Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

終わらない値上げラッシュ、高止まりの電力料金、国、企業、それぞれの思惑

 

 続く値上げラッシュ、今年の食品値上げが2万品目を超えたそうです。昨年よりも3カ月早く、今後も小麦や鶏卵など原材料の価格上昇の影響が広がる見込みで、昨年よりも多くの商品が値上げになり、3万品目に到達する可能性があるそうです。

食品値上げ3万品突破へ 小麦・卵高騰で昨年上回る―民間調査:時事ドットコム

 国の物価対策は乏しく、日銀の政策が開花し、持続的な賃上げが実現を待つしかないのでしょうか。

高止まりの電力、それでも国はアンモニアにこだわる

 高止まりしている電力料金の今後が気になります。脱炭素政策に関わることでもあるし、G7各国と足並みを揃えて、再生可能エネルギーに注力して、電力の低廉化を目指してもらいたいものです。

カーボンニュートラルに向けたビジネスの競争力を強化し、それを経済成長につなげていくためには、日本企業の技術力やポテンシャルの高さが市場から最大限評価されるように、ルールを形成していく必要があります。(出所:未来コトハジメ

 とある経済産業省の官僚がそう語り、新たな市場創造に向けた官民でのルール形成を活動目的の一つに掲げているといいます。みなの関心が高い電力料金のことはどこかに置き去りにしておいて、市場創造だの、経済成長というのは何か論点が違い過ぎるように感じます。

『脱炭素最新動向を探る』第6回 ルール形成に乗り出し市場を勝ち抜く | 未来コトハジメ

「まず日本企業の技術が国際的に適切に評価され、産業として生き残っていくには、どのようなルールが必要か、各業界で精査することです」と語っています。そのうえで「国際ルールの形成に向けた議論にも、能動的・戦略的に関与していく必要があります」といいます。

 新たな燃料として国が推進するアンモニアサプライチェーンの国際標準化に向け、官民一体となって関連技術などの標準化を提案、推進しているそうです。

 全否定されるようなものではないのでないにしても、世界が求めているものと乖離して、日本の技術の優位性を主張したところで、それでは評価されることもありませんし、認められることもないのでしょう。

日本が構想する火力発電のアンモニア混焼 ケリー米特使が懸念示す | 毎日新聞

 国民生活を犠牲にして勝ち目のない競争に突き進んでいるように見えます。アンモニアを未来の燃料として、また、それで国際的に優位に立つことが国民が望んでいることなのでしょうか。官僚たちの妄想が企業を巻き込んで、国を疲弊させることにはならないでしょうか。

苦境の東京電力、現実解の模索

 燃料高、円安などが加わって電力各社が赤字に陥っています。そんな中、カルテルや顧客情報の不正閲覧などの不祥事が起きました。しかし、事業の立て直しには値上げは避けて通れず、国に申請、その審査が進んでいます。

「地産地消型電力ビジネス」拡大し、事業立て直す | トップに直撃 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

4月から法人のお客様に値上げをお願いしている。家庭向けを中心とした規制料金の値上げ申請もしている。企業や家計にご負担をおかけしており、たいへん心苦しい。(出所:東洋経済オンライン)

 東京電力ホールディングス傘下の電力小売会社、東京電力エナジーパートナーの長崎桃子新社長がそう語っています。

 中長期的に事業の立て直しについては、「DR:デマンドレスポンス」や「VPP:バーチャルパワープラント(仮想発電所)」といった仕組みを用いて収益の安定化を図りつつ、価格のの安定化に努めるといいます。

 また、「地産地消サービス」へのシフトを加速させていくといいます。これは需要家側で太陽光発電設備や蓄電池を設置し、電力を地産地消してもらうため、設備をリース方式などで貸し出し、定額のサブスクリプションサービスを展開するといいます。

家庭で太陽光発電や蓄電池を導入すると、系統ネットワークを通じた販売電力量は従来の100から30に減ってしまう。減少分をカバーするためにも「地産地消サービス」あるいは、「設備as a service」といったサブスク型の新たなビジネスを拡大する必要がある。太陽光発電や蓄電池のみならず、電気自動車(EV)関連の充電サービスも積極展開する。従来型のビジネスと地産地消型など新規ビジネスの割合は将来1対3、少なくとも半分以上が新規ビジネスになるだろう。(出所:東洋経済オンライン)

 これが現実的な見方のような気がします。安定供給、安定価格という使命を負う企業の発想なのかもしれません。また大事故の責を負う企業としてそうあるべきのような気がします。

 国と企業の思惑が不一致しているようにも見えます。ただ国が声を大にすると、企業はそれに引きずられていってしまうのではないでしょうか。抵抗できればよいのでしょうが、そうできないのが今の日本の課題なのかもしれません。

 

「参考文書」

電気料金の値上げは「苦渋の選択」 東電EP社長インタビュー:東京新聞 TOKYO Web