無印良品が今日28日から、「大豆ミート」の販売を始める。大豆由来の代替肉、植物肉とでもいっていいのだろうか。良品計画によると、ハンバーグやミートボールの他に、「ひき肉タイプ」のものや「薄切りタイプ」のものも発売となる。水戻し不要で料理にすぐ使えるという。値段は290円。
(写真:良品計画)
無印「大豆ミート」 大豆たんぱくで肉のような食感
良品計画は「環境問題の解決策のひとつとして」という。今後、世界では人口増に伴いたんぱく質確保が課題となり、また、それに伴う食肉需要増加が新たな問題の懸念があると指摘する。畜産は、多くの飼料用穀物や水が必要とし、それに加えて、家畜が排出するCO2量の増加が懸念される。これら懸念の解決に向け、牛や豚などと比べて生産時に使用する水が少なくてすみ、CO2が発生しにくい大豆を主原料とした「大豆ミート」を作ったという。良品計画によれば、肉のような食感と味に仕上がっているという。
イオンは10月6日から植物置きかえ食品「Vegetive(ベジティブ)」シリーズの販売を始めた。イオンも良品計画同様に今後の人口増による影響を危惧、「植物性たんぱく質」を中心にして植物性原料に置きかえていくそうだ。
植物肉というと、米ビヨンドミートやインポッシブルフーズなどのイメージがあったが、国内でもこうした植物肉がもっと手軽に買えるようなっていくのだろうか。
無印のお肉は試してみたいと思う。違和感さえなければ普段の食生活に取り入れてもいいのかもしれない。
食と農林水産業のサステナビリティを考える = 農水省「あふの環プロジェクト」
農林水産省は「あふの環プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」を始め、「スペンドシフト~サステナブルを日常に、エシカルを当たり前に!~」を合言葉に、 生産から消費までのステークホルダーが連携し、食料や農林水産業に係る持続的な生産消費を達成することを目指すという。
このプロジェクトでは、「サステナビリティ」と聞いて、何をすればいいのかわからないという企業のお悩みを、横のつながりを作って解決する狙いもあるようだ。
(資料:農林水産省 「あふの環プロジェクト」)
サステナビリティをリードするEUの小売業
「あふの環プロジェクト」では、勉強会などを開催、EUの事例などを紹介、啓蒙を図ろうしているようだ。2回目の勉強会では、PwCプライスウォーターハウスクーパースが講師になり、英スーパーマーケット「テスコ」の事例などを紹介しているようだ。
(資料:農林水産省「第2回 あふの環 勉強会「EUサプライチェーンでのサステナビリティ向上の取り組み」)
こうした事例分析、ベストプラクティスを学ぶことが、SDGsや国の「カーボンニュートラル」につながっていけばいいのかもしれない。あまり難しく考え過ぎに、ハードルを少し低くして、チャレンジできる雰囲気作りも必要ではないかと感じる。小さなことを積み重ねていけば、いずれにゴールに到達できるというものだ。
マイグレーション ポジティブな変化
首相が所信表明で「カーボンニュートラル」を宣言すると、世の中の雰囲気が変わっていくのだろうか。報道されるネタに変化はなくても、論調に変化が現れているようだ。
優れた省エネや電池の技術で環境先進国といわれてきた日本だが、中国や欧州の飛躍でその地位が大きく揺らぐ。世界が「温暖化ガス排出ゼロ」を競うなか、日本の将来は技術革新を起こせるかにかかっている。
「脱炭素社会」で競争力の源泉となるのが、再生可能エネルギーと蓄電池技術だ。革新的なイノベーションを期待できる技術の芽生えは既にある。いかに育てるかだ。 (出所:日本経済新聞)
世界の企業の取り組みは進み、30年代にはCO2を大気中から取り出し、化学原料などに再利用することが当たり前になっているかもしれない。 (出所:日本経済新聞)
革新的なイノベーションと言えば、DXデジタルトランスフォーメーションがお決まりだった。フィンテックやキャッシュレス、便利にはなったかもしれないが、それがイノベーションと呼べるものだったのかどうか。
消費者のマインドに変化が生まれ、農水省ではないけれど、サステナブルな消費が定着すれば、それを「イノベーション」と呼んでいいのかもしれない。
何が新しいイノベーションを牽引していくことになっていくのだろうか。
地球温暖化が産業界にもたらす脅威の一つは、たった一つの技術革新で、これまでの「勝ち組」と「負け組」の構図が入れ替わることだ。
日本はこれまで再エネ・省エネ技術で世界をリードしてきた。脱炭素社会の進展とともにあっという間に中国や欧州に市場を奪われた。 (出所:日本経済新聞)
隣の国中国は2060年のカーボンニュートラルを目指すという。その方針があってのことか、「2035年をめどに新車販売のすべてを環境対応車にする方向で検討する」と日本経済新聞が伝える。
50%を電気自動車(EV)を柱とする新エネルギー車とし、残りの50%を占めるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にする。
世界最大の中国市場の方針転換は、世界の自動車大手にも対応を迫る (出所:日本経済新聞)
違うステージでの競争が起こり始めているような気がする。
50年のカーボンニュートラルを「規制」や「負担」と捉えずに好機としなければ日本の環境先進国としての復権はないと日本経済新聞はいう。もっとものご指摘だ。
みなの理解が進めば、それだけ前に進む。社会の雰囲気を変えていかなければならないということだろう。
それは変化するというよりは、よりサステナブルな世界に移行していくということなのかもしれない。