Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」と「安心・安全」

 

 けたたましく鳴り響くサイレンの音。雷雲が近づくと退避せよとの合図だ。シンガポールのゴルフ場でのこと。しばらくすると、驚くような雷がやってくる。その雷光と雷鳴に圧倒される。赤道直下熱帯地域の稲妻は半端なく凄まじい。

 サイレンがなると、近くの屋根のある休憩所に退避する。恐怖を感じているものの仲間がいるから気がまぎれる。無意識下で高校生1年生頃の恐怖体験を思い出し、それが雷への恐怖になっているのかもしれない。

 

 

 

 標高2900m、北岳山荘はそんな高さのところにある。日本で2番目に高い山 南アルプス北岳の鞍部に位置する。高校に入学して初めての夏山山行、3泊目の出来事。北岳山頂からその日の幕営北岳山荘に向けて下山を始めると、積乱雲がもくもくと沸き始めた。山荘前にテントを張ってしばらくすると、物凄い夕立になった。轟く雷鳴と雷光、テントを吹き飛ばさんばかりの猛烈な風、そして強烈な雨。テントが吹き飛ばされないように、みんなで必死に支柱をおさえたり、ある者はテントの外に出て、テントの回りに溝を掘り、水の侵入を防ごうとする。兎に角、初めて体験するその猛烈さに驚き、そして、恐怖を感じた。どうなってしまうのだろうかと。少しばかり命の危険を感じていたのかもしれない。30分くらいだったのだろうか、それとも1時間くらいだったのだろうか、しばらくすると何事もなかったように静寂を取り戻す。

 

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 今になってよくよく考えてみれば、早々にテントを諦めて、安全な山小屋に避難すればよかったのかもしれない。冷静さを失うと適切な行動がとれなくなる、そういうことだったのだろう。

 マレーシアやシンガポールに行くことが増え、安全な建物中からぼんやり南国の稲妻を眺めては、心の中で言語化されてはいなかった、その体験を思い出していたのかもしれない。

 

 

 

菅首相 2050年のカーボンニュートラルを宣言

「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」と、 昨日26日、菅首相が所信表明した。

もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。
 鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます。

環境関連分野のデジタル化により、効率的、効果的にグリーン化を進めていきます。世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環をつくり出してまいります。 (引用:菅首相所信表明)

 

www.kantei.go.jp

 

 少しばかり安堵する。所信表明した内容だけで、気候変動が収束するわけでない。それよりも課題がもり沢山ということなのかもしれない。それでも、脱炭素化で温暖化防止につながっていけば、悪化することを止めることになるかもしれない。

 

反応

 NHKによれば、国連のグテーレス事務総長は26日、菅首相の宣言を受け、声明を発表したという。

 とても勇気づけられる。極めて前向きな進展であり、菅総理大臣の指導力に感謝したい

と歓迎した上で、「この目標を達成するための具体的な政策を日本が示すことを待ち望んでいる。それは他の国々が政策を定める手助けになる」と述べて、日本が今後打ち出す具体策は各国の温暖化対策にも参考になるという認識を示したという。

 率直な感想なのではなろうか。

「日本がこの目標の達成のために必要な技術と資金を持っていることに疑いの余地はない。発展途上国に対して再生可能エネルギーの技術や資金支援に取り組むことを確信している」 (出所:NHK

 

 日本が温暖化対策で世界をリードすることを、グテーレス事務総長が期待しているとNHKは伝える。

 

 

 

 時事通信は、経済界の反応を伝え、積水ハウスやイオン、富士通など150社以上が参加する企業団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」が、「政府の目標を心より歓迎する」との声明を発表し、

「政策の方向性がより明確になれば、企業は迷いなく脱炭素に向けて積極的に投資し、技術革新に挑戦する」

と表明したという。

 企業の本音のだろうか。必要性を感じつつも、政策が浮つくから、今までは本腰を入れて対応できなかったということなのであろうか。

 環境NGO「気候ネットワーク」は、「50年ゼロだけではなく、30年に半減させる必要がある」とコメントしたという。

 時事通信はその記事で、「環境などの取り組みを重視するESG投資が世界的に広まる中、国として「脱炭素」に踏み切らなければ、経済成長の足かせとなりかねない」と指摘し、環境省幹部の声を紹介する。「首相が表明する意義は大きい」。

 それぞれが、それぞれの立場で意見表明する。前向きに受け止めた意見の方が多いのだろうか。

 

www.jiji.com

 

  猛威をふるった昨年の台風15号と19号のことを思い出す。その台風は自宅近くを通過していった。各地に甚大な被害をもたらした、その被害状況を見ては、明日の我が身ではないかと感じ、未来に不安を覚えたりした。

 よくよく調べてみれば、政府は各種白書などで、公然と気候変動による異常気象、それによる災害の激甚化を指摘していた。そういうことからすれば、こうした甚大な被害もすべて想定内ということであったのかもしれない。想定内だから心配するなというメッセージがあったのかもしれない。

 とはいえ、現実に目に見える風景からは、生命が危機にさらされ、安心・安全が崩壊しているとしか映らない。そんな状況下で、経済成長ばかり強調されれば、少しばかり腹が立つ。何を考えているのかと。

 コロナ対策もしかりだった。みなが「安心・安全」を希求しているときに、空前絶後の経済対策といわれれば、もう呆れるしかなかった。

 生命を守るために行動することはあっても、あの時期に身を賭して経済成長のために協力する気は起きないものである。

 

 

 

安心・安全

 所信表明全文をテキストで読むと、「安心・安全」がメッセージのひとつのなのかと感じる。前政権の政策を継承するという立場もあるから、直接、前の政権を批判もできまい。そうなれば、「行間」に何かが託されているのかもしれないとあれこれと推測するが、棄損した安心・安全を取り戻すということは、受け取ってもいいことではなかろうか。

 

突破口にできない野党の反応

仕方がないことと思うが、もう少し違った反応はできないだろうか。

 野党各党は26日、菅義偉首相の所信表明演説を受け「ビジョンや夢が全くなく、この先にどんな日本、社会があるのか全く分からなかった」(福山哲郎立憲民主党幹事長)などと一斉に批判した。 (出所:共同通信

 

 人は自分の関心事以外のことに気づかないということがあるらしい。そう思うと、野党の面々は気候変動対策にまったく関心がないといっているように聞こえてしまう。そういうことでもなかろう。ぜひとも是々非々で議論して、より積極的に、カーボンニュートラルが進むようにして欲しいと願うばかりだ。

 

this.kiji.is

 

険しい道のり、新たな成長戦略にできるか

 多くの報道機関が批判記事を掲載し、エネルギー政策云々との記事が出す。確かに温室効果ガスが一番多く排出しているのは4割を占めるエネルギー部門だから仕方ないことなのかもしれない。しかし、この部門で「0」に近づけることができれば、ニュートラルが見えるということなのであろうか。

 残り6割での排出が続く限り、なかなかゴールに近づかないのではとの疑問がわく。皆が等しく省エネや脱プラに努め、温室効果ガスの吸収源となる自然環境を守り、失われた自然を回復していくことも重要であろう。

 政策は関心事になりやすいけれども、これを機にみなの環境意識を高めるために、メディアが率先して行動を変えていってもいいのではなかろうか。いつまでも茶番を茶化していても、意味がなくなってきていると思ったりする。

 国是となるカーボンニュートラルをどう達成していくか、その責任の一端をメディアも背負っているはずである。

 

jp.reuters.com

 

jp.reuters.com

 

 

「参考文書」 

www3.nhk.or.jp