Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

COP26と日本のこれから

 

 COP26の最終合意文書がどのようにまとまっていくのだろうか。英国から草案が示され、最終合意文書のとりまとめ向け閣僚級会合で協議が続いているようだ。

 2015年のパリ協定では産業革命前からの地球の気温上昇を2度未満に抑え、1.5度以内にするよう努力する目標を掲げた。

 今回のCOP26では、1.5℃の努力目標が目標になるのではないかと期待したかったが、そうはなりそうにもない。合意文書の草案では「この重要な10年間ですべての締約国の行動が必要だと認識し、1.5℃に抑えるための努力を追求する」としているという。

 温暖化の脅威を認めつつも、国際社会が一致してその解決に向かうことができないことが残念でならない。

 

 

石炭を段階的に廃止 COP議長国の英国、合意文書草案: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、途上国から1.5℃目標に慎重な意見も出ているという。ただ、草案では「1.5度以内に抑えるために30年までに世界の二酸化炭素(CO2)排出量を10年比で45%削減し、今世紀半ば頃にゼロにする」と明記するという。

 1.5℃目標を引き続き目指す姿勢を強調、来年2022年のCOP27で、2030年の目標を再検討し強化することを要請するとの文言も英国から示されているそうだ。

f:id:dsupplying:20210419105403j:plain

 この問題の解決を難しさを改めて認識する。異常気象が頻発するようになり危機が認識されつつあるのかもしれないが、それが10年後、30年後の未来をなると、明確にイメージし難いことによるのだろうか。

 これだけ多くの報告がなされるが、希望的な観測を述べるもなく、悪化していくが危惧されている。にもかかわらず、どこかで転機が起き、良化するかもしれないと考えてしまうのだろうか。そうなってしまったら、対策検討に甘さが生じてしまうのかもしれない。

アングル:温暖化抑制、「1.5度」と「2度」の決定的な違い | ロイター

 ロイターによれば、各国が国連の登録システムに提出した気候変動に関する公約が達成されても、気温の上昇幅は2.7℃に達する見込みという。

気温上昇を3度以下に抑えられれば、文明として対応できる範囲に踏みとどまれる可能性がある。とはいえ、2.7度でも大変な困難を味わうことになるだろう

気温の上昇幅が2.7度になれば、熱帯及び亜熱帯の全域で、年間で複数の時期にわたって「生活が不可能な猛暑」がもたらされる。生物多様性は大幅に失われ、食糧安全保障は悪化し、大半の都市インフラでは対応できない異常気象が生じると科学者らは言う。(出所:ロイター)

 

 

 先日、COP26で岸田総理が演説、「アジアにおける再エネ導入は、太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要です」と述べ、日本は化石賞を受賞することになった。

 これを受け、国内では山口環境相が記者会見、首相の発言内容を補足していた。

 問題指摘された石炭火力のゼロエミ化については、JERAが現実に今取り組んでいることだと強調、アンモニア20%混焼のテストが始まり、2020年代後半の実用化に目指しているという。また、2030年代前半には保有の石炭火力全体におけるアンモニア混焼率20%を達成し、2040年代にはアンモニア専焼へ移行すると説明する。

「こういうビジョンの下に、現実にこの6月からスタートしている。だから、夢物語ではないんだと思うんです。実際に始まっている。だからそういうことも含めると、その石炭の火力発電所からのCO2の排出というのを少なくしていくというのは現実に行われつつあるんだというふうに認識しています」と答えた。

 さらに「アンモニアの調達、水素の調達という課題もあるんでしょう。それはこれから努力していかなきゃいけない面も入っています。だけれども、現実にはかなりはっきりしたビジョンで語られていると思います。だから、政府的にはそれをどういうふうにコラボして実現していくかということじゃないでしょうか」と述べた。

 多少胡散臭さは感じるが、そうであるなら、なぜ英国の石炭火力の段階的廃止に呼応できなかったのだろうか。

 

 

 英豪資源大手のBHPが、三井物産と手がける原料炭事業の権益を売却すると発表した。

 世界的に脱炭素の流れが加速する中、石炭資産を切り離し、需要増が見込めるニッケルなどへの投資を強化すると日本経済新聞がいう。

BHP、三井物産との原料炭事業を売却 1500億円: 日本経済新聞

 原料炭は製鉄などに使われる。BHPはその原料炭の権益の一部を売却し、三井物産は権益保有を続けるという。

BHPは昨年から資産構成の見直しを進める。発電に使う一般炭は6月、南米コロンビアのセレホン炭鉱の権益をスイスの資源商社グレンコアに売却すると発表した。8月には石油・ガス事業を切り離すことも決めた。 (出所:日本経済新聞

 豪国内の発電用石炭マウントアーサー炭鉱については、すでに売却の方針を示しているそうだ。

 脱炭素は現実的に考えなければならないのかもしれない。今年中国で発生した大規模な電力不足は避けなければならない。ものごとは順序立てて進めないと往々にして、破綻することもある。だが時として一足飛びに進めなければ、機会を失いかねない。

 米国と中国が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成に協調して取り組むとの共同宣言を発表した。

米中が温暖化対策協力で合意 共同宣言「重要な10年」 | 共同通信

 共同通信によれば、「重要な10年間」である2020年代に行動を加速させると強調、双方の具体的対策の状況を検証するため、定期開催する作業部会を設置するという。

政府の危機感と本気度が問われているのではなかろうか。