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【日銀が意識し始めた気候変動】ESG投資指標に「無印」の良品計画が初めて選出される

 

 日本銀行金融政策決定会合で、気候変動に関連した民間金融機関の投融資を支援する新たな資金供給制度を創設することを決めた。

日本銀行は、気候変動関連分野での民間金融機関の多様な取り組みを支援するため、金融機関が自らの判断に基づき取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給の仕組みを導入することが適当と判断した。 (出所:日本銀行

 日本銀行によれば、この新たな仕組みは、成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けられる、同制度の終了を待たずに、年内に実施されるそうだ。その骨子素案は、7月の金融政策決定会合で公表される予定だという。

 

 

 ロイターによれば、気候変動リスクが中長期的に経済・物価・金融情勢にきわめて大きな影響を及ぼしうるとみて、民間を支えることが長い目で見たマクロ経済の安定につながると判断したという。

jp.reuters.com

 市場では、資源配分や市場中立性の観点から日銀の金融政策と気候変動問題には距離があると見られてきたが、日銀は気候変動リスクに金融政策面から対応する方針に舵を切ったという。

 日本経済新聞によれば、黒田総裁は記者会見で、新制度が金融機関の投融資を促し「企業のニーズにも合う」と、その意義を述べ、長い目で見て物価の安定という中央銀行の使命に資するとの考えを強調したうえで、金融政策面から民間の気候変動対応を支援する「新たなアプローチだ」とも語ったという。

 また、「金融政策以外も含めた日銀全体の気候変動に対する取り組み方針も検討している」と明らかにしたそうだ。

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 米国では、 FRB連邦準備理事会が大手銀行に対して、気候変動リスクがバランスシートに及ぼす悪影響を最小化するための対応策に関する情報提供を始めるよう、非公式なルートで要請しているそうだ。

 ロイターによれば、FRBの銀行監督部門は既に大手行との非公式協議の場で、特定の気候変動シナリオ下での貸し出し資産の動きを把握する方法について、詳しく説明するよう促しているという。

jp.reuters.com

 FRBは今のところ、収集したデータを追加の資本上積みやその他の規制措置に結び付ける考えは打ち出していないそうだ。

 ブルームバーグによれば、欧州では、イングランド銀行が、社債の買い入れでは発行体の気候変動問題への取り組みを考慮すると表明し、ECB欧州中央銀行のラガルド総裁は環境に優しい経済へ移行するEUの取り組みを支持する姿勢を示しているそうだ。

 

 

 他方、国内では「年金基金」のESG投資の取り組みが進まず、他国と大きく異なっているとブルームバーグは指摘する。 

 欧州などESG先進地域では年金基金が率先して長期投資重視の方針を表明、それに沿って運用会社が投資する流れだという。

www.bloomberg.co.jp

 国内の年金資産は約414兆円。年金加入者の間で運用方法に対する意識が高まってきていることを考慮すれば、GPIF以外の年金基金などもESG投資に舵を切ることが求められているという。

 日銀が動くことで、年金基金も動きやすくなったりするのだろうか。

 

 

 無印良品良品計画が、ESG投資指標「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に初選出されたという。

FTSE Blossom Japan Index」とは、ESG(環境、社会、ガバナンス)について優れた対応を実践している日本企業のパフォーマンスを測定するために設計され、そのインデックスは、業種の比率が日本の株式市場と同等になるように構築されているという。銘柄の組み入れは国連の持続可能な開発目標(SDGs)を含む既存の国際基準を基に作成されたルールに基づいているそうだ。

ryohin-keikaku.jp

 良品計画によれば、公的年金であるGPIF 年金積立金管理運用独立行政法人 のESG投資の株価指数として「FTSE Blossom Japan Index」を採用しているという。

 気候変動をはじめとする環境のこと、SDGsをいつまでも意識高い系とか、言っている場合ではなくなっているのだろう。身近な商品やお金が、どんどん、ごく普通にそうしたことを考慮するようになってきているようだ。知らないと損することになるのかもしれない。