Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱炭素で損しない】知らないで損する「カーボンプライシング」

 

 人の智慧とはたくましいものだ。

伊藤忠、日本の脱炭素のカギ握る…画期的なビジネス開始、排出枠取引市場の育成の起爆剤に」と報じるビジネスジャーナルの記事に、そんなことを感じる。

 伊藤忠商事が先日発表した蓄電システムの販売についてビジネスジャーナルが解説する。

そのフローは、まず蓄電システムが、家庭が太陽光から得た電力を自家消費することの価値を計算する。その上で、ポイントと交換で伊藤忠は家庭から排出枠を調達し、それを企業に販売する。 (出所:ビジネスジャーナル)

 

ビジネスモデルのポイントは、家庭が自家消費する再生可能エネルギー由来電力に“環境価値”を見いだすことだ。それは2つの可能性を持つ。

まず、ポイントは人々のより良い意思決定を支えるだろう。2点目に、伊藤忠の蓄電システム事業は、国内排出枠取引市場の育成に寄与する可能性がある。なお、環境価値とは再生可能エネルギーが持つ、二酸化炭素を排出しないプラス面を指す。 (出所:ビジネスジャーナル)

biz-journal.jp

 「重要なのは、伊藤忠が家庭の太陽光電力の自家消費分に価値をつけ、さらにはそれを取引する発想を事業化したことだ」とビジネスジャーナルは指摘する。

固定価格買取制度(FIT)の下で、家庭は売電を重視した。その半面、太陽光に由来する家庭の電力自家消費への関心は高まりづらかったといえる。人工知能(AI)を用いて充放電を最適化する蓄電システムの開発によって自家消費に環境価値を認めることは、ありそうでなかった発想だ。 (出所:ビジネスジャーナル) 

 

 

  各家庭で電力の自家消費を促し、それによって電力需給を軽減していった方がリーズナブルなことと言えるだろう。消費に価値をつけるということは今までになかったインセンティブ、導入してみようかとの動機につながるのかもしれない。

家庭は従来の売電に加え、自家消費した電力をCO2削減分として企業に提供し、見返りにポイントを得られる仕組みを伊藤忠が仲介する。

伊藤忠が家庭に提供するのは独自ポイントである「グリッドシェアポイント」。

アマゾン・ドット・コム楽天などが提供するポイントと交換可能だ。さらに今夏にも企業と家庭が直接取引し、その企業が展開しているポイントを得られる仕組みも始める。伊藤忠子会社のファミリーマートが参加を検討している。 (出所:日本経済新聞

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  政府も「カーボンプライシング」の検討を始め、導入に前向きと聞く。 

dsupplying.hatenablog.com

 その「カーボンプライシング」を日本経済新聞が図解で解説する。

www.nikkei.com

 

 海外では、「環境再生型農業」と「カーボンプライシング」を組み合わせることで、農業で「脱炭素」を推進しようとする試みがあると、Techcrunchが紹介する。

「環境再生型農業」とは、間作や耕起などのように、土壌を肥沃にして保水力を高め、炭素を隔離、排除するさまざまな活動のことだとTechcrunchは定義する。

 

再生型農業を巡る熱狂は、気候変動の影響を大規模に軽減できる可能性と結びついている。National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine(全米アカデミーズ)は、土壌炭素隔離によって年間2億5000万トンの二酸化炭素を除去できる可能性があると推計しており、これは米国の排出量の5%に相当する。 (出所:Techcrunch) 

jp.techcrunch.com

 カーボンオフセット市場が注目を集め、ここ数年、土壌炭素のための民間任意市場が複数登場し、その多くはクレジット購入による炭素排出量相殺でカーボンニュートラルを標榜する企業の支援を受けているとTechcrunchはいう。

 農家がこうした排出量取引に参加することが「環境再生型農業」取り組むインセンティブになり、それによって収入増になり、農業がさらに活性化し、それに加えてCO2排出量の削減することにもつながっていく。

dsupplying.hatenablog.com

  

 太陽光発電などは直接CO2を排出しないが、CO2を削減するわけではない。環境再生農業であれば、CO2を土壌に隔離でき、CO2排出量の緩和に直接的に役立つ。

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 「カーボンプライシング」、排出枠取引のことを知らないと損することが多いのかもしれない。

 罰則的にとらえると、ネガティブなことばかり考えるようになるが、うまく利用できれば、損どころか益の方が遥かに大きいのかもしれない。

 

dsupplying.hatenablog.com