Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

気候変動とコロナが常態化する社会 自然の保護と再生を急ぐ企業

 

 岐阜県と長野県にも大雨特別警報が出た。連日の大雨特別警報に驚く。国が指摘している通り「気候変動の影響」によるということなのだろうか。

 

 コロナであれば、行動自粛である程度感染拡大を抑えることができても、天候については制御することはできない。それに加え、今すぐ効く特効薬などない。災害リスクがすぐそこにあるという状態が続くことになるのかもしれない。

 

 自然を蔑ろにしてきたことの代償ということなのだろうか。

 

 「自然の恵みは本当に「タダ」なのか」

と問いかけるのは、MS & ADインターリスク総研の原口氏。「自然資本」を考慮した経営への転換が必要だと説く。

「昭和型のビジネスというのは、社会や環境の問題は基本的に行政が考えることで、経営者にその問題を考える責任は負わされてこなかった。

資金さえあれば資源は自由に調達できたし、少々酷使してもへこたれない若い労働力も沢山あった。

しかし、これを続けてきた結果、気候変動、自然環境破壊や社会の格差が拡大し、経営にも直接的に影響のあるリスク(気象災害の増加、資源の枯渇、保護主義の台頭、少子化による人手不足)が生じるようになっているのです。」 (出所:Mirai )

 

www.msad-mirai.co.jp

 

 

 

 6月15日、ユニリーバは、気候変動を食い止め、自然環境を保全・再生し、次世代に資源を引き継ぐための新たなコミットメント「健全な地球を取り戻すために」を発表した。

 新たに創設された気候&自然基金(Climate & Nature Fund)に、総額10億ユーロ(約1200億円)を投資、森林、土壌、生物多様性を守り回復に導くためのプログラムを推進するという。

 

この投資は今後10年にわたり、有意義で断固たる行動に活用されます。プロジェクトの例としては、景観の回復 、森林の再生、炭素隔離、野生動物保護、水の保全などが挙げられます。 (出所:ユニリーバ ニュースリリース

 

 新型コロナウイルスに対応している間に、気候変動や自然環境の劣化がなくなったわけではなく、むしろ事態は日々深刻さを増しているという。

 いくつか発表されたアクションの中には、

2023年までに森林破壊を行わないサプライチェーンを実現します」と、短期間で成果をあげようという従来とは異なる目標も設定されている。

 

業界、NGO、政府機関と協力しながら、森林や泥炭地、熱帯雨林といった枠を超え、炭素蓄積量が多く保護価値の高い重要な地域を保護します。

このような地域は耕地に変えられる脅威にさらされており、自然生息環境に破壊的な影響が及ぶ可能性が考えられます。 (出所:ユニリーバ ニュースリリース

 

 SDGsやパリ協定で、毎年少しづつ良化するかもしれないが、そのゴールは10年後になってしまう。

 3年後、2023年をゴールに設定したユニリーバの目標は野心的なのかもしれない。

 

「私たちにはもう時間が残されていません」

 と、ユニリーバはいう。

  

www.unilever.co.jp

 

 

 

 今年4月、仏政府は、コロナで経営が悪化した仏の航空会社エールフランスKLM航空の支援のため、「国を代表する航空会社を救済するため」といい、およそ70億ユーロ融資すると発表した。
 仏政府は、この「歴史的な支援」への見返りをエールフランスに求め、収益体質の改善と環境対策への取り組み強化を条件に課したという。

 支援の具体的条件は、「2024年までにCO2排出量を50%削減すること」、「環境負荷の低い機体への移行」、「持続可能な代替燃料の導入」を求めたという。

 

 わずか4年の間に、CO2排出を50%削減しろという仏政府の要求には驚く。

 欧州がもつ気候変動への危機感からなのだろうか。

 

 

 6月、ヨーロッパアルプスの氷河を地球温暖化から守るため、今年も、防水シートで覆う作業が始まったという。

 

この氷河は1993年以降、30%超縮小。

スキーシーズンが終わりケーブルカーの運行が停止すると、保護活動家たちは、太陽光線を遮断する白い防水シートを用いて、氷河の融解を止める作業を急ぐ。

 シートに覆われるのは、プロジェクトが始まった2008年は約3万平方メートルのエリアだったが、現在は10万平方メートルに拡大。 (出所:AFP BB NEWS)

 

www.afpbb.com

 

 目を国内に転じれば、今しばらく大雨のリスクは続きそうだ。 

 欧州企業のように、国内企業にもスピード感あるアクションが求められているのかもしれない。

 

 大雨が続いた九州にある多くの工場が、従業員や取引先の安全確保を最優先、物流の停滞なども考慮し、操業を停止したという。

 投資家たちも、気候変動への対応を強く求め始めているのかもしれない。

 

 

「参考文書」

With/After コロナの世界に求められる企業経営とは (みずほ総合研究所)
~サステナビリティ軸を踏まえた事業の棚卸しと時間軸を意識した事業再構築が重要に

  

www.jetro.go.jp