Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【ごみゼロの世界】マックのハッピーセットのおもちゃがトレーになった事例

 

 今ほど環境が注目される以前のこと、国内生産していたある部品を海外に切り替えた。すると、工場側からは一斉に文句があがった。今まで通函(かよいばこ)、梱包箱を再利用する運用ができていたのに、使い捨ての箱にかわって、ごみばかりが増えてどうにもならないと言われた。

 梱包や輸送の費用を最小化するように苦心した箱だったが、その苦労が一瞬のうちに否定され、おまけにカウンターパンチを食らったような気分になった。

 海外製に切り替え、部品コストは下がったが、工場での経費は増えた。当時はその費用比較でことなきを得たが、工場の指摘はもっとものことだった。

ごみが増えれば、その処分費用がかさむ

 それを燃やせば余分に二酸化炭素も排出される。当時はまだそれほど環境のことは考えていなかった。ただ、以後、ごみ、ムダのことが気にかけるようになった。

 

 

 電化製品を作るにも鉄やアルミ、プラスチックスと様々な素材を利用する。それらを使う製造工程では、多量の端材が生じる。

 鉄やアルミの端材は有価物として回収されリサイクルに回るが、プラスチックスの端材はごみとして処分するしかない。端材ができないような工夫を、費用をかけて設備側に設けたり、どうしても発生する端材は再利用していた。その場で破砕し、同じ部品をつくる材料の一部としてリサイクルする。ただ同じプラスチックスであっても、その場でリサイクルできるものもあればできないものもある。そうしたものは端材を最小化していく。

 当時は、ごみの最小化というよりは、コスト低減が誘因だったかもしれない。ただ、ごみを減らそうとすれば、ムダな費用が減ると無意識に理解したことで、行動できたのかもしれない。

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 マクドナルドが、ハッピーセットでくばるプラスチックス製おもちゃを、店頭の回収ボックスで集めて、トレーに生まれ変わらせ、再利用しているという。

【マクドナルドの本気】環境保全は“ビジネスのおまけ”を超える

 これまで環境保全とビジネスは両立できないといわれてきました。

 でも我々の経験から言えば、リサイクルについて学び、商品やサービスの仕様をもとに「設計」すれば、どの企業にも両立の最適解が必ず見つかるものなんです。

 単純に「SDGsが流行りだから」「競合他社が取り組んでいるから」と、環境保全を“ビジネスのおまけ”として捉えているうちは、それにたどり着くのは難しいでしょう。 (出所:NEWSPICKS)

 再利用やリサイクル、ごみを無くす「ゼロウェイスト」を難しいものにしているのではないかと感じてしまう。

 そもそも論から言えば、ハッピーセットプラスチックスのおもちゃは必要かとなるのだろうけれども、それは少し横に置いておいて、今あるおもちゃをごみとして処分するなら、再利用すべきだし、おもちゃそのものとして再利用ができないなら、プラスチックス素材として再利用することは合理的なことなのだろう。

 そうすることで、使い捨てプラスチックスがひとつ減り、素材になって再利用されることで、ごみもまた減る。

 

 

 海洋ごみを回収し再利用しようとする「オーシャンクリーンアップ」をロイターが批判している。

「彼らは海を助けたいと思っていますが、海を助ける最善の方法は、そもそもプラスチックスが海に侵入するのを防ぐことです」、「プラスチックスが外洋に入ると、それを再び取り出すのは非常に高価で化石燃料を大量に消費するようになります」

Ocean Cleanup struggles to fulfill promise to scoop up plastic at sea | Reuters

 もっともの指摘だ。しかし、誰かが回収しなければ、海に漂うごみはなくならないし、海に暮らす生物たちはいつまでも危険に晒される。

 ロイターによれば、海洋科学者たちはの「オーシャンクリーンアップ」のビジョンを非難しているという。その活動資金がコカ・コーラなどの企業からのものであり、彼らが、プラスチックス、ペットボトルなどをなくそうしないことが理由のようだ。

 指摘は理解できるが、もう一方で、なぜペットボトルがごみとなって海洋に流れ出るかも問題ではなかろうか。ペットボトルなくても、不要なものが海洋に流れ出れば、同じ問題が生じる。

 

 

 結局は誰かが回収しない限りは永久に海洋ごみはなくならないし、その処分方法が確立できなければ、燃やして二酸化炭素に変えるしかない。これほどムダなことはあるだろうか。

 ごみを無くそうとするゼロウェイスト活動を推進し、できる限り再利用を促進する。それはモノの原料である素材も同じなのだろう。

 そうすることが徹底された世界では、不要なものがなくなり、ごみが限りなくゼロに近づいていくのかもしれない。