Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

それは正しいのか、動き始めるファッション業界、目指すべきはサーキュラーエコノミーなのか

 

 SDGsにESG投資、それに加え、脱炭素にデジタル化、それらが組み合わさり、産業構造を変化させようとする。そうして、変革が求められるが、その実、何をやっていいかわからない。そんな状態が続けば、それは焦りにつながる。そんなケースが増えているのだろうか。

待ち受ける変革、募る焦燥感:日経ビジネス電子版

 野心を抱いて会社に入社していれば、違うのかもしれないが、改革、変革と言われてもピンとこない。入社したての自分もそうだった。ただ「改善」や「効率化」のことを知ったからは、やることが尽きないほどに様々な問題が発見できるようになった。

 現状を知り、あれもこれもとその対象が広がっていく。問題が特定できれば、それは解決に向かっていく。その問題が解決され、その効果で、どんなことが起きるのかを知れば、それが楽しみになって、さらに効率化が進んだりする。

 改革にしろ、変革にしろ、現状を正しく理解すること抜きに始まらない。

 

 

兵庫県多可町は、先染め織物「播州織」の産地だという。その地で、縫製加工卸売会社を営む「ソーイング竹内」でのリサイクル活動を産経新聞が紹介する。

端切れに無限の可能性 兵庫・縫製加工会社 焼却量減 機械部品に変身(1/2ページ) - 産経ニュース

 その会社では従来、端切れなどを産業廃棄物としてコストをかけて処分していたという。その後、その廃棄量の削減を目指すようになり、新技術を導入、さらに、リサイクル材料として活用するようになったという。

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「改善」の基本はムダ、ロスの削減にある。いわゆる効率化である。

 裁断の際に端切れが出るから産廃になり、コストが発生する。ムダである。それなら端切れが出ないようにする、または最小化する。そして、やむなく発生するムダを資源に変え、コストを益に変えていく、「改善」作業の醍醐味であり、成功の始まりなのかもしれない。

 端切れが出ることを常識したら、改善は生まれない。改善の起点は常識を疑うこと、現状の否定から始まるといわれる。

 

 

ファッション業界自体も、変革の波に晒されている。

「大量に作り、販売し、廃棄するビジネスモデルは評価されないだけでなく、すでに成り立たなくなってきた。ムダの塊だからだ」と、繊研新聞は指摘し、「理想の一つは、必要な物を必要な分だけ作り、使い古したら再生し活用するサーキュラーエコノミー(循環型経済)の枠組み」だという。

【記者の目】繊維業界全体で循環型経済実現 個別企業の取り組みだけでは限界 消費者から共感されるビジネスへ | 繊研新聞

回収した洋服を繊維原料に再生しようとしても、ファッション製品には様々な素材やパーツなどが使われ、一律にリサイクル処理できない。

分別などが必要で手間もコストもかかる

そのためユニフォームなどでは回収、再生の道筋が付けやすいが、一般的な衣料では難しいのが実情だ。 (出所:繊研新聞

 ムダに気づき、それを問題とすることができれば、改善、効率化は進むものだ。「なぜ」「なぜ」「なぜ」と5回繰り返せば、問題の本質、真因に到達することができるといわれる。それがわかれば、その反対が対策であって、改善である。類似例を模すのもいいのかもしれない

服の作り方も変える必要がある

長く使えるよう耐久性に優れた商品を作ること、回収、再生することを前提に、ポリエステル原料のみを使って作り、そこから回収、再生のサーキュラーエコノミーを実現していく方法もある。(出所:繊研新聞

「複合素材が増え、海外生地を使ったアパレル製品が多いため簡単ではない」と、繊研新聞が問題指摘する。その一方で、「使う原材料のトレーサビリティー(履歴管理)の確保が不可欠になっていることから、商社などが回収、リサイクルを念頭に、商品調達、生産を行うことで実現できる部分も増えるはずだ」という。 

 何かを改善しようとすれば、それが連鎖して次々と問題が解決されいくことが多々あるものだ。

 

 

「できないと思った瞬間に、改善は終わってしまう」。

できると思えば、不思議に同じ問題を抱える人たちとの協力に出会えるかしれない。それがきっかけで、うまく回りはじめると、正転するものだ。

 それでうまくいったなら、デジタルによる効率化を検討してみる。それが始まりでデジタルトランスフォーメーションが起きるのかもしれない。

 これまでに多くの企業をみて回ってきたが、大体どの企業も問題は把握しているものだ。たとえば「廃棄費用の削減が課題なんだ」、そんな声をよく聞いた。

 サーキュラーエコノミーばかりでなく、リユースの活用があってもいいのかもしれない。