Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

天然素材と生分解性プラ 自然界に存在するようになったプラスチックス

 

 プラスチックス、その特徴は、軽くて丈夫で長持ち、その上、加工しやすく、リサイクルもできる。人類は、これまでそのプラスチックスの特徴を活かすことなく使用してきたのかもしれない。

 オーストラリアのスタートアップZeroCoの創設者マイク・スミスはこういう。

プラスチックスは、永久に使用できるように設計されたことがありません。」

「洗濯洗剤の容器が「家宝」になり、代々引き継がれていくことを望んでいます」

 確かに、プラスチックスの特徴からすれば子々孫々引き継いでいくことはできるのかもしれない。 

 

 

 シドニーモーニングヘラルドが、そのマイク・スミス氏の活動を紹介する。

 インドネシアジャカルタ海で海洋プラスチックスの回収したことがスタートだった。6000kgのプラスチックスを回収、運搬し、それをリサイクルし容器を作った。その容器にはオーストラリア製の洗剤など家庭用品が充填された。再利用可能な詰め替え用ポーチも準備し、使い終わればそのポーチから補充もできる。使い終わったポーチはZero Coに返送され、再度補充され、再利用されていく。 

www.smh.com.au

 

 オーストラリアのZero Coのビジネスはとてもシンプル。だが、今までそれをやろうとした人はあまりいない。手間ばかりがかかることが理由なのであろうか。

 

新たなサステナブルプロジェクト「SBAS」始動 = 資生堂

 資生堂が、新たなグローバルなサステナブルプロジェクト「Sustainable Beauty Actions(サステナブル・ビューティー・アクションズ)」(SBAS)を始める。
 SBASは、「MOTTAINAI(リサイクルやリユース)」、「HARMONY(社会や環境との調和)」、「EMPATHY(共鳴)」という3つの柱で構成されているという。 

corp.shiseido.com

 

 11月19日(木)から、お店でボトルの詰め替えレフィルサービスを始め、11月1日からは、世界初の生分解性ポリマーからできた化粧品容器に採用した「リップパレット」を限定発売するという。

 詰め替えサービスは、今年7月に銀座にオープンした資生堂の旗艦店「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」で対応するそうだ。

 詰め替えサービスが増えれば、使い捨てされる容器がひとつ減る。手間はかかるのかもしれないが、順次拡大していけばいいのかもしれない。 

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(写真:資生堂)「アルティミューン ファウンテン」

 

 生分解性ポリマーを使用したリップパレットは「客寄せパンダ」なのだろうか。

「アクアジェル リップパレット」

A kiss to the sea。

キスしたくなるような美しい未来の海を守るためのこだわりが詰まった、

5つの彩りと質感が楽しめる限定リップパレット。(出所:資生堂) 

  容器には、生分解性ポリマー PHBH®が採用されているという。資生堂によれば、 PHBH®は、カネカが独自に開発した100%植物由来のポリマーで、「海中」や「土中」など幅広い環境下で優れた生分解性が期待される素材だと説明する。ただ、自然に戻っていくには、1~3年もの時間がかかる。あるときにパッと消える訳ではない。

 

 

 資生堂の商品が、1年以上もの間、海にプカプカと浮いていてはあまりサステナブルとは思えない。使い終わった容器を土の中に埋める人はいるのだろうか。適切に処理されなければ、今あるプラスチックスと何ら変わらない。

 生分解性を必要するものは他にある。土のう袋や農業用マルチシート。堤防の補修に使われる土のう袋も生分解性があれば、いずれ自然に帰り堤防の一部となる。

 生分解性ポリマーを採用する意味はあったのだろうか。お客様の誤解につながらないかと少しばかり不安になる。そのこともわかっての限定販売ということなのだろうか。

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(写真:資生堂) SHISEIDO アクアジェル リップパレット

 

天然素材「竹」 その優れた特性はプラスチックスの替わりになる 

 BEPALが、プラスチックに代わる天然素材「竹」の可能性紹介する。竹はおそらく、自然界で最も優秀なマテリアルだという。

「台所の笊、農具の籠や箕。川魚を獲る漁具。家の屋根や壁。かつては暮らしのあらゆるところで竹が活躍してました」

 虎竹(虎斑竹)の生産加工を行なう山岸義浩さんの言葉だという。

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かつて生活の中に取り入れられていた竹が、プラスチックスが登場することで駆逐された。プラスチックスが、竹が持つ性能をほぼカバーしたうえ、しかも値段が格段に安いことが理由だと指摘する。

便利だ、便利だと肯定していった結果が、海のマイクロプラスチック問題です。

もうひとつが山の荒廃問題ですわ。私ね、田舎の人間自身が竹害というのを聞くと腹が立つんです。植えたのはあんたらやないかと。 

.....だが、みんなが再び竹細工のような天然素材の製品を買えば、いろんな問題が一挙に解決できるかというと、現実はそんなに甘くもない。(出所:BEPAL)

www.bepal.net

 

「籠が編める人も減っていますが、良い竹を育てて山から切り出す技術を持つ職人がおらんがです。循環が切れかかっちゅう」と山岸さんは語る。

 常々天然素材を取り入れた商品がもっと増えればと思っていた。そうすることで自然保護につながったり、伝統工芸を守ることになることもある。

 

 残念ながら、今では海洋プラが自然界の中に存在するようになってしまった。こうした素材も積極活用した方が自然にとってもよいことなのかもしれない。