「脱炭素」をテーマにした記事を多く見かけるようになりました。それだけ、関心が高まっているということなのでしょう。
「カーボンニュートラルで問われる自動車メーカーのコスト意識、CO2削減コストは誰の負担か サプライヤー巻き込んだ取り組み不可欠」と日刊自動車新聞は言います。
間違ったことを言っていることはないのでしょうが、どうも釈然としません。カーボンニュートラルを達成するために、それに導くリーダーの存在は必要なのでしょうが、今やどの企業も等しく、その達成を求められているのではないでしょうか。
国連主導のもと、各国政府が規制に乗り出し、2050年のカーボンニュートラルが絶対になりつつあるようです。企業においても、これから逃れられることはもうできないといっても過言でないような気がします。
最終製品を製造販売する企業が中心となって、LCA(ライフサイクルアセスメント)の見地から検証し、温室効果ガスの排出量管理が求められているのかもしれません。そこから逃げようとすれば、市場から締め出される可能性があります。だからこそ、自動車メーカをはじめ最終セットメーカが躍起になり、カーボンニュートラルを推進しようとしているように思われます。
北欧スウェーデンでは、自動車メーカのボルボと鉄鋼メーカのSSABが協力して、「水素還元鉄」を2026年から供給することで開発プロジェクトを進めるといいます。それもその現れのように思います。
この「水素還元鉄」は、日刊自動車新聞が伝えるように日本製鉄も開発を進めています。それにかかる多額の費用を問題視するのではなく、それがカーボンニュートラルという社会課題の解決に役立ち、求められている技術ということではないでしょうか。
何も特別なことでもなく、他の技術開発と同じように扱われるべきで、その費用回収も企業が考えるべき問題であるように思えてなりません。環境対策だからといって、それを恩着せがましく、言い訳してはならないはずです。それができなければ、ボルボのように先駆的に取り組む会社から置いていかれるばかになるだけではないでしょうか。
「多くの主要企業が「カーボンニュートラル」に向けて取り組んでおり、排出量のモニタリング、管理、相殺(オフセット)を支援するプラットフォームを探し求めている」と日本経済新聞はいいます。
排出量を管理しようとする企業の需要の高まりを受け、2021年に入ってからの排出量の算定や取引市場を手掛ける企業の資金調達件数は15件、新株発行を伴う調達総額は1億ドル近くと件数、金額ともに既に過去最高を更新した。 (出所:日本経済新聞)
これほどニーズがはっきりし、需要が見込める絶好なビジネス機会はこれまでなかったような気がします。
二酸化炭素の排出抑制をやらなければならないことと、後ろ向きにい捉えてしまえば、なかなか良いアイディアが生まれてこないのかもしれません。
どんな素晴らしい技術もアイディアも先行投資なくして、これまでに実用化されることはなかったはずです。いつまで環境問題を特別なこととして扱えば気がすむのでしょうか。
逆境も逆手に取れば、ビジネスチャンスになるように思います。