Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【格付けと気候リスク】活発化する企業のサステナビリティ、高まる災害リスク

 多くの企業がSDGsサステナビリティを打ち出し、それを大々的に広告するようになりました。これで社会が健全な方向に向き、様々な社会課題が解決に向かうのかといえば、そういう実感を感じることができません。

 暑すぎる夏のせいなのでしょうか。強い勢力を保ったままのろのろと迷走する台風6号によって生じる被害に未来を見るような気分になるからなのかもしれません。

 それとも活発になった企業の取り組みが先々に大きな花を開かせ、画期的に気候変動の影響が弱まり、安心をとり戻していくことに寄与できるのでしょうか。

 

 

格付けと気候変動

「ESG」も少々商業主義的色彩を強め、胡散臭さを感じるようになりました。色々な面で少々過剰になっているのかもしれません。

 格付け会社によってソブリン債などが格付けされますが、それにブルームバーグが疑問を投げかけます。

サブプライム見誤った格付け会社、気候リスク評価で再び非難浴びる - Bloomberg

 記事によれば、短期的な格付けシステムで潜在的な気候関連の損失を過小評価している可能性があるとし、それが非難されているといいます。

46日連続でカ氏100度(セ氏約38度)の猛暑に見舞われ、沿岸の海水温が浴槽の水温に近づいている米マイアミ市の状況は、地球温暖化の影響を示す明白な事例に見えるかもしれない。だがS&Pグローバルのアナリストは心配していない。(出所:ブルームバーグ

 格付け会社S&Pは、強固な税収基盤と労働市場を理由に、マイアミ市の信用格付けを引き上げたそうです。環境リスクの「高まり」は、海面上昇対策などの緩和プロジェクトによって相殺されるとみているといいます。

新たな研究

 米国の国債が格下げとなり話題になりました。その背景には、増大する米国の政府債務に加え、政治的な対立があるそうです。こうしたことはこれまでに蓄積されてきた経験からも適正に判断、格付けに活かすことができるということでしょうか。

 しかし、未経験な気候変動を考慮することは難しいことなのかもしれません。それでもこうした新しい問題が生まれれば、それを研究する新たな専門家も誕生するようです。

 記事によると、気候変動が経済成長やソブリン債市場に及ぼす影響を研究している人がいるそうです。

 学術誌「マネジメントサイエンス」に掲載予定の論文で、損失シナリオを複数作成しているそうです。

保守的で排出量が少ないシナリオ下で気候リスクを適切に計算した場合、30年までに58のソブリンの格付けが「下方プレッシャー」を受けることになる。チリやインドなどが最も大きな打撃を受ける。影響を受ける国の年間利払いは、穏健なシナリオで670億ドル、もっと極端なシナリオだと2030億ドルまで増加する。(出所:ブルームバーグ

 

 

リスク

 日本国債やエネルギーや保険など日本企業のリスクはどう評価されるのでしょうか。

 毎年のように豪雨など激甚災害が発生し、大規模な停電が発生したりするなどしてインフラは痛み、また、住宅にも甚大被害を引き起こしています。時に死者も出るような災害が頻発するようになりました。その復旧には莫大な費用を必要となるのも現実です。

 こうした事態を想定して、日本政府が本気になって現実的に気候変動に取り組むべばよいのでしょうが、そうなっているとは思えないような言動が続いています。

 サステナビリティが現実問題となるのにはまだまだ時間を要すことになりそうです。その間にますますリスクは高まり、災害もまたどんどん増えていくことになるのかもしれません。

 

「参考文書」

海水温が史上最高を更新、地球環境に厳しい影響 - BBCニュース