たまに家の近くの工業団地の通り抜けることがある。とあるプレス工場の前に来ると、真新しいガス発電機が軒先に設置されているのを見た。
こうした中小企業にも取引先からBCP(事業継続計画)対策が求められるようになったのかと想像する。
でも何故、ガス発電機にしたのだろうか。大きな工場の屋根に太陽光パネルを設置、蓄電池という手もあるのではないか。
その会社のホームページにアクセスしてみる。特に記載はなかった。まだ脱炭素カーボンニュートラルについては意識していないのかもしれない。
東京ガスが「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」を設立したと発表した。このアライアンスには15社が参加し、CNLカーボンニュートラルLNGの普及拡大とその利用価値向上の実現を目的にしているという。
CNLは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼させても地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNGです。 (出所:東京ガス)
ホテルニューオータニが昨年10月から、このCNLに切替たという。
東京丸の内でも、三菱地所が「丸ビル」と「大手町パークビル」でこのCNLカーボンニュートラルLNGの利用を始め、CO2排出量の削減に取り組む。
オフィスビルで「脱炭素」の動きが加速する。
三井住友DSアセットマネジメントによれば、この他にも丸の内地区に保有する約30棟のビルでは、ENEOSが手掛けるバイオマス発電などで調達した再生可能エネルギーに切り替えを進めていくという。
渋谷圏でも東急不動産が4月から、「渋谷ソラスタ」を含むオフィスビルや商業施設計17施設で使用する電力を再生可能エネルギー利用に切り替えるという。
JIJI.COMによれば、東京ガスの野畑副社長がアライアンス設立に合わせ開催した記者会見で、「(脱炭素化に)即効性があるのはカーボンオフセットだ」と強調したという。
賛否両論はあるのかもしれないが、既存設備を有効活用しようとするなら、もっともの御意見なのだろう。
あの家の近くのプレス工場は、このCNLカーボンニュートラルLNGの利用を考えているのだろうか。
沖縄では、沖縄電力が戸建住宅を所有するお客さまに、太陽光発電設備と蓄電池を無償で設置し、電気を供給する「かりーるーふ」というサービスを4月1日から開始する。
かりーるーふとは、沖縄の方言で「縁起がいい、福を招く」といった意味を持つ「かりー」と屋根を「かりる」をかけ、英語の屋根を意味する「ルーフ」を組み合わせたものと、c/n Japanが解説する。
「お客様にヒアリングすると、太陽光発電については欲しいというニーズは高いが、メジャーな電力会社がやっていないため足踏みしているという声が多かった。
今回は沖縄電力が手掛けるということで、信頼感は高い。また太陽光と蓄電池の組み合わせを望む声も多く、地域にマッチングしたサービスになっていると思う。
沖縄は傾斜のない平らな『平屋根』が多く、太陽光パネルが設置しやすい環境でもある」 (出所:c/n Japan)
そう話すのは、設備を提供するパナソニックの主任技師の西川氏。その言葉をc/n Japanが紹介する。
かりーるーふ、平時は電力の地産地消に貢献する「マイクログリッド」のようだ。
沖縄という土地柄、台風の襲来も停電リスクも高い。太陽光で発電した電気を蓄電池に蓄えていれば、災害時に非常用電源として使うこともできる。
離島を多く抱える沖縄なら「マイクログリッド」のメリットを活かせたりするのかもしれない。沖縄ばかりでなく、内地の電力会社もこうした取り組むを積極的に展開して欲しいものだ。
あのプレス工場も、こうしたサービスを利用できるようになっていたら、ガス発電機を選択しなかったかもしれない。
日産自動車が、積極的に地方自治体と「災害連携協定」の締結を進めている。
災害等による大規模停電が発生したときに、自治体が指定する避難所等に、日産の販売会社がEV電気自動車の「日産リーフ」を貸与し、それを電力源として活用することで、避難所の円滑な運営を行い、市民の安全確保に努めるというものだと日産自動車は説明する。
BCP対策の選択肢が増えているのかもしれない。社用車をEVにすれば、もしもというときの電源としても活用できそうだ。
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