早稲田大学がカーボンニュートラルを目指す「Waseda Carbon Net Zero Challenge 2030s」を発表した。
「カーボンニュートラルを実現する最先端研究」、「カーボンニュートラルに貢献する人材育成」、「キャンパスのカーボンニュートラル達成」という三位一体の形で実現を目指すそうだ。
早大がカーボンニュートラル宣言 創立150周年に向け、「進んで世界に貢献する」(高田馬場経済新聞)
高田馬場経済新聞によると、研究では「カーボンニュートラル文理融合研究の推進」、「産官学および国の境界を超えたオープンイノベーションの推進」、「研究成果の社会実装と国際連携」の3つを軸に掲げているという。
人材育成では、全学生が受講できるカーボンニュートラル副専攻や博士課程を対象にした大学院人材育成プログラムの設置、高校生、社会人も受講できるカーボンニュートラルオープンセミナーの開催を進めることで、「カーボンニュートラル実現において中心的な役割を果たせる人材を輩出していく」。(出所:高田馬場経済新聞)
これが現実
期待した「COP26」だが、やはり厳しい現実を突きつけられる。
共同通信によれば、COP26で各国が取りまとめる文書の骨子案の内容が明らかになったという。世界の気温上昇を1.5度に抑える重要性を盛り込むが、化石燃料の廃止には言及しないそうだ。
COP26の文書骨子案、判明 化石燃料廃止に言及せず | 共同通信
それによると、現在の各国の取り組みと1.5度目標には「隔たりがあることを認識する」ことを挙げ、一方で、石炭や石油などの化石燃料の利用縮小については触れないことになりそうだという。
AFPによれば、UNEP 国連環境計画が、COP26で各国が新たに表明した炭素排出量削減の目標では、今世紀中の気温上昇に与える影響はごくわずかだとの見解を示したという。
COP26での誓約、温暖化にほぼ影響せず 国連が見通し 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
現時点での計画に沿うと2030年までに5億トンの炭素排出を削減できるが、それでも世界の気温は2100年までに2.7度上昇する見通し。森林再生などを通じた排出量の相殺や脱炭素化への取り組みを加味すると、上昇幅は2.1度まで抑えられる可能性がある。
これは先月の見通しよりも低いものの、上昇幅を2度より「十分低く」保つというパリ協定の目標には届かない。(出所:AFP BB NEWS)
海面上昇、水没しかねない国々
南太平洋の島国ツバルの外務大臣が、膝まで海に浸かりながらスピーチし、気候変動の緊急性を訴えたという。
ツバルの外相、膝まで海に浸かりながら、気候変動対策を訴える【COP26】 | ハフポスト
ハフポストによると、ツバルのコフェ外相はCOP26のスピーチの中で、「私たちは気候変動と海面上昇の現実の中で生きています」と述べ、気候変動がツバルにとって日々の暮らしの中にある脅威であることを強調したという。
ツバルは21世紀末までに、水没する可能性があり、すでにニュージーランドに移住した人たちもいるそうだ。
WEB特集 海に飲み込まれる国 モルディブ | 環境 | NHKニュース
モルディブも気候変動による海面上昇で水没の危機にあり、人工島が作られ、そこに人々が移住を始めているという。
なぜ早稲田大学がカーボンニュートラルなのか
昨年10月の臨時国会で「2050年カーボンニュートラル宣言」が、菅前総理大臣によって行わなわれた。
早稲田大学はこれを受け、田中愛治総長が、創設者大隈重信の建学の精神「一身一家、一国のためのみならず、進んで世界に貢献する抱負がなければならぬ」を引き合いにしてカーボンニュートラルに取り組む理由を説明したという。
また、総務部副部長・総務課環境安全担当課長の松尾亜弓さんは、「カーボンニュートラルはSDGsの17のゴールとも密接に関係があり、点だけで考えても解決できず、多面的・多角的に考えていく必要がある」と指摘、「大学の使命とは何かを考え、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するために、今できることは率先して実践し、今実らないことであっても10年後、20年後を見据えて、行動を起こしていくことが重要」と話したそうだ。
気候危機のこの時代の「カーボンニュートラル」、道理に適ったことであれば、必然社会もそれに倣う好例なのだろうか。
SDGsや気候変動を学んでいる子供たちは率先して早稲田大学を目指すことになったりするのかもしれない。