日本国の石炭政策は変わるのだろうか。このところ石炭関連のニュースが増える。
日本政府、石炭火力の輸出支援を「厳格化」 脱炭素化へ誘導 とロイターが報じた。
「一足飛びにゼロというわけにはいかない」、
「より現実的な一歩を踏み出すということ」。
と、梶山経済産業相が会見で述べたそうだ。 「より現実的な一歩」と表現したということであれば、変化していくことを認めたと受け取ってもよさそうだ。
今後、新たに計画される石炭火力発電プロジェクトについては「エネルギー政策や環境政策に係る2国間協議の枠組みを持たないなど、日本が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題・脱炭素に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府として支援しないことを原則とする」とした。 (出所:ロイター)
小泉環境相は「支援しないことを原則とする」という文言が入ったことを評価したという。
ロイターによれば、小泉環境相が問題を提起し、環境省や経産省など関係省庁が「石炭火力発電の輸出条件の見直し」について協議を続けていたという。
脱炭素化は必然のものとなっており、関係省庁間でも、輸出相手国の行動変容を促すことが必要との認識は共有した。 (出所:ロイター)
政策転換することは難しいことなのかもしれない。自らの政策が間違っていたとは言えないだろうから、従来通り経産省は「日本の高い技術による石炭火力発電を必要とする国は多い」と主張するのだろう。
しかし、リーズナブルに問題が提起され、その現実を直視すれば、行動変容しなければならない。が、利害関係者からの要望をあれば、そうは簡単に妥協もできない。
「相手国の行動変容」とはうまい表現なのかもしれない。
言葉悪く言えば、玉虫色の決定のように見えるが、それが政府決定ということなのだろう。利害関係者が都合よく解釈できないといけないのかもしれない。
来年のエネルギー基本計画にどう反映されるのか、この決定を受け、関係する企業のアクションに変化があるのかということが焦点になっていくのだろうか。
環境省として「一足飛びにゼロにできない」ことを認めてしまったので、今後の手綱さばきが気になる。
小泉環境相は「来年のエネルギーミックス、ドミノが倒れるように、脱炭素化社会の実現に向け議論する素地ができたと思っている」とし「COP26はCOP25より、前向きなものを持っていけるのは間違いない」と述べ、来年予定されているエネルギーミックスの見直しにも自信を示した。 (出所:ロイター)
2009年、当時首相であった鳩山由紀夫氏が、国連で、「2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する」と宣言した。
この宣言をうけ、これからは節電が求められるだろうと気づいたアイリスオーヤマは、低廉なLED電球の開発を始めたという。白熱電球1個 100円だったときのことである。
2011年の東日本大震災後、たびたび計画停電が実施され、節電、省エネがますます求められようになった。
このとき、アイリスオーヤマは、LED照明の生産ラインの増強し対応したという。
そのアイリスオーヤマが、 7月9日、宮城県角田工場からの国産マスクの出荷を開始したと発表した。
今後も生産設備を順次導入し、国内生産1億5千万枚/月の生産体制を構築するという。
角田工場では、マスクそのものに加え、マスクの中間層フィルターとして使われるメルトブロー、マスクの内側と外側に使うスパンボンドといった不織布も生産する。
改修の投資総額は約30億円。本格稼働にあたり、100人を新規に雇用する。 (出所:ITmedia NEWS)
アイリスオーヤマは、政府のマスク増産要請に応えたことになるが、もっと早く気づいていれば、シャープのようになったかもしれない。
(写真出所:アイリスオーヤマ ニュースリリース)
気づくことができれば、変化することはできる。できないという気持ちを断ち切ることできれば、自由に発想できるようになるのかもしれない。
ユニクロ柳井氏は、当初、マスク生産に消極的であったと聞いていたが、顧客の要望に応える形でマスク生産に方向転換し、大きな反響が起きた。
ユニクロは当初、4月の決算発表会時点でファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長が「服を売るのが本業で、マスクの製造は考えていない」と発言するなど、マスクの販売には消極的な姿勢を示していた。複数の報道によると、顧客からマスクを製造してほしいと要望があったことを踏まえて、方針を変えたという。 (出所:FASHIONSNAP)
固定概念を抜け出ることで、思わぬチャンスに巡り合うことがあるのかもしれない。
7月1日からレジ袋が有料化になった。
レジ袋は悪なのか? 業界主張「ポリ袋は実はエコ商材」
とITmedia NEWSが伝える。
包装資材メーカー「清水化学工業」(東京都足立区)は自社のウェブサイトで、「ポリ袋は実はエコ商材なんです」と訴えている。
《ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない》
《ポリ袋は見かけほどゴミ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%》
《繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的》
としている。
同社担当者は、「有料化に関しては(意見は)差し控える」としつつ、「メーカーなのでポリエチレンを知っていただいたうえで、環境について考えてもらいたいと思った」と話す。 (出所:ITmedia NEWS)
政府方針が出ると、従わなければならないとの同調圧力が働く。一方で、影響を受ける人たちは、それに反発する。
当然、メーカの主張にも一理はあるのだろう。でも、結局、最後は消費者の行動ですべてが決まってしまう。消費者を説得をできなければ、反発したところで、それは徒労に終わってしまう。
アイリスオーヤマの経営理念にこんな一節がある。
「常に高い志を持ち、常に未完成であることを認識し、革新成長する生命力に満ちた組織体をつくる」。
どんな企業も、常に目標を持つものだ。
常に、理想と現実にはギャップがあるのだから、永遠に未完成ということなのかもしれない。だからこそ、成長できる余地が常にあるということでもある。
固定概念に縛られると、なかなか自由に発想できなくなる。世の中にはきっかけになるようことがあふれている。それに気づけると、違った世界が見え始める。
少しだけ想像を膨らませてみるのがいいのかもしれない。
「参考文書」