Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

米中新たな覇権争い 気候正義とコロナ渦からのグリーンリカバリー

 

 コロナが最初に確認されてからもうすぐ1年経つという。1年経っても未だ終息せず、また猛威をふるい始めている。ファイザーのワクチンのニュースに希望に感じるが、すべての人に行き渡るにもう少し時間がかかるのだろう。

 この1年、様々な経験を味わい、社会の変化を目の当たりにしてきた。あたり前であった経済活動について、少し違った視点から考えるようになった。個人の考え方にも色々と変化があったりするのであろうか。

 それぞれの国が、それぞれの方法でコロナ対策を行う。ひとつの感染症を抑え込むのだから、みなが協力し、最優先で同じ手法で対処すれば、もっと早く根絶できるのかもしれない。しかし、そうはできない。それが現実の世界なのだろう。

 

 

 

 コロナ渦からの経済再生でも同じことが言えるのだろう。経済となれば、もっとその対策内容に差異が生まれる。それぞれの国で抱える事情も異なるから仕方ないことなのだろう。

 

コロナ渦からのグリーンリカバリ

 英ガーディアン紙が「Covid recovery plans threaten global climate hopes」という記事を出した。コロナからの回復計画が気候変動に対する脅威になっているというところであろうか。

 ガーディアンは、各国の経済対策を分析し、気候変動対策にどの程度寄与しているかを明らかにする。

 脱炭素社会へ向けての動きが加速することもなく、未だ化石燃料経済に資金を注ぎ込んでいる状態だと指摘する。「再生可能エネルギー、電気自動車、エネルギー効率などの低炭素の取り組みに資金を投入している主要国はほんの一握りです」という。

 

www.theguardian.com

 

 ガーディアンによれば、多くの国が、気候変動に対し貢献する対策を計画するが、その一方で、負の影響を及ぼす対策も同時に含んでいるという。差し引き全体でポジティブな対策を施しているのは、EUとフランス、スペイン、イギリス、ドイツなどEUの主要国のみだという。

 日本、アルゼンチン、メキシコ、シンガポールサウジアラビア、ロシアにいたっては、気候変動に貢献する対策がまったく含まれていないとの分析結果だ。しかし、記事が日本を批判していることはなく、グリーンニューディール計画を掲げた韓国やカナダ、石炭政策を続けるインドを批判する。

 

 

 

世界の気候変動対策を変える力

 記事は、米国トランプ政権がパンデミックからの経済回復を口実にして、気候変動対策を撤回、化石燃料産業を保護しているとし、これ同じ傾向が、 ブラジル、メキシコ、オーストラリア、南アフリカインドネシア、ロシア、サウジアラビアなどの国でみられるという。 

 しかし、バイデン氏が米国大統領に選出されることで、コロナ渦からの経済対策「グリーンリカバリー」を変革する可能性があるという。

「これらは非常に大胆な計画であり、それは他の国への重要なサインになるでしょう。米国が、コロナ後の「グリーンリカバリー」で、中国との間で、世界的なトップ争いを始めることになる」という。

バイデン氏は再生可能エネルギーを後押しし、2035年までにクリーンエネルギーですべての電力を供給し、2050年までにゼロエミッションに到達し、次の10年間で1.7兆ドルを投資し、民間投資は合計で5兆ドルになると見込んでいます。 (出所:ガーディアン)

 桁外れの投資額に驚愕するばかり。どこまでの予算を議会で確保できるかは別問題として存在するが、それでも、ゼロ・リセットされることはないのだろう。抑制されるのは、ある程度にとどまるのが一般的な見方なのかもしれない。 

 

 

 

 一方、中国は、「2060年のカーボンニュートラル実現に努力する」と習主席が国連で公表した。しかし、中国のグリーンリカバリーはまだ開始されていない。

 地球規模での気候変動対策を考えると、GHG温室効果ガスの排出が一番多い中国の新しい計画が重要な意味を持つ。今後示される中国の計画次第では世界全体の「グリーンリカバリー」が頓挫しかねないとガーディアンはいう。中国の次の5か年計画は来年3月に公表される。

 また、ガーディアンは、グリーンリカバリーを始めることのできない国は、数百万人規模の雇用機会を失う可能性があると指摘する。「住宅の断熱材」、「ソーラーパネル」、「電気自動車の充電インフラの設置」など、特に建設業において、雇用を後押しする大きな可能性があるという。

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カーボンニュートラルに向けた最初の一歩とするために

 政府は追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の編成を指示したという。時事通信によれば、21年度当初予算案と一体的な「15カ月予算」として打ち出すことで、新型コロナの影響による景気の落ち込みや雇用情勢の悪化に対応するという。

(1)新型コロナの感染拡大防止策

(2)ポストコロナに向け経済構造の転換・好循環の実現

(3)防災減災・国土強靱化の推進 

(出所:JIJI.COM) 

これらを柱として経済対策を策定するよう指示したという。

 

www.jiji.com

 

 GoToキャンペーンによる消費刺激策もいいが、そろそろ違った施策も必要ではなかろうか。コロナ渦で失業者に数が増えるばかりと聞く。雇用を生む施策も必要ではなかろうか。

 カーボンニュートラル政策に貢献する重層的な産業構造への転換につなげていく必要があるのだろう。