Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ESG視点の欠如なのか、遅れるロシアからの事業撤退、ユニクロはロシアで事業継続か

 

 地政学リスクの深刻さをこのプーチンの戦争を見て痛切に感じる。超えてはならない一線という倫理が崩壊してしまったのだろうか。

 そうであれば、イデオロギーの対立や諍い、他国に対する嫌がらせ、妨害ということも見過ごすことができなくなる。

 欧米企業がこぞってロシアから事業撤退する。相変わらず、日本企業の動きが鈍いようだが、そんな中、ファーストリテイリングの柳井社長がコメントを発表したという。

戦争は絶対にいけない。あらゆる国が反対すべきだ

今回は全欧州が明確に戦争に反対し、ウクライナへの援助を示した。世界を分断する試みは逆に結束を強固にする。(出所:日本経済新聞

 

 

 ブルームバーグによると、柳井社長は「衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利がある」と述べたという。

ファーストリテ柳井氏:戦争は反対、ロシア人にも生活の「権利」 - Bloomberg

 また、「今後の状況を注視しつつも事業は継続する方針」だという。

 それぞれの意見があっていいのだろう。柳井氏の主張も理解できるが、それでいいのだろうか。

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「ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受け、人道的な立場から事業の撤退・縮小を判断した日本企業は現段階でほぼ見当たらない」とブルームバーグが指摘する。

有事の経営判断にどれだけESG(環境・社会・企業統治)の観点を取り入れるのか、米欧企業との温度差が出ているという。

有事の判断、ESG観点で日・米欧企業に温度差-ウクライナ侵攻 - Bloomberg

 ウクライナのクレバ外相は、日本企業にロシア事業撤退を呼び掛けているという。

日本企業では、海外企業の事業見直し発表に追随するという例が多い。ロシア側との関係など、企業によって事情が異なるため一概には比較できないが、日本に根強く残る「集団主義」が企業としての意思決定を遅らせているとの見方もある。(出所:ブルームバーグ

 今回の出来事は、将来的にはESGの機運を高める方向に働き、地政学的な問題だけでなく、「人権や政治体制などへの感度が高まる可能性がある」と話す証券会社のアナリストの声を紹介する。

 

 

日本企業の多くは、欧米企業ほど株主や取引先、当局、さらには従業員から批判を受けるような事態にはまだ直面していないと、ESG投資の専門家は指摘する。

投資判断を助言するコンサルティング会社、モロー・ソダリでESGを担当するJana Jevcakova氏は「世界的な機関投資家を株主に持つ企業はじきに、あるいはすでに圧力を感じているが、日本にはまだそうした株主のいる企業が多くない」と話す。(出所:ロイター)

アングル:日本企業がロシア事業に苦慮、欧米勢撤退で焦り募る | ロイター

「良き企業市民であるには、政府の制裁方針を順守するだけでなく、制裁対象外の事業を停止することも必要となる」と、デンマークの年金基金アカデミカ―ペンションの最高投資責任者は指摘しているという。

財務的な観点からは短期的に損失を意味するかもしれないが、ロシアが長期的に非難される可能性があることを考えると、長い目で見たコストはあまり変わらないだろう。(出所:ロイター)

 漁夫の利を狙っているのであるまい。正論を通せば、遺恨が残ることもないのだろう。

ロイター目撃者によるとウクライナ首都キエフの北西約25キロの町イルピンで6日、町外に逃れようとしていた人々がロシア軍による砲撃に巻き込まれ、身を隠す場所を求めて逃げ回る事態が発生した。(出所:ロイター)

jp.reuters.com

 これが現実なのだろう。連日会議を開いて。リスクを評価、対応を協議している場合ではないのかもしれない。