Up Cycle Circular’s diary

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【サステナをもう一度点検する】欧州での天然ガス高騰はグリーンリカバリーの躓きか

 

 イギリスが大混乱のようです。JIJI.COMによれば、キャベツなど野菜の収穫作業員の求人では時給が30ポンド(約4500円)に高騰しているといいます。タンクローリーの運転手が足りず、各地のガソリンスタンドで燃料不足によるパニック買いが起き、運搬の代行に政府が軍を出動させる事態に発展しているそうです。ブレグジットの後遺症に、コロナの影響で、英国が深刻な人手不足に陥っているといいます。

野菜収穫に時給4500円 軍が燃料運搬、人手不足深刻―英:時事ドットコム

一部地域では食品などの運搬に支障を来し、スーパーの棚が空っぽになった。食品加工業や農業でも労働者が不足し、中部ボストンでは野菜の収穫作業員に時給30ポンド、年収換算で6万2000ポンド(約930万円)が提示されたほどだ。 (出所:JIJI.COM)

 

 

 英政府はEU離脱の影響をかたくなに否定しているそうですが、たまらずビザの発給要件緩和に方針転換したといいます。

 ふと疑問に感じるのは、コロナ期間中には、こうした問題が生じていないであれば、やはりコロナ後の経済回復がトリガーになったということなのでしょうか。いちど収縮した経済に合わせた体制から、急激に物品が動くようになって、物流をはじめあちらこちらで人手で不足ということなのでしょうか。

 コロナ期間中に不足がなかったのであれば、急激な回復ではなく、もう少し回復がゆっくりであったなら、このような事態は避けられたのかもしれません。仮にそうであれば、コロナ前までは、ムダばかりで過剰消費だったような気がします。

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 英国を始め欧州で天然ガスが高騰しているそうです。朝日新聞によれば、新型コロナからの景気回復で、エネルギー需要が増加、それに加え、気候変動対策で、火力発電の燃料の比重を石炭から天然ガスに移してきたことも後押しているといいます。

欧州で天然ガス急騰 日本の電気料金への波及懸念強まる:朝日新聞デジタル

 一方、天然ガス供給元のロシアは、欧州各国との契約を履行しているそうですが、輸出量は2019年水準より低いといいます。経済が回復し在庫量が減り、これから冬に向かうということで、これまでの契約以上に天然ガスを買い増す必要が生じているのでしょうか。

 欧州がコロナ渦からの経済回復をグリーンリカバリーと称して、環境政策を強化しようとしたことが何か皮肉のようにも見えてしまいます。何事も思い描いた計画通りには進まないのかもしれません。計画に見合った心構えも必要ということなのでしょう。

 

 

 緊急事態宣言が解除され、また、新政権も誕生することで、経済回復に期待が膨らみます。この週末も、宣言解除を謳歌しようと多くの人出があったようです。しかし、欧州での混乱ぶりを垣間見ると、急激な回復はコロナ渦と違った混乱のもとになるのかもしれません。コロナ渦で苦しい思いをした人々を思えば、急ぎたくなるものですが、漸進、ゆっくりと、長く持続する回復のほうがよいのではないかと感じます。

 この10月から様々なモノとサービスの価格が値上がりになっています。また、11月からは、電気などのエネルギー価格も値上げになるといいます。急ぎ過ぎれば、こうした動きに拍車がかかるのかもしれません。日銀の物価目標2%に近づくのかもしれませんが、それで混乱するようでは困ったことになります。

 先行した欧米中が混乱して躓くなら、同じ轍を踏むことはないはずです。元々出遅れているなら、ゆっくりと経済回復いていくことを目指し、そのなかでミニマルとか、足るを知るようなサステナブルな素養、心構えを身につけていく方がよいのではないかと思います。