日本銀行は、気候変動対応に取り組み、一定の開示を行っている金融機関を対象に、その取り組みの一環として実施する投融資をバックファイナンスする新たな資金供給制度を導入、年内を目途に実施すると発表しました。
「債券市場ではグリーンボンド(環境債)をはじめとするESG(環境、社会、企業統治)ファイナンス市場の拡大につながると評価する声が聞かれる」、とブルームバーグは報じています。
日銀は気候変動対応オペで、グリーンボンドとローン、環境や社会的目標の達成状況で利率などが変わるサステナビリティー・リンク・ボンド(SLB)とローン、脱炭素移行への取り組みを支援するトランジションファイナンスに係る投融資を対象に、利率ゼロ%で貸し付ける。
当座預金への付利による優遇措置では貸出促進付利制度の中で最も低い0%を適用。それでも金融機関のマイナス金利の負担は軽くなる。 (出所:ブルームバーグ)
ここ最近、ESG債起債のニュースが増えているようです。こうした日銀の動きをいち早く取り入れようとのことなのでしょうか。
ヤフーを傘下にもつZホールディングスは7月末までに、環境に配慮した事業に資金用途を限定したグリーンボンド「環境債」を発行、200億円を調達すると発表しました。
日本経済新聞によれば、ネット産業ではデータセンターの消費電力の増加が課題になっていることから、省エネルギー型のデータセンターの建設や改修、再生可能エネルギーの調達に使用されるといいます。環境債の発行は国内のネット企業では初めてだそうです。
東京建物は、資金使途を環境・社会の持続可能性に貢献する事業に特化した社債「サステナビリティボンド」を初めて個人投資家向けに発行するそうです。
調達した資金で省エネルギーや持続可能性に配慮した4つの完成済み物件の建設費を借り換えると、日本経済新聞はいいます。
どちらも、第三者外部評価(セカンドパーティ・オピニオン)を得て、お墨付きのESG債として発行するようです。
「資金を供給する以上、日銀として気候変動やグリーンファイナンスとは何か、定義があってしかるべきだ」、「企業の情報開示も重視することで「グリーンウオッシュ」をなくす方向に持っていってもらいたい」、BNPパリバ証券の中空麻奈チーフESGストラテジストが、日銀の新たな取組について、そう述べたとブルームバーグは伝えます。
極めて重要なことなのでしょう。
日本銀行は、「コーポレートガバナンス・コードの改訂を踏まえた気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等に基づく開示の質と量の充実を、金融機関に対して促していく」と述べています。奇をてらうことなく、愚直に対応してもらいたいものです。それが気候変動時代の中央銀行の役割でもあるのでしょう。
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