連続で総合首位を堅持し、2位にはスターバックス コーヒー ジャパンだったといいます。また、3位はパナソニックで前回の13位から3位にV字回復したそうです。
日経BPによれば、この調査ではESGの要素である「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」に加え、良い会社のイメージとして「インテグリティ(誠実さ)」の4項目を調査対象とし、主要560の企業ブランドを対象にして、一般の消費者やビジネスパーソンにインターネットを介してアンケート調査しているといいます。
今回で3回目となり、トヨタ、スターバックス、イオン、サントリー、花王の5社が毎年トップ10入りし、ESGブランドとして根強い強さを維持しているそうです。一方で、上位ブランドのESG指数は相対的に下がり、企業のESG活動のすそ野が広がり、偏差値で大きな差がつきづらくなってきているといいます。
地域コミュニティに根付くスターバックス
この調査で2位にランクインしたスターバックスは「S: 社会」で1位を維持し、「E: 環境」が5位から4位へ、また、「G: ガバナンス」では6位から5位へと順位を上げたといいます。
ESGブランド調査でトヨタを猛追、スタバの強みは地域との協働:日経ビジネス電子版
1位を維持した「社会」では、スタバは地域コミュニティとの協創を重視し、店舗開発でも地元の木材などを使った家具を利用することにこだわっているといいます。
また、店舗で使う電力もエシカルであるべきという方針から、コーポレートPPAなどで一括契約するのではなく、各地域の特性に合わせた調達を進めているそうです。日本各地にある再生可能エネルギーを丹念に調べ、地域経済と環境の双方が豊かになるものを選定しているといいます。
揺れるESG投資
こうしたほっこりする「ESG」の活動がある一方で、「ESG投資」は最近揺れているようです。
ロシアのウクライナ侵攻によって生じたエネルギー危機が背景にあり、また、政治絡みもあって「アンチESG」の動きも米国であるようです。
インパクト投資がアンチESGで打撃-米国で「制限」される恐れ - Bloomberg
米国が中間選挙に向かう中、フロリダ州のデサンティス知事ら著名な共和党政治家は、ESGをあざけりの対象としており、有権者に対し、投資やビジネスを行う際にESGのリスクを考慮に入れることは反米的だと主張している。(出所:ブルームバーグ)
資産所得倍増とNISA
一方、日本では、「資産所得倍増プラン」を岸田首相が掲げ、NISA「少額投資非課税制度」の拡充策を検討しているといいます。ただ首相は当初「所得」倍増といっていたのに、突然「資産所得」に変わった経緯もあって反発もあるようです。
<社説>資産所得倍増 将来不安払拭が先決だ:東京新聞 TOKYO Web
政府が検討するNISA拡充策は、投資信託や株式への個人投資を対象とする非課税制度の恒久化や上限額の引き上げ、投資層を「全世代的に」拡大するのが狙いといいますが、年金不信や、賃金が上がらないことへの将来不安が要因で家計資産は貯蓄に偏っているといいます。
この不安を払拭せず、家計にだけ先行して、自己責任を伴う投資へ誘導するのは、政治の無責任と言わざるを得ない。(出所:東京新聞)
政府を擁護するものではなく、主張が理解できないものではないですが、一方的に批判するのはどうなのでしょうか。
これを機にし「ESG」を学び直して、自分が応援した企業を選んで、投資するか否かを検討して見てもいいのかもしれません。もちろん投資にはリスクはあります。無理のない範囲で応援して、それによって好ましい未来を手繰り寄せるのも悪くはないのかもしれません。
物価高騰など諸々の影響で景気減速の懸念があり株価が下落しています。歴史を振り返れば景気がずっと底辺に張り付くことはないようです。どこかで回復に向かうはずです。そのとき、より良い環境にしていこうと思うなら、ESGを基準にしてみてもいいのではないでしょうか。
「参考文書」