昨年のレジ袋の有料化以来、企業においても「脱プラ」の動きがさかんになってきているのだろうか。
宿の歯ブラシに「脱プラ」の波 コスト増で有料化?: 日本経済新聞
来年2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されれば、さらに脱プラの動きが加速するのかもしれない。
ただ世界に目を転じれば、まだまだ「脱プラ」とは程遠い世界がありそうだ。アフリカもその例外ではない。
Pan-African research networks are needed to manage continent's plastic pollution threat
エジプト、ナイジェリア、南アフリカ、アルジェリア、モロッコなどのアフリカの5か国が2015年、プラスチックス廃棄物の多い上位20か国にランクインし、この先、2060年までには、上位10か国に8つのアフリカ諸国が入ることが示唆されているという。
脱プラが推進されず、その処分が適切でなければ、その地域ではさらにプラスチックスがあふれ、その一部が河川に入り込み、水源を汚すばかりでなく、それらはやがて海にたどり着き、海洋汚染の源になっていく。
海洋ごみの清掃活動を続ける「The Ocean Cleanup (ザ・オーシャン・クリーンアップ)」のsystem 002(ニックネームjenny)が、太平洋ゴミベルトに配備され、海洋ごみ回収のテストを行っていたという。
9月22日に実施したテストでは、これまでで最大の3.8トンの海洋ごみを収集したそうだ。
脱プラが進み、環境への漏洩がなくなれば、海洋ごみの問題はいずれ解決されるのかもしれない。それまでは、誰かがそれを回収し、適切に処理し続けなければならない。
米国では、石油メジャーのエクソンモービルが、テキサス州ベイタウンに大規模なプラスチックス廃棄物のケミカルリサイクルの施設を建設するという。
2022年末までに操業開始予定で、今後5年間で世界全体で約50万トンのリサイクル能力を構築する計画という。
ExxonMobil to Build Its First Large-Scale Plastic Waste Advanced Recycling Facility | Business Wire
リサイクルの是非の議論があるかもしれないが、今あるプラスチックスを回収し、リサイクルされれば、自然環境に漏洩するプラスチックスは減少するのかもしれない。
空論にすることなく、現実の問題としての解決を求めれば、リサイクルを推進させ、それと並行して脱プラも進めることが求められるのだろう。
米国の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の科学者たちは、PET廃棄物の新たな処分方法を開発したという。化学と生物学を組み合わせることで、PETをナイロン材料に変えることができるという。
Researchers engineer microorganisms to tackle PET plastic pollution
研究チームは、化学触媒プロセスを使用してPETを分解する、細菌「Pseudomonas putida KT2440」を設計、これを用いてPETをナイロンの構成要素である「β-ケトアジピン酸(βKA)」に変換したという。
今後は、経済的な分析とライフサイクルアセスメントを実行、また、その製造工程で必要となるエネルギー量や温室効果ガス排出量について検討していくことを計画しているそうだ。
こうしたプラスチックスをごみにしない研究が進み、不要となったプラを有用な資源に変えることが実用化されれば、サーキュラーエコノミーが定着していくのだろう。
それまでは、プラスチックスの絶対量を減らす、脱プラ活動はかかすことができない。そして、可能であれば、プラ汚染の激しい地域にもその活動を展開させる必要もあるのだろう。