Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

企業広告はグリーンウォッシュの宝庫なのか、トヨタのあのテレビCMはどうか

 

「グリーンウォッシュ」、広告ではエコフレンドリーや持続可能性などをうたいながら、実際にはそうではない製品や企業のことをいう。

 BBCによれば、英国では、いくつかの企業の広告が、これを理由にして、既に使用禁止処分を受けているという。

環境にやさしいと宣伝、でも実は……「グリーンウォッシング」を見抜く7つの知識 - BBCニュースs

 アイルランドの格安航空ライアンエアーが十分な証拠を示さずに出した「欧州で最も排出量が少ない航空会社」という広告が2016年には禁止されたという。

原材料について、「自然派」、「オーガニック」、「エコフレンドリー」とうたっている製品が、実際にはこうした原材料を一部しか使っていない例も、この部類に入る。(出所:BBC

 かなり厳しいことなのか、それともこれが当たり前のことなのか。

 記事によれば、英国広告基準局が広範囲に「グリーンウォッシュ」が疑われる広告を禁止しているという。

 

 

カーボンオフセットはグリーンウォッシュなのか

 BBCによれば、カーボン・オフセットは実際に排出量を削減するのではなく、むしろ問題をやぶの中に隠してしまっていると環境保護団体が指摘し、「グリーンウォッシング」の典型例だといっているそうだ。

カーボン・オフセットは詐欺だらけだ。

企業は排出削減目標を達成したと言いながら、引き続き大気中に温室効果ガスを吐き出し続けることができる。

カーボン・オフセットは、企業に無責任な排出を続けさせ、政府に目標を達成したと言わせるためのものだ。(出所:BBC

 かなり厳しい意見だ。ただ現実、そう疑われるケースもあったりするのだろう。

カーボン・オフセット」とは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせる考え方と環境省は説明する。

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カーボンオフセットカーボンニュートラルの違い

 政府が2050年のカーボンニュートラル達成を目標にし、多くの企業も同様にカーボンニュートラルを目指すようになった。

カーボンニュートラル」とは、CO2排出量と相殺する量がプラスマイナスゼロの状態で、従来のカーボンオフセットの取り組みをさらに進め、排出量の「全部」が相殺された状態のことをいう。

 BBCの言葉を借りれば、CO2排出を前提としているのだから、「グリーンウォッシュ」と言われかねないのかもしれない。

 

 

 トヨタ自動車が、豊田社長がレーシングスーツに身を包み登場するテレビCMを作った。

 そして、「カーボンニュートラルは共感が大事」と訴える。このCMは「グリーンウォッシュ」なのだろうか。

カーボンニュートラルとは

  多様な範囲に影響を及ぼし、ひとつの産業を崩壊させるほどの巨大なインパクトを持つのが「カーボンニュートラル」と、日経XTECHは指摘し、「ゼロカーボン」として解説する。

 ゼロカーボンとは「生存・生産環境維持の問題」であり、「エネルギー転換」であり「産業革命」である。そして、ゼロカーボンとは「国家間の覇権闘争」である。

カーボンニュートラルをどのように実現するかを突き詰めると、「化石燃料から再生可能エネルギー原子力へ転換する」ことに行き当たる。とはいっても、電源を火力から再エネに替えればいい、などという生易しいものではない。(出所:日経XTECH)

トヨタの危機感を共有できているか 脱炭素からは誰も逃れられない | 日経クロステック(xTECH)

 今、ほぼすべての生産・流通・廃棄には化石燃料が使われており、そのエネルギー源を脱化石燃料に変えていかなければならない。

 トヨタはこのことに理解し、非常に強い危機感を持っているという。そして、それがあのCMだったという。

アシックスのカーボンニュートラル

 スポーツ用品メーカのアシックスが、今月下旬に発行予定の社債で、ESG目標を達成できなかった場合に排出権を購入するスキームを国内で初めて採用するという。

アシックスが新型サステナ連動債、目標未達で排出権購入-手法広がる - Bloomberg

 ブルームバーグによると、2026年6月末時点で未達成の場合、社債発行額の0.1%相当の排出権を購入する仕組みという。 

 アシックスは、30年に温室効果ガス排出量を15年比で63%減らし、50年にカーボンニュートラル、実質ゼロにすることなどを重要な評価指標に据えているそうだ。

 カーボンニュートラルに取り組む企業の動機はそれぞれによって異なり、その本気度もまちまちなのかもしれない。企業は、内実と外見を一致させる努力が常に求められている。

 広告でイメージ作りに励み、外見ばかりを気にかけるようになれば、それは見かけ倒しの「グリーンウォッシュ」になってしまうのだろう。