SDGsやESGが一般化してきたのでしょうか。それに呼応するかのように、「名ばかり」「ウォッシュ」、そんな言葉も頻繁に聞くようになってきました。
ロイターによると、「ESG投資信託」について、金融庁が今夏にも実態把握に乗り出すといいます。投資信託を管理する資産運用会社や販売会社への聞き取り調査を実施し、問題がある場合は是正を促すそうです。
実態把握の結果を踏まえ、金融庁はESG投信のルール整備も検討し、年度内にも「ESG」の名称を冠する際の定義や基準について方向性を示すことを視野に入れているといいます。
多くの企業が脱炭素計画を開示するようになり、すべてがESGに該当するのかといえば疑問も沸きます。一定の基準、定義があった方がよいのかもしれません。
銘柄選びの基準が不透明な「名ばかりESG」もある、運用成績が必ずしも良いとは言えず、金融庁は目を光らせていると朝日新聞が言います。
アセットマネジメントONEの投資信託商品「未来の世界 ESG」。この人気投信に金融庁が昨年12月、疑問を呈したそうです。
「より丁寧に銘柄選定の基準などを説明すべきではないか」。
組み入れ銘柄が既存投信の「未来の世界」と9割も重なり、それらがESGにどう取り組んでいるのか不透明。「名ばかりESG」とも見える商品性に対する異例の注文だった。 (出所:朝日新聞)
GPIF年金積立金管理運用独立行政法人の前経営委員長平野英治氏がブルームバーグのインタビューに答え、ESG投資に対してコメントしています。
「今はESGバブルのよう。光と影を過不足なく認識することは大事」
政府が気候変動問題に力を入れ始めたこともあり、GPIFは本来の姿に戻り、「本当にESGはもうかるんですか」といった分析が必要だと語った。ESGを巡る基準の標準化についての検討も必要だと主張した。 (出所:ブルームバーグ)
ブルームバーグによると、GPIFの運用資産約178兆円のうち、ESG指数に連動するのは外国株対象も含め約7兆円だそうです。
金融庁の動きが気になります。
「ソーシャルボンド検討会議」が継続的に開催され、ソーシャルボンドの発行に当たってのガイドラインの策定が検討されています。
この他にも、金融審議会では、「企業情報の開示のあり方に関する検討」なども検討され、ESG要素を含む中長期的な持続可能性に関する開示の充実などについても議論されているようです。
外堀が埋まれば、ESG投資、ESG投信などについても定義しやすくなるのかもしれません。まずは一度整理した方がよさそうです。
宮城県登米市でバイオマス発電所の建設が計画されているといいます。事業を企画するのは東京の都市開発研究所。地域住民が清流の水質悪化を懸念しているといいます。
こうした案件を進める事業者はESG投信の対象となるのでしょうか。
また、アマゾンや楽天などはどうなのでしょうか。どちらもサスティナビリティには積極的な印象があります。
「名ばかり」「見せかけ」とは何かもわかるようになるといいのかもしれません。