新型コロナの感染拡大で、「家で過ごすことが増え、暮らし方を見直すようになり、それをきっかけに、エシカル消費を考えるようになった」というアンケート結果を日本生活協同組合連合会(日本生協連)が公表した。
「エシカル消費(倫理的消費)」とは地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことと日本生協連は説明する。
エシカル消費に取り組むことができない・しづらいと感じることがある場合、その理由として最も多かったのは「価格が高い、経済的な負担が増える」(36.2%)でした。
次に多かったのが「取り組みの効果がわからない」、「どんな取り組みがあるか知らない」といった回答で、いずれも17.1%となりました。 (出所:日本生協連)
エシカル消費と定義すると、一気にハードルが高くなってしまうのかもしれない。「必要な量だけの購入」とか、「地元のものを購入」とか、もっと気軽に考えていいのではないだろうか。あれもこれもと何から何までいわゆる「エシカル消費」で揃えようとすると気が滅入ってしまう。何も常に100点満点を取ることが「エシカル消費」ではないと思う。
「サステナビリティとは、どのようにものを消費して、ごみを出すかということです。そして、これに頭を悩ませています」。
アディダスジャパンのトーマス・サイラー副社長が、ハフポストのインタビューで、そう答える。
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飲み物を買ったりコンビニに行ったりすると、いつも必要のない、余計なプラスチックがついてきます。断ったのに、ついてくることもあります。ごみを増やしてしまうことがあまりに苦痛で、一時期、外で食べ物を注文するのをやめたくらいです。今ではコーヒーのテイクアウトは紙コップだけで十分で、プラスチック製のふたは断ります。オフィスに帰り着くまでに多少こぼれますが、しかたのないことと考えています。 (出所:ハフポスト)
サスティナビリティも、エシカル消費も進行形ということなのかもしれない。
アディダスは2015年から、海洋保全NGOの「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)」とパートナーシップを結び、回収した海洋プラスチックごみから新素材を生み出し商品化した。また、主力商品の「スタンスミス」でもリサイクル素材を採用した。ステラ・マッカートニーや同じスニーカーメーカーのオールバーズともコラボし、商品開発を進める。
「コラボは、彼らや私たちの利益のためではなく、スポーツ用品の枠さえ飛び越えた業界全体のインスピレーションになるでしょう」 (出所:ハフポスト)
「サステナビリティに関心を持つ消費者が増える一方で、「価格が高い」「かっこよくない」「機能性が低い」などの意見もあります.....」と問われたサイラー副社長は、「私たちは結局のところスポーツメーカーであり、デザイン企業です」と答え、「サステナブルな素材を使い、CO₂排出量を削減した工程で作られ、サステナブルな方法で売られることと、人々が楽しんで運動でき、見た目がかっこいいことは矛盾しません」という。
デザイン、機能性、パフォーマンス、サステナビリティはうまく連携する必要がありますし、実際の商品開発サイクルでは、デザイナーはサステナビリティ担当エンジニアと協力します。
一つの要素がほかの要素の犠牲の上に成り立つわけではないのです。
さらに、私たちのサステナブル商品は、そうではない(自社や他社の)商品に比べて決して高くないし、むしろ数年のうちに、商品がサステナブルに作られることを消費者が当然のこととして要求する「ハイジーン・ファクター(衛生要因)」になるでしょう。 (出所:ハフポスト)
そして、「消費者を説得するには、何と言ってもスポーツにおける信頼性を高めるしかありません」という。
どうせ買い物をするなら、エシカル消費に近いものほうがいいのかもしれない。ただそれが苦痛になるくらいなら無理しない方がいい。それよりは自分の生活信条に照らし合わせて、共感できる会社の商品やサービスを選ぶ方がいいのだろう。
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多くの企業が「サスティナビリティ」に取り組むようになったといわれる。アディダスの取り組みを、サイラー副社長は次のように説明する。
最初のステップは、企業が戦略プランを公開することだと思います。公にすることで責任が生じます。
私たちにとってサステナビリティとは年に1度のキャンペーンではありません。
毎年5月に実践して、残りの11カ月は沈黙する、というものではありません。継続して365日、どう伝え、何をするか、なのです。それがメッセージを強く打ち出すことにつながると思います。 (出所:ハフポスト)
そして、これが、サステナビリティの問題解決やSDGsの達成に果たすアディダスの役割だという。
ふと「義」という言葉を思い出す。「義」とは、正しい道を追求していくことだという。エシカル消費もサステナビリティも、「義」と同じなのかもしれない。それは、個人も企業も同じなのではなかろうか。