米国を寒波が襲っている。バイデン大統領が、テキサス州に非常事態宣言を発令し、州の救援活動を連邦政府が支援すると発表したという。
CNNによれば、そのテキサス州では電力需要に供給が追いつかず、計画停電が始まったという。天然ガスの供給不足や風力タービンの凍結によることが原因の一端になっているようだ。
寒さで気絶するウミガメ
危機的な状況にあるのは、人間だけではない、沿岸部に生息するウミガメも、寒さのあまり気絶しているのだとCurrier Japonが伝える。
「電力的な救援がないと、これでは持ちこたえられないです」
前代未聞です。
このようなコールドスタン(寒さによる気絶)は、何十年にもわたる保護の苦労を帳消しにしてしまう可能性があります。しかも停電中に救助活動することになるとは、これまでにない、壊滅的な難局です。 (出所:Currier Japon)
前例のない寒波 凍るパイプライン
前例のない猛烈な寒波で中部各地の油井が操業を停止、原油生産が40%近く減少していると、ブルームバーグは伝える。
テキサス州では極寒で油井の坑口とパイプライン内で原油と天然ガス液が凍結した。パイプラインを地下に敷設する北部の油田と異なり、同州では地上に設置されている。 (出所:ブルームバーグ)
弱り目に祟り目
コロナ渦の被害が深刻な米国を寒波が襲う。弱り目に祟り目とでもいうのであろうか。日本経済新聞によれば、テキサス州では大規模な停電が続き、復旧のめどはたっていないという。寒波による死者は20人以上にのぼっているそうだ。
テキサス州は真冬でも気温が氷点下となることはまれだが、今回の寒波では州内各地でマイナス10度以下となり、1989年以来の最低温度を記録した。南部の天然ガスパイプラインや風力発電設備は氷点下での操業を想定して設計しておらず、急激な気温低下による凍結を防げなかったとみられる。
テキサス州では電力供給の規制緩和によって低価格競争が激化し、電力使用量が下がる冬場の発電を抑える傾向が続いていた。 (出所:日本経済新聞)
国内でも寒波で電力需給が逼迫、一時新電力の電気料金が高騰したことが記憶に新しい。
今後こうした事態が頻発するようになるのだろうか。インフラ設備などをどこまで適応させるのかということも議論、検討されていくのだろうか。
米 パリ協定に正式に復帰
その米国が19日、「パリ協定」に正式に復帰するという。世界が強調し、地球温暖化に立ち向かっていくことになるのだろうか。
「何もしなければ打ち負かされる」。
JIJI.COMによると、バイデン大統領が、中国の環境関連の巨額インフラ投資を強く警戒しているという。
中国政府の政策立案に関わる清華大学の研究機関は、今後30年間に中国の環境投資が15兆ドルに達すると試算しており、米政府は「米中間で環境技術競争が激しさを増す」(国務省)と身構えている。 (出所:JIJI.COM)
切磋琢磨。競い合うことで温暖化対策が加速すれば、それはそれでありがたいことだ。何もこの分野まで米中対立を持ち出すことはなかろう。
対立解消に向け、協力関係の模索が今後の課題ということにはならないのだろうか。
圧力
資産運用大手の米ブラックロックが、投資先企業に対して、温暖化ガス排出に関する完全なデータを開示するよう求めたとロイターが報じる。
気候変動に対する企業の責任をより明確にする取り組みの一環で、開示が不十分な企業に対しては、株主総会で取締役に反対票を投じる可能性があるという。
企業の事業活動そのもので排出される温暖化ガスだけでなく、「スコープ3」と呼ばれる企業が販売した製品やサービスが使われることで生じる温暖化ガスの排出量についても開示の対象とする。
製油会社の場合、自動車がガソリンを使用することにより排出される温暖化ガスなども開示対象となる。 (出所:ロイター)
ロイターによれば、ブラックロックは今年1月、投資先企業のトップに送った書簡で、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を実現する計画を示すよう求めたという。ただ、ブラックロックに対しては、温暖化対策への取り組みが不十分だとの批判も出ており、温暖化対策でブラックロックの要求を受け入れない企業への投資は止めるべきだとの指摘もあるという。今後の対応が気になる。
新型コロナ、気候変動、どれも本来は世界が協力して対処すべき問題なのであろう。協力の下、リーダーシップ争いが起こり、シェアを争うのが自然なことであり、それが「サスティナビリティ」持続可能性だろう。
いつまでも過去の亡霊に縛られていることはないはずだ。早くそのことに気づくべきだ。
「参考文書」