Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【グリーンリカバリーは何処へ】コロナ渦あとの災厄 物価上昇、電力危機、天然ガス高騰、パニック買い

 

 欧州で天然ガスが異常高騰している。イギリスでは、トラック運転手が大幅に不足し、ガソリンや様々な物質の輸送が滞り、パニック買いになっていると言う。中国では、極端な電力不足で一般家庭でも停電する事態になっている。

 コロナ渦が収束しはじめ、これまでになかったことが世界各地で起こり始めている。

「パニック買い」給油スタンドに長蛇の列 = 英国

  JETROによれば、英国石油大手BPはタンクローリーの運転手が不足、燃料輸送に影響が出ているため、9月23日から一部の給油スタンドを閉鎖したという。

英政府、不足するトラック運転手と家禽労働者に短期ビザを発給(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ

この発表から、多くの給油スタンドで長蛇の列ができ「パニック買い」が発生、BP以外の給油スタンドでも燃料輸送が間に合わず枯渇した店舗があったという。英国には約8,000カ所の給油スタンドがあるが、多くの店舗で燃料の不足または枯渇状態に陥ったとしているそうだ。

 

 

  原因は、ブレグジット EU離脱後の移民制限などで、トラック運転手や食品加工業者の労働力不足が継続し、それに加え、新型コロナの流行で新規労働者に対する資格認定手続きがおくれた影響もあるという。

 現時点で運転手10万人前後が不足し、英政府は、短期労働ビザの発給などの対応策を発表したそうだ。

天然ガス高騰、相次ぐエネルギー供給事業者の経営破綻 = 英国

 欧州で天然ガスが高騰、1年間で5倍近く値が上がったとの報道もある。英国では9月に入り、小中規模エネルギー供給事業者が相次いで経営破綻しているそうだ。

英政府、ガス価格高騰の対応方針を発表、事業者が相次ぎ経営破綻(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ

 英政府は、世界的にガス価格が高騰している要因として、「新型コロナが収束、経済活動が再開するにつれ、世界の天然ガス需要が増加した」、「2020年が寒い冬だったことでガスの備蓄が減少、天然ガス市場がタイトとなった」、「アジアでの液化天然ガスLNG)の需要が高い」などをあげているという。

f:id:dsupplying:20210929113026j:plain

中国の電力危機 石炭増加か

 中国では電力危機と呼ばれるほどに深刻化しているようだ。

 JIJI.COMによれば、 主因は石炭の値上がりだいう。相次ぐ炭鉱事故に伴う安全基準の強化などを受け、石炭生産の伸びが鈍化、これに対し国内製造業の旺盛な需要もあり、石炭価格は過去最高値まで上昇したそうだ。それに加え、CO2排出量削減目標が重しとなっているという。

江蘇省はじめ中国各地で電力制限、生産活動への影響も(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ

 中国当局は企業に対し、電力消費量の削減や操業制限などを要請、年間の電力消費量を前年比で30%減、電力供給これまでの40~70%程度に制限するなどの厳しい要求を出しているという。

 ブルームバーグによれば、中国はこの電力危機回避に向け、石炭輸入を増やそうとしているという。同様な理由で、石炭の購入を増やしている欧州やインドの買い手と競合する可能性があるそうだ。

 

 

 コロナ渦の最中、グリーンリカバリーが標榜されるようになり、カーボンニュートラル脱炭素を多くの国が目指すようになった。投資の世界は、ESG一色というほどまでになった。しかし、現実は少し異なるようだ。

 経済が回復し始めると、コンテナ不足で輸送が滞り、モノが不足するようになり欧米で物価が上昇した。そして、それだけではすまず、その影響が多方面に現れている。なかなか思い通りに進まない。経済の回復が早すぎるのだろうか。

 国内でも10月から食品など様々なモノやサービスが値上げになるという。こうした影響もあるのだろう。

食品値上げの秋 普通郵便、土曜配達休止―10月からこう変わる:時事ドットコム

 昨冬、天然ガス不足で電力需給が逼迫した。今年の冬に向け、積み増しは大丈夫なのだろうか。今日午後には自民党の新しい総裁が決めるという。脱炭素の流れを阻害することなく、しっかり舵取りしてもらいたい。