Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

エネルギー高騰と脱炭素、もう想定外はない、あらわになった原発リスク

 

 早期の解決が望まれる問題ほど、その解決には時間がかかるものだろう。

 欧米が改めて決意を一にしたのだろうか。

ロシアにさらなる代償を、米英独仏首脳が決意確認 | ロイター

 バイデン米大統領が、英独仏の首脳とビデオ会談し、「ロシアの挑発を受けたものでなく、正当化できないウクライナ侵攻」に対し、さらなる代償をロシアに負わせることへの決意を確認したという。

ホワイトハウスが発表した声明によると、バイデン氏、マクロン仏大統領、シュルツ独首相、ジョンソン英首相は「ウクライナに防衛、経済、人道上の支援提供を継続するコミットメント」を明確にした。(出所:ロイター)

 

 

対抗

 ロシアが制裁措置への対抗策として、ガスパイプライン「ノルドストリーム1」経由での欧州への天然ガス供給の停止も辞さない構えを表明したという。

ロシア、ノルドストリーム1経由の欧州への天然ガス供給遮断も辞さず - Bloomberg

 ブルームバーグによると、ロシアのエネルギー問題を担当するノバク副首相が、ロシア経済に科された制裁に等しいような行動を取る権利があると、テレビ演説で発言したという。

ノバク副首相はまた、米国と欧州連合(EU)がロシア産原油の禁輸に踏み切ればロシアには原油販売で別の選択肢があると語り、そうした行動は「世界の市場に壊滅的な結果」をもたらし、価格が1バレル=300ドル以上に急騰する可能性があると警告した。(出所:ブルームバーグ

 単なるゆさぶりなのだろうか、それとも本気で実行する気はあるのだろうか。

将来を鑑み今でき得る対策

 一方、EUは、近く開催となる首脳会議で、ロシアからの石油・天然ガス・石炭の輸入を徐々に縮小していくことで合意する見通しという。

EUが10日から首脳会議、ロシア産石油・ガスの輸入縮小で合意へ | ロイター

「ロシアが報復として輸出制限に動けば、域内のエネルギー供給が大混乱しかねない」。

このための対策として(1)液化天然ガス(LNG)の利用やバイオガス、水素の開発を通じたエネルギー供給と調達の多様化(2)再生エネルギー普及加速(3)域内のガス・電力網の共有化による有効活用促進(4)電力網の統一化とエネルギー安全保障のための緊急計画強化――などを打ち出している。(出所:ロイター)

 今すぐに効果のある対策とは言えそうにないが、将来を見据えたことなのだろうか。今しばらくはロシア頼り、駆け引きが続くのだろうか。

 

 

狙われた原発

 ロシアによるウクライナでの戦争で、原発施設が標的となり、ロシア軍によって占拠される事態に発展した。IAEAは憂慮を示した。

焦点:ロシア軍「原発攻撃」の波紋、各国の建設計画に慎重論も | ロイター

ザポロジエ原発を手中に収めたが、それまでに激戦が展開され、原発の研修施設で大火災が発生。火災は消し止められ、原子炉は問題ないと職員が宣言したものの、原発は戦時の攻撃にもろく、深刻な放射能漏れが起きる危険性があると世界中に警鐘を鳴らす形になった。(出所:ロイター)

 そればかりでない。ロシアは執拗に核施設を攻撃する。

ロシア軍、ウクライナの核研究施設を破壊-IAEAが非難 - Bloomberg

ロシア軍はウクライナ第2の都市ハリコフで国際的な保護下に置かれている原子物理学研究所を破壊した。国際原子力機関IAEA)のグロッシ事務局長が明らかにした。核関連施設周辺での戦闘によってもたらされる安全性リスクが、あらためて懸念されている。(出所:ブルームバーグ

 ブルームバーグによれば、グロッシ事務局長が「このような状況は看過できない」と発言したという。

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 今回、まさかのことが現実に起きている。地政学リスクを考慮したエネルギー政策の再構築が求められているのだろう。脱炭素路線から逸脱することはできない。

 しかし、原発は極めてリスクの高い代物と意識せざるを得ない、もう想定外はないということなのだろう。