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【グリーンウォッシュを防ぐために】企業のESGは誰が先導すべきなのだろうか

 

 ESG関連のニュースが増えています。市場が巨大化し、それだけ注目が集まるようになったのでしょう。 

環境や社会課題、企業統治などESGの課題は重大な経営リスクとなっている。投資家たちは企業にその改善要請を強めていると、日本経済新聞はいいます。

投資先企業に対策の強化を促すことでリスクを減らし、リターンを確保するのが狙いだ。 (出所:日本経済新聞

ダイベストメント

 日本経済新聞によると、英資産運用大手リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は6月15日、中国工商銀行や米AIGなど4社をダイベストメント(投資の引き揚げ)の対象に加える方針を明らかにしたといいます。気候変動によるリスクへの対応が不十分なことが理由のようです。

 

投資家圧力

企業にとって圧力ともとれるが、投資家の声にきちんと耳を傾け、自社の課題を解決すれば、企業価値を高めることができる。 (出所:日本経済新聞) 

www.nikkei.com

「投資家の要求水準はさらに高まることが予想される」と日本経済新聞は指摘します。実際、大手監査法人プライスウォーターハウスクーパースPwC)の調査では、世界のアセットオーナー300機関が、今後ESGに配慮しない商品への投資をやめると77%が回答したといいます。

 単純な疑問なのですが、その投資家たちの要求は常に正しいのでしょうか。

 気候変動リスクの開示を義務か = 金融庁

 金融庁が企業の気候変動リスクの開示を義務付ける方向で検討を始めるといいます。

 日本経済新聞によると、上場企業や非上場企業の一部の約4000社が提出する有価証券報告書に記載を求める議論を始めるそうです。

法的な拘束力を持つ有報で一定のルールに基づく開示を義務付け、企業の取り組みを加速させるとともに、国内外の投資家の判断材料として役立ててもらう。早ければ2022年3月期の有報から開示を義務付ける可能性がある。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 義務化されれば、「グリーンウォッシュ」なる企業の愚かな行為の根絶にもつながっていくのでしょうか。

就活生たちの視点

エシカル就活」という造語をキーワードにして就活プラットフォームをつくった若者がいるといいます。自身の就活の経験を活かしているそうです。

 社会課題の取り組みなどを軸に企業探しをしていたといいますが、うまく見つけ出すことができなかったといいます。就活サイトを見ると業種・業態や「働きやすさ」などがPRされているばかりで、自分が取り組みたい社会課題に企業も取り組んでいるのか情報が少なすぎてわからないと感じたそうです。

withnews.jp

SDGsウォッシュ」という言葉があります。

その対策として、情報の透明性を高めることが必要で、企業のやろうとしている取り組みを開示させることが必要なんです。

たとえば「里山に植樹しています」というPRの裏で、石炭火力へ投資しているような。マイナスの部分を隠してプラス部分だけ情報開示しているのってフェアじゃないですよね。その議論さえ起こらないのが、ずるいなぁと表しまいます。たとえば女性の管理職比率も、2030年までに2%から20%までにしていきたいと言っても、今の「2%」を隠して目標だけに開示するといった問題です。 (出所:withnews)

 そう話すのは、大学生起業家・勝見仁泰さん。

 周囲のZ世代と話すと、企業ができていないことを無視することがおかしいというそうです。

 だからエシカル就活の外圧によって、「情報開示して企業が変わっていかないと、淘汰されていく」という危機感をあおることも大切だと勝見さんはwithnewsのインタビューに答えています。

 ミスマッチ

 投資家も就活生も規制当局も、みなが同じことを感じているのでしょうか、それぞれが同じように企業に情報開示を求めています。

 一方、企業の受けとめはどうなのでしょうか。結構、自分たちは情報開示していると思ったりしているのではないでしょうか。その仕事に携わり、精通すればするほど、みなも知っている、わかっているはずとの勘違いが起きたりするものです。

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 みなが理解できるようにストーリー立てて、論理的に説明できないと、企業が取り組もうとしている全容は理解されることはないのかもしれません。その道に長けた専門家には通じる言語も、投資家や就活生には通じないこともあるのでしょう。

 企業でESGを推進する主体は事業部門なのかもしれませんが、人事、広報、PR、財務、経営管理など間接部門の関わりが今まで以上に重要になってきているのではないでしょうか。また、それがESGで求める企業統治ということであるのかもしれません。