Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

変わり始めるプラスチックス カーボンリサイクルを利用した化粧品容器をロレアルが発表

 

 今度は「国会で「気候非常事態宣言」が決議される見通し」と朝日新聞が報じる。変われば変わるものだと、率直にそう感じる。

 朝日新聞によれば、超党派議員連盟が28日に総会を開き、決議文案を決めたという。臨時国会で、衆参両院全会一致での採択をめざすそうだ。今年2月だったか、同じような話があったが見送られた。抵抗勢力がいなくなったということであろうか。

 

digital.asahi.com

 

 世界では、1800を超える自治体や議会が気候変動非常事態宣言を表明しているという。国内では、長崎県壱岐市が2019年9月はじめて宣言、その後、宣言する自治体が相次ぎ、今では、今年10月23日時点で、国内の34自治体、14議会が宣言しているそうだ(環境省調べ)。

 

 

 

 変化の連鎖なのか、世界各地で変化が起きているようなニュースを目にする。

 

仏ロレアル カーボンリサイクルから作られた容器を発表

 仏ロレアルが世界で初めてカーボンリサイクルから作られた化粧品容器を発表した。驚きの内容だ。

 ロレアルによれば、2024年までにこのサステナブルな素材をシャンプーとコンディショナーのボトルに使用するという。また、他の企業もこの画期的なイノベーションに参加することを望んでいると発表した。

 

www.loreal.com

 

 この新しいサステナブルな容器はロレアルの他、LanzaTech社とTotal社とのコラボレーションにて実現したという。

  LanzaTech社が、まず産業界が排出した二酸化炭素を収集し、独自のバイオプロセスを経てエタノールに変換するという。そのエタノールを使い、Total社の脱水プロセスを通過すると、エチレンに変換され、従来の石油由来と同じ機械的特性を持つポリエチレンに重合されるという。その後、ロレアルがこのポリエチレンを使用して、従来と同じ品質の容器を製造する。

 

 

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(写真:LanzaTech)

 

LanzaTech | Capturing carbon. Fueling growth.

 

 

 

世界最大手のプラスチックスメーカSABICが始めたケミカルリサイクル

 シンガポール ストレートタイムスは世界最大手のプラスチックスメーカSABIC(サビック:旧GEプラスチックス)のサーキュラー・エコノミーを紹介する。SABICのPR記事かもしれないが。

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(写真:SABIC)

 世界最大手のプラスチックスメーカだけに、その顧客リストには、ユニリーバエスティローダー、タッパーウェア、クノール、テスコ等々、業界最大手のグローバルメーカが名を連ねる。そして、これら顧客で、SABICのケミカルリサイクルによって再生されたプラスチックスの利用が始まっているようだ。

 ユニリーバのアイスクリームブランド「マグナム」の容器には、今年初めから、SABICの再生ポリプロピレンが採用され、すでに700万個以上が製造されたという。来年からは世界展開するという。

 SABICはこうしたケミカルリサイクルによるサーキュラーエコノミーのみならず、サウジアラビアでは、SABICの関連会社が世界最大の二酸化炭素(CO2)の回収および精製プラントを運営、カーボンリサイクルから肥料などを製造し始めている。

 SABICも危機感を強めているのだろうか。脱プラが進めば、ビジネスが縮小しかねない。サーキュラーエコノミーを高度化させていくことが求められているのであろう。その一方で、地球温暖化対策の強化も求められ、カーボンリサイクルへのチャレンジも続けていく必要もあるのであろう。

 

www.straitstimes.com

 

 

 

 ユニリーバは再生プラスチックスへの切り替え進む

 消費財大手のユニリーバが10月28日に、昨年10月発表したコミットメントに対する進捗を報告した。

 そのコミットメントは『2025年までに世界全体で10万トンのプラスチックパッケージを削減するとともに、販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援する』 というものだった。その中で、プラスチックス使用の25%を再生プラスチックスに切り替えるという目標を設けていた。

 ユニリーバは、「Dove」や「アイスクリームのマグナム」などの世界的なブランドを保有する。それらブランドで再生プラスチックスの使用量が、来年には現在の2倍になるという。こうした現実を踏まえてのことか、ユニリーバは目標に対して「順調に進んでいる」と主張しているとBusinessGreenが伝える。

 また、まだ少数であるようだが、ランドリー、パーソナルケア商品の他、お茶などをの店内で詰め替えができるようにするテストも始めたようだ。

 

www.businessgreen.com

 

 こうした動きはまだごく一部のかもしれないが、プラスチックスの利用が少しずつ変わり始めているように感じる。

 ロレアルが発表したカーボンリサイクルを利用したプラスチックス容器には驚く。カーボンフットプリントが減少することは魅力であるが、その一方で脱プラという動きにはつながっていかない。まずは量は減らすというアクションが必要ということなのだろう。その上で、回収を進め、リサイクルを促進していく、その方がよりリーズナブルなアクションになる。

 いずれにせよ、プラスチックスにはまだまだ課題が多い。課題解決ともに、ベストプラクティスの模索も続くのだろう。

 

  

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