Up Cycle Circular’s diary

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【SDGsとネイチャー・ポジティブ】自然と生物多様性保全を目指すTNFDが立ち上がる

 

 2050年のカーボンニュートラルの達成が国家の目標になり、ESG投資がさかんになったと聞けば、SDGsも2030年の目標達成に向け順調なのかというと必ずしもそうではないようである。

 たとえば、生物多様性も、その世界目標(愛知目標)から大きくかけ離れた結果になっている。

 あたりまえのように、どの企業もSDGsに取り組み、SDGsの17の目標の何かしらの目標に貢献するものだと思っていたが、なかなかそうはいっていないのかもしれない。

 

 

SDGs経営」の重要性を、今になって改めてForbesが説いているのもその証なのだろうか。

トヨタも急変貌!10年後に潰れないための「SDGs経営」とは | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

SDGsは、経営の4要素である「ヒト・モノ・カネ・情報」すべてに関連する目標だ。そのためSDGsに即した企業経営をすることが求められる。

いわゆる「SDGs経営」である。

SDGsのゴールは、企業統治や環境課題への対応のみならず、働き方改革、優秀な人材の確保・採用、消費者対応、マーケティングブランディング、地域社会なども網羅するものだ。(出所:Forbes)

SDGs経営」のメリットは、対外的には「企業価値を高め、国際競争に打ち勝つことができる」こと、そして社内では、「社会問題解決型のイノベーションが期待でき、従業員のモチベーション向上にもつながる」とForbesは指摘する。

 胡散臭い気もするが、間違いではないのだろう。こうした提言があることは、SDGsにまじめに取り組んでいる企業がごくわずかということなのだろうか。

 

 

 今年のG7サミット主要7カ国首脳会議では、「2030年自然協約」が採択されたという。

 生物多様性が失われている中で、30年までに自然の損失を反転させ、「ネイチャー・ポジティブ」にすることを宣言したそうだ。

 日経ESGによれば、そのためには森林や農地、海洋などの自然資源の利用を持続可能なものへと移行し、金融界と産業界が「自然資本」に十分投資することが重要としたという。

 世界の陸地と海洋の30%以上を保全・再生することも盛り込んだ。

この30%には企業が管理する緑地や漁業管理地域など「民間と連携した自然環境保全(OECM)」も含まれ、企業による生物多様性配慮の活動を後押しする内容になっている。 (出所:日経ESG)

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 国連が昨年9月に、生物多様性保全の愛知目標の報告書を公表した。

10年前に世界で結んだ、生き物守る「愛知目標」未達…課題と成果振り返る|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 それによると、森林伐採面積は減少がみられ、陸・海の保護面積は拡張されたという。しかし、生態系が失われていく状況を好転させるには不十分だったと指摘した。

個別目標のうち企業活動に関連する目標4「持続可能な生産・消費」については、乱獲や乱伐を防ぐ「行動や計画」は改善したが、自然資源の使用を減らすまでには至らなかった。目標8「汚染抑制」はプラスチックによる海洋汚染の深刻化が指摘された。 (出所:ニュースイッチ)

 

 

「企業が事業活動を通して自然にどれだけ依存し、影響を与えているかを把握し、その情報を開示する」。

「TNFD」発足、運用資産総額940兆円の投資家が参加 | 日経ESG

 その枠組み作りのため、サミットの前日に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が正式に発足したという。

「TNFD(Task Force for Nature-Related Financial Disclosure)」の主要なテーマは、自然と生物多様性保全。金融界においてもこれらが、今後の企業評価と、投資を判断する重要な視点の一つになるという。

ポスト・コロナの金融をリードする「TNFD」の視点 |WWFジャパン

 多くの金融機関や企業などが「TCFD気候関連財務情報開示タスクフォース」に賛同し、気候変動に関連したリスクと機会にかかわる4項目「バナンス」、「戦略」、「リスク管理」と「指標と目標」の情報を開示するようになったといわれる。それだけ地球温暖化、気候変動への関心が高まったということなのだろう。

 また、それに類似して、TNFDが立ち上がれば、SDGsを網羅する範囲がさらに広がっていく。必然、SDGsにも紐づきそうなものだが、そうなっていかないのだろうか。

 兎角、これはこれ、あれはあれとなりがちである。SDGsSDGs、情報開示は情報開示、経営は経営となってしまうのだろうか。それらが有機的に結びつくことはないのだろうか。それでもSDGsへの関心が高まっているという。不思議なことである。