ラルフローレン、アメリカを代表するファッションブランドが「サスティナビリティ」に挑戦を始める。「持続可能性の目標を推進するための包括的な循環戦略」を3月9日に発表した。
戦略の一環として「McDonough Innovation」とのパートナーシップを発表、最も象徴的な製品のいくつかを、より安全で持続可能な製品の証しである「C2C認証」Cradle to Cradle certification™を取得するという。
「時代を超越した製品を作る」というラルフ・ローレンの象徴的なビジョンに基づいて、戦略は3つの柱を中心に据える。
循環性のためのデザイン
2025年までに、アイコンと呼べる5つの象徴的な製品を、Cradle to CradleCertified™にもとづいて生産するという目標が設定された。
それらアイコンは、ポロシャツやチノスからデニムやセーターなど、ラルフローレンのベストセラーの一部の商品になるという。
今後、ラルフローレンは、先行して認定されるアイコンから学びを得て、他の製品カテゴリに適用し、循環型の設計原則を導入していくという。
サブスクリプション 循環的な消費者体験
「ザ・ローレン・ルック」というアパレルレンタルをサブスクリプションサービスで、北米で3月2日から始めた。
高級ファッションブランドでは、初めての商品レンタルサービスだという。
「ザ・ローレンルック」は、人気のシェアリングエコノミーを利用することで、ファッション消費に革命をもたらすまったく新しいモデルを探求することになる」と、デビッドローレンは話す。
「ザ・ローレン ルック」は、定額制で月額125ドル(約1万3500円)のサービス。(中略)レンタル期間が設定されておらず、顧客は好きなタイミングで商品を返却することができる。
バーチャルクローゼットから好きなアイテムを一度に4点まで選ぶことができ、それらをすべて返却すれば、新たに別の服をレンタルすることができる(欲しいものがあれば割引の会員価格で購入し、そのまま手元に残すことも可能)。
また、各アイテムにはレンタル品として利用する期間があらかじめ設定されており、その期限がくれば、(中略)米慈善団体、デリバリング・グッド(Delivering Good)に寄付されることになっている。 (出所:Forbes)
ラルフローレンのようなブランドがサブスクでレンタル可能になることは大きな衝撃かもしれない。「顧客は次々と新たな衣服を購入し、着なくなった服でクローゼットを溢れさせずに済むようになる」とForbesは指摘する。
循環経済 サーキュラーエコノミーを前進させる
ラルフローレンは、アパレル業界がサーキュラーエコノミー 循環経済に移行していくために、リサイクル材料の品質をバージン材料と同じくらい高品質なものにしていくために新しいテクノロジーに投資していく。
2020年、ラルフローレンは、天然繊維リサイクルの新しい業界標準の拡大を目指すスタートアップである「Natural Fiber Welding」に投資し、2025年までに、高品質の100%綿リサイクル素材を使った製品を生産する予定だという。
ラルフローレンが投資した「Natural Fiber Welding(NFW)」は、「地球上で植物物質ほど豊富なものはありません」、「人類が石油に依存することから、植物のパワーを利活用することへの移行は可能」という。
NFWによれば、リサイクルされた綿は、リサイクル中に作成された短い繊維のため、新しい綿のアパレルでの使用には適さないことがよくあるという。NFWは、この短い繊維を長い繊維に結合させ、綿やその他の植物由来の廃繊維を組み込むことができる高性能の綿の糸を作くる革新的なプロセスで、この課題を解決したという。
ラルフローレンは、ポリエステルやナイロンなどの非生分解性合成繊維への依存を置き換え、削減すると同時に、ゼロウェイストの原則にもとづき、より持続可能でアップサイクルされた材料の使用を拡大することができるとNFWはいう。
C2C Cradle to CradleCertified™とは
「Cradle to Cradle(揺りかごから揺りかごへ)」、
地球という「揺りかご」から得た貴重な資源をゴミとして廃棄場(墓場)へ捨ててしまうのではなく、「ゴミ=資源」と考え、完全循環を目指す新たなモノづくりの考え方だとJIJI.COMは説明する。
JIJI.COMによれば、フィリップスや米国郵政公社(USPS)、ナイキ、ボルボ、トリンプといった国際企業や機関が「C2C認証」を採用しているという。
原材料を継続的に再利用して原材料価値を最大化させるための、モノづくりの設計・製造・プロセスに関する理念―。少々ややこしいが、C2Cを教科書的に定義するとこうなる。 (出所:JIJI.COM)
リサイクルやリユースと言っても、実態は品質が悪化していくダウングレードで、廃棄場行きを遅らせるのがやっとだったと、JIJI.COMは指摘する。
ラルフローレンの「サスティナビリティ」戦略に少々驚く。後発だからこそ、なせる業なのかもしれない。それだけ、世界には、よりサステナブルな素材が溢れ始めているのかもしれない。
もう石油由来の素材に頼ることが時代遅れになりつつあるのだろう。
「参考文書」