今日もまた雨、列島に居座る梅雨前線。また、どこかで大雨が降るのだろうか。
一方、コロナの感染者は国内で2万人を超え、米国では300万人を超えたという。
日本経済新聞が、「新型コロナウイルスの空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した感染について、新たな証拠があると世界保健機関(WHO)が見解を示した」と伝える。
気にかかることが増える。すぐには解決されそうにもないことばかり。
自助、共助の精神で、できることを地道にやっていくしかないのだろう。
ロレアル プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を尊重へ
6月、仏ロレアルが、この「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)の枠内で、ビジネス全体を運営する体制への移行を目指す」と発表した。
プラネタリー・バウンダリーとは
「地球の限界」、あるいは「惑星限界」とも呼ばれる。
2009年に、ストックホルム・レジリエンス・センターとオーストラリア国立大学の主導のもとで定義され、地球にとっての安全域や程度を示す「限界値」を有する9つの地球システムからなる。
9つの限界点とは、「海洋酸性化」、「気候変動」、「生物多様性の損失」、「Biogeochemical (窒素の循環、リンの循環)」、「土地利用変化」、「グローバルな淡水利用」、「成層圏オゾン層の破壊」、「大気エアロゾルの負荷」、「化学物質による汚染」。
人類の活動がある閾値、または転換点を通過してしまった後には、取り返しがつかない「不可逆的かつ急激な環境変化」の危険性があるものを定義する地球システムにおけるフレームワークの中心的概念である。 (出所:Wikipedia)
ストックホルムレジリエンスセンターによれば、「気候変動」、「生物多様性の損失」、「土地利用変化」、「Biogeochemical (窒素の循環、リンの循環)」は、すでに人間が安全に活動できる限界を越えているという。
プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を尊重するビジネスモデルへ
「地球の限界を超えると、地球は、人類が発展しうる生息地ではなくなってしまいます」と、 ロレアルはいう。
そのため、まずは気候変動と立ち向かうべく、SBT(Science Based Target: 科学目標3)に基づいた、2030年までの数値化可能な目標を新たに定義したという。
さらにもう一歩踏み込み、「生物多様性の保全」「サステナブルな水資源管理」「資源の循環利用」にも取り組んでいくという。
人類が安全に活動できる場所を尊重することは、科学者が満場一致で同意するように、今後数十年間の最優先課題でなくてはなりません。 (出所:ロレアル ニュースリリース)
この発表に先立ち、5月、仏ロレアルは、「火急の社会・環境課題への取組み」に1億5,000万ユーロを充当することを発表した。
その内訳は、海洋および森林生態系の回復プロジェクトと、サーキュラーエコノミーに関連するプロジェクトにそれぞれ5000万ユーロ、女性支援のために5000万ユーロを充てるという内容になっている。
6月26日、仏本社に合わせ、日本ロレアルも、新たな「サステナビリティ・コミットメント」を発表した。 本社同様、「プラネタリー・バウンダリー」と「ジェンダー平等」が主要なテーマになっているようだ。
それに加え、日本政府が掲げる 「8 つの SDGsの優先課題」の内、特に重要とされる4つの課題に、日本ロレアルとしても重点的に取り組むという。
4つの課題とは、「目標 5 ジェンダー平等」、「目標 12 持続可能な消費と生産」、「目標 13 気候変動」、「目標 17 グローバル・パートナーシップの活性化」
そして、目標のゴールを3年以内に設定する。
「プラネタリー・バウンダリー」を尊重すべく、ビジネスを変革していく
o 2021 年 6 月末までに、リテール・プロモーションにおけるすべての新規什器を 100% エコデザイン POSに切り替えます
o 2022 年末までに、日本ロレアルの全拠点においてカーボン・ニュートラルを達成します。(再生可能エネルギーの 100%採用は、日本ロレアルにおいては既に全拠点にて達成済です)
o 2023 年末までに、日本ロレアルリサーチ & イノベーションセンターによる製品開発において、当社独自の「TRUST」基準を100%満たします。当社グループの環境影響評価ツールである「SPOT: Sustainable Product Optimization Tool(持続可能な製品最適化ツール)」においてカテゴリ平均以上のスコア獲得を 100%達成するとともに、持続可能なイノベーションと消費者に信頼される製品づくりを目指します。 (出所:日本ロレアル ニュースリリース)
2021 年までに、日本ロレアルの主要 11 ブランドすべてが独自のサステナビリティアクションを始動し、日本の環境・社会的課題解決に貢献しますという。
SDGsランキング
6月、SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)と独ベルテルスマン財団が「持続可能な開発報告書2020」を発表した。
毎年恒例で発表されるSDGsの達成ランキングが、この報告書で公表となる。
日本は昨年の15位より順位を落として17位。
相変わらず、「目標5 ジェンダー平等」や「目標13 気候変動対策」、「目標17 パートナーシップのスコア」に加え、「目標14」、「目標15」の評価が低く、大きな課題があると言われている。
目標5 ジェンダー平等の実現に向けて「未来への扉」
日本ロレアルの女性管理職が占める割合は、2020 年 6 月時点で、管理職全体で 53%になり、すでに過半数を超えているという。
2020 年末までに、マネジメントコミッティー(部長職相当以上の管理職)で 50%以上、2025年末までには、エグゼクティブコミッティー(役員クラス)で 50%達成を目指します。 (出所:日本ロレアル ニュースリリース)
また、この他にも「ジェンダー平等の実現」に向け、「未来への扉」というシングルマザー就労支援プログラムを続けるロレアル。
昨年までで、受講者であるシングルマザーの過半数が所得増を達成したいう。
このコロナで、女性たち、特にシングルマザーが置かれている状況はさらに厳しくなっているという。そうした人たちに、支援団体を通じて、ロレアル製品を寄付を続けるとも発表した。
「プラネタリー・バウンダリー」という概念を取り入れ、その範囲内で、商品開発し、ビジネス進めようとするロレアル。日本のSDGsへの貢献も期待したい。
「関連文書」
「参考文書」