Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

急落する株価、近づくCOP26「気候変動枠組条約締約国会議」、不安を感じる新しい成長戦略

 

 政権が変わったというのに、株価が急落している。

 昨日の米国株式市場の流れもあるのだろうが、それにしても、開始早々900円近く値を下げているようだ。

 世界的なエネルギー不足が懸念され、原油先物の値が上がっている影響があるという。昨日の新首相の記者会見がもう少し違う内容であれば、影響を少しやわらげることはできなかっただろうか。これだけ値を下げたということは、まったく期待されていないことの現れなのかもしれない。

 前の政権がカーボンニュートラル宣言を行い、産業界が脱炭素に突き進み始めた。それもこれも気候変動対策への対応であり、世界的な潮流に従った国際協調路線であった。

 その流れにあって、総選挙が優先され、日程がだぶるCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)など重要な国際会議の場にはオンライン出席になる予定だという。それでは、株価が何ら反応しないことも理解できない訳ではない。

 

 

 OECD経済協力開発機構が、G20(20カ国・地域)に対し、低炭素経済への移行でESG(環境・社会・企業統治)分野の格付けや投資が効果的に機能する体制を整えるため、さらなる対応が必要だとの報告書をまとめたという。

ESG格付け・投資に改善余地、OECDがG20に向け報告書 | ロイター

 ロイターによれば、今月のG20会合に先立ち公表された報告書には、国際的な気候目標を達成する上でESG投資は有効だが、「かなりの課題」を克服する必要があると指摘しているという。特にESGの問題を評価する手法が多岐にわたり、データが一貫性に欠け、格付け手法が比較可能ではない点が課題だとしているそうだ。

報告書は「ESGの格付け・投資に関連するこうした相反する動きと課題は、市場の一体性と投資家の信頼を損ね、投資の決断がどこまで環境・気候に影響を及ぼすのかが見えにくくなる恐れがある」と指摘。「長期的な価値と低炭素経済への移行を支える具体的な進展を実現する上で必要になる資本配分のペースと規模が、こうした課題によって最終的に抑制されかねない」と述べた。 (出所:ロイター)

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 OECDは、カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)に向けた道筋についての情報が「不十分」なことや、カーボンプライシングや再生可能エネルギーに関する政策が不明瞭なこと、また投資家が特定の気候目標に沿うポートフォリオを構築するための商品や測定手段が不足していることも、投資を妨げる要因になっていると指摘しているそうだ。

「全体としては、今の市場の分断を改善し、投資家の信頼と市場の一体性を強化する方向に、ESGと気候移行関連の慣行を前進させるには、国際協力の拡大が必要だ」と報告書は述べているとロイターが報じる。

 

 

 コロナ渦が少し落ち着き始めたと思えば、強すぎた経済回復でエネルギー不足が顕在化する。これから冬を迎えるというのに不安をおぼえる問題だ。

 政権が変わったのだから、新たな成長戦略も仕方ないのかもしれないが、独善的になるのも困りものような気がする。

新しい資本主義の実現

富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断を防ぎ、成長のみ、規制改革・構造改革のみではない経済を目指すための「成長と分配の好循環」と、デジタル化など新型コロナによってもたらされた社会変革の芽を大きく育て、「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした、新しい資本主義を実現していく。

そのための第一歩として、成長戦略については、(1)科学技術立国、(2)デジタル田園都市国家構想、(3)経済安全保障、(4)人生100年時代の不安解消に向けた社会保障改革に取り組む。 (出所:首相官邸公式ページ

「新しい資本主義」という言葉は新鮮味があるのかもしないが、その中身がデジタル化では陳腐なものかもしれない。前に戻ってしまった印象すらある。

 今月8日は新首相の所信表明があるという。もう少し工夫が必要なのかもしれない。国際社会から置いてけぼりにされるのはもうこりごりだ。