ここ最近ではESG(環境・社会・ガバナンス)投資の流れが加速とのニュースをよく見るようになった。気候変動問題やコロナ渦で拍車がかかっているともいう。お金の流れに変化があったりするのだろうか。
投資と聞くと、リスクもあり難しいものだとの意識が働く。しかし、そうも言ってはいられないようだ。
日経スタイルは、過去からの金融商品の規制緩和を解説し、個人における投資の重要性を説く。その一例として企業年金制度を挙げる。終身雇用が過去のものになりつつある中、確定拠出年金制度への移行を指摘し、投資信託の知識も必要になるという。
この制度(定拠出年金制度)を利用するのであれば、加入者が積立商品を選ぶ必要があるため、積立商品の大半を占める投資信託についての知識が不可欠です。
将来設計に欠かせない金融商品や保険商品を選ぶ難しさともつながる話ですが、難しいからと避けてはいられないほど、すでに投信という商品とは付き合わざるを得ない状況になっているのです。 (出所:日経スタイル)
投資信託といっても様々だ。株式や債券、不動産に先物商品など様々なものを対象にする。それゆえ、投資信託もESG投資とは無縁ではない。
改善する国内企業のESGスコア
日本経済新聞は、日本企業のESGの格付けが改善してきているという。
それによると、米評価会社MSCIによる格付けで「A」以上を得た企業の比率が全体の49%と前年同月比7.6ポイント高まり、4年連続で改善しているという。年金基金を中心にESGを考慮に入れた投資が進むなか、企業側は持続的に成長できる経営体制の構築を急いでいると指摘する。
それでもまだ約半数に過ぎない。残りの半数の企業は、相対比較すれば、「環境」や「社会」への関心が低いということなのだろうか。
日経BizGateは、「投資マネー」が脱炭素への取り組みで企業を選別する動きを強め、また、新型コロナの影響で、サステナブル(持続可能)な社会実現を目指す「ESG投資」への関心は高まる一方だという。
自然環境の激変や社会問題の深刻化は、企業の経済活動を左右しかねません。社員の雇用維持も企業存続に関わってきます。
株主や顧客、地域社会などステークホルダーとの関係向上、周囲との関係改善による情報の非対称性の解消、反社会的活動を招きかねない事態の排除を通じて、企業活動のリスク軽減やサステナビリティー(持続可能性)向上を促し、結果的に企業価値向上や資金調達コストの低減につなげるのが特徴です。 (出所:日経BizGate)
少々まどろっこしい表現だ。このコロナ渦や異常気象による被害がみれば、火を見るよりも明らかなのかもしれない。それは、社員の雇用ばかりでなく、企業存続にも関わるようなってきている。
大手ばかりでなく、中堅企業やスタートアップも「ESG投資」のことを理解していくことが求められているのだろう。
企業からのメッセージを知る
それは、従来の延長線で単に事業活動を行うのではなく、また、CSR活動のような社会貢献活動だけでもなく、「ESG」に真摯に取り組まなければ、資金調達にも影響を及ぼすということなのであろう。資金調達は企業運営の生命線だ。お金が回らなければ、結局は給与支払いにも影響がでてくる。
今のJALやANAなど航空業界をみれば、そのことがよく理解できる。コロナで売上が激減する中、雇用維持のために劣後ローンまで組む。そうした状況でも、コストアップになるかもしれないが、バイオ燃料の定期便での使用を決め、事業における脱炭素化も強化する。
日経BizGateは、「社会課題の解決に向けて、企業自身が投資を誘うメッセージを出していくべきだ」という。
従来、資金調達というと財務とのイメージがあった。もうそういうときではないのかもしれない。広報やマーケティングはもちろんのこと、社員一丸になって対応していかなれば、仕事を守ることも、ますます厳しくなるということなのかもしれない。
個人の将来設計にも活かすために
ESG投資や投資信託などとうまく付き合うことを今求められ始めているのだろう。
今回のコロナ禍では、一部のESGスコアで高い評価だった業種に属する銘柄の株価下落率は相対的に小さかったといえます。
しかし例外も多かったのです。
単純にESG投資だからといって必然的に高いパフォーマンスを生み、リスク耐性を持つわけではないのです (出所:日経BizGate)
それは、個人の裁量で将来設計ができるようになってきているということも意味しているのかもしれない。
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