Up Cycle Circular’s diary

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【ラニーニャが発生】異常気象、脱炭素、電力不足に揺れる中国は対岸の火事ではないのかも

 

 中国は、気候変動と脱炭素の最前線なのだろうか。その矛盾とでもいえそうな事態が発生しているようだ。

 大規模な電力不足が起き、その影響が各所に広がっている。一部地域の住宅地では停電が起き、製造業には電力供給制限を実施、工場の操業停止も相次いだ。

 原因には様々な背景がある。二酸化炭素の排出量削減のため環境規制が強化されていたところに、石炭価格が高騰し、電力会社が発電所稼働率を落としていたそうだ。

 それに加え、今度は異常気象が中国北部を襲い、各地で洪水が発生、主要な石炭生産拠点に被害を及ぼし、石炭価格がさらに急騰、電力不足解消を急ぎたい当局の足枷になっているもようだ。CNNによれば、山西省の他にも、隣接する陝西省でも豪雨と土砂崩れのため炭鉱が操業を停止したという。

 

 

CNN.co.jp : 中国、石炭が史上最高値を記録 電力不足続く

今年7月は例年を上回る高温に見舞われ、国内の電力使用量は記録的水準に達したという。

また1~8月の全体のエネルギー消費は前年同期比で14%増加したが、水力発電などの再生可能エネルギーはここ数カ月の干ばつで十分な供給を行えていないとしている。 (出所:CNN)

 気候変動の影響でより電力が必要になるが、その気候変動が影響して充分に発電できない、もう滑稽というしかないのかもしれない。

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 そればかりでない。中国の秋の長期休暇国慶節では、「渋滞したのは高速道路でなく、充電ステーションだった」とAFPが伝える。

中国の高速道路で電気自動車が「エラい目」に ユーザー急増で「充電の渋滞」が発生 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 AFPによると、今月1日の高速道路での充電設備の充電量は、電力不足にあるにもかかわらず、通常の4倍にあたる142万9200キロワット時となり、過去最高を記録したそうだ。電気自動車がそれだけ殺到したため、各地で「充電渋滞」が発生したという。

「運転中に電池が切れそうになったため、車内温度が一時は40度近くになったがエアコンをつけるのを我慢した」という過酷な体験を披露。別のユーザーは「ガソリン車の友人とドライブしたが、目的地に着いた時間は大幅に違った。私の電気自動車は途中で2回充電し、1回の充電時間は30分以上。友人は給油が1回だけで時間も数分で済んだ」と報告した。 (出所:AFP BB NEWS)

 電気自動車は日常生活の「普段使い」では大きな力を発揮するという。街中を走るだけなら中国では1か月100元(約1740円)ぐらいで済むそうだ。ところがガソリン車だったら数百元から1000元(約1万740円)になるになるそうだ。

 中国政府は、電気自動車を経済成長の柱の一つとしており、二酸化炭素(CO2)排出削減の切り札にも位置付けるが、多すぎるEV電気自動車はより多くの電力を必要とし、電力不足に拍車をかけるのではないだろうか。

 

 

 太平洋赤道域の中部から南米ペルー沖にかけて海面水温が基準値より低くなるラニーニャ現象が発生したという。

 CNNによれば、NOAA米海洋大気局が、ラニーニャは90%近い確率で、2021~22年の冬を通して続くと予想しているそうだ。

 昨冬もラニーニャ現象が発生した。ただ、その影響は穏やかだったという。今回も同様に穏やかで済む確率は57%という。

ラニーニャ現象が発生、エネルギーや食料供給は一層ひっ迫へ - Bloomberg

カリフォルニア州や南米で干ばつが悪化し、米国と日本の一部では厳冬になる恐れがあり、エネルギーや食料の供給がすでにひっ迫している世界にとってリスクが増しそうだ。(出所:ブルームバーグ

今後の日本の長期予報に影響したりするのだろうか。

 昨冬、年末寒波で電力需給が逼迫、節電が呼び掛けられた。また、同じ事態にならないかと心配する。ただでさえ、足下、エネルギー需給が逼迫していると言われているのだから。

液化天然ガスの価格高騰 冬場 電気料金値上がりのおそれも | NHKニュース

 隣国中国で起きていることは対岸の火事ではないのかもしれない。いつ飛び火してくるかわからない。平時でも、節電を心がけ、エネルギーの節約をすべきなのだろう。