インド洋上の小国モーリシャスの南東の沖合で商船三井が傭船したばら積み貨物船WAKASHIOが座礁し、燃料の重油が大量に流出しているという。周辺のサンゴ礁などへの影響が懸念されている。
環境における緊急事態 モーリシャス沖 「わかしお」座礁事故
モーリシャス政府は事故を受け、「環境における緊急事態」を宣言したそうだ。
AFPによれば、「わかしおが沈むことは、モーリシャスにとって危険を意味する。わが国は座礁した船を再浮上させる技術もノウハウも持っていないので、フランスとエマニュエル・マクロン大統領に支援を要請した」とモーリシャスの首相が述べたという。
マクロン大統領は8日、モーリシャス当局が同国にとって空前の規模の環境災害と呼ぶ出来事への援助を行うため、近隣に位置するレユニオン島から隊員や装備品が駆り出されていると説明。ツイッター(Twitter)に「生物の多様性が危機的状況にさらされているとき、緊急に行動する必要性がある。モーリシャスの国民に寄り添う」と投稿した。 (出所:AFP BB News)
商船三井によれば、座礁事故発生後より社長をトップとする海難対策本部を立ち上げ、日本およびモーリシャスをはじめとする関係当局と連携して対応しているという。
兎に角、一刻も早く重油の流出を止め、自然環境へ被害が及ぶことを何としてでも食い止めれもらいたい。
- 環境における緊急事態 モーリシャス沖 「わかしお」座礁事故
- モルディブにおけるマイクロプラスチックス被害
- エコフレンドリー・トラベル
- 海洋プラスチックス被害の実態
- 海洋プラスチックス対策 海の持続可能性に必要な行動
- MSC認証 持続可能な漁業
モルディブにおけるマイクロプラスチックス被害
自分が訪れたことがある国での災害には気になるものだ。
インド洋のもうひとつの小国モルディブではマイクロプラスチックスの被害が深刻のようだ。
原因として考えられているのは、インドなどインド洋近隣諸国から海流によってやって来るものや、モルディブのごみ処理や貧弱な下水道などの廃水システムから漏れ出ているものなどがあるという。埋立地として使用される「ゴミ島」もマイクロプラスチックスに寄与している可能性があるという。
過去10年間でモルディブの1人あたりの廃棄物は58%増加し、現在の廃棄物管理システムでは、人口増加と開発のペースに追いつくことができていないという。
「廃棄物を大幅に削減し廃棄物管理を改善しなければ、小さな島のコミュニティは、海洋環境に高レベルのマイクロプラスチック汚染を生成し続け、生態系、海洋生物、および地元の島のコミュニティの健康に悪影響を及ぼす可能性がある」とphys.orgは指摘する。
モルディブに滞在し、その美しい自然に魅せられ、至上の時間を過ごすことができたなんて思っていたが、こうした記事を読むと罪悪を感じたりもする。
エコフレンドリー・トラベル
コンデナスト・トラベラーがいうエコフレンドリー・トラベル(環境にやさしい旅)の精神が必要と感じたりもする。
コロナ対策からエコフレンドリーな選択肢をコンデナスト・トラベラーは紹介する。
海洋プラスチックス被害の実態
コンデナスト・トラベラーも指摘しているが、コロナによる使い捨てプラスチックスの増加、海洋プラスチックスやマイクロプラスチックスの問題が気になる。
ここ最近、多くの研究論文が出ていることの影響もあるのだろう。
「海洋のプラスチックス汚染の大部分を一掃する方法は、気が遠くなるほど難しい問題であり、解決するためにさまざまな革新的なアプローチを取るものです」と、NEW ATLASは、英国とドイツの科学者によって行われた研究結果を紹介する。
この研究は、海面に浮遊プラスチックスにのみ焦点を当て、海面下にあるプラスチックス廃棄物やマイクロプラスチックスは対象としていない。
河川と埋立地で流れる水の量から浮遊プラスチックスの総質量を推定するモデルを開発し、その分析から、現在399,000mt(トン)の浮遊プラスチックスが、2052年までに860,000mtに達するという。
海洋プラスチックス対策 海の持続可能性に必要な行動
2019年、The Ocean Cleanup Projecが立ち上がり、太平洋での浮遊プラスチックスの回収を始めた。この研究で明らかになったことは、これらの回収装置が200台がストップすることなし稼働しても、130年間で回収できる浮遊プラスチックスの量は44,90mt、全体の約5%が削減されるのみだという。
エクセター大学の研究著者は、仮にすべてのプラスチックスを収集できたとしても、どうやって回収したプラスチックスを処分するのかと疑問を投げかける。
長期間浮遊し、分解または生物付着したプラスチックスは、リサイクルが困難だと指摘する。解決策として考えられることは、「燃やす」か「埋める」、しかし、埋めることは地面を汚染する可能性があり、燃えると大気への余分なCO2排出につながると指摘する。
また、The Ocean Cleanupは、河川から海洋に流れ出るプラスチックス廃棄物を回収する「インターセプター」も稼働させている。海洋に浮遊するほとんどのプラスチックス廃棄物は河川を経由して入ると言われるからのようだ。
この研究の著者は、この「インターセプター」が主要な汚染地域に設置されれば、今後海に流れ込むと予想される汚染の「ほとんど」を防ぐことができると言う。
Introducing the Interceptor | Cleaning Rivers | The Ocean Cleanup
しかし、商品を輸送する海運も主要な河川に依存しているため、「インタセプター」のような装置を大規模に設置することは現実的ではないという。
研究者たちは、プラスチックスの代わりに、より環境にやさしい材料を開発して使用し、長期的な解決策の重要な部分として、プラスチックス消費に関する私たちの行動を変える必要性を指摘しているという。
こうした研究から出てくる結論はどれも同じだ。
「私たちの行動を変える必要がある」
行動が変わらなければ、海の持続可能性が危機に陥ってしまうのかもしれない。
MSC認証 持続可能な漁業
宮城県気仙沼市の「臼福本店」のクロマグロ漁が、海のエコラベル「MSC認証」を近く取得する見通しとなったという。クロマグロのはえ縄漁船「第1昭福丸」、東大西洋のクロマグロが対象となる。
河北新報によると、認証を取得する日本の漁業は7件目で、クロマグロ漁では世界初となる。認証後、臼福本店は「海のエコラベル」付きのクロマグロを、主に飲食店向けとして日本や米国で販売するそうだ。
「国内の市場には海外で乱獲された魚も多く、差別化を図りたかった。マグロを食べる人にも資源管理を考えてもらうきっかけになればいい」
と臼福本店の臼井社長のコメントを河北新報は紹介する。
2年にわたる審査を経て認証となる直前、今年1月にWWFとPEWが、「資源量が十分回復していないのではないか」と異議申立てを行なったという。
これに対し、臼井社長は反論する。
「私たちは現在ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)で決められた漁獲管理を100%遵守しており、一漁船で取り組める点はすべて取り組んでMSCの基準を満たし、独自にも電子タグ試験導入に率先して取りくみ、漁獲から消費に至るまで厳格なるトレーサビリティシステムを構築しようと努力をしております。
これまでは彼ら自然保護団体の行動のおかげもあって、絶滅危惧状態にあった大西洋クロマグロの資源回復がICCATで取り組まれるようになり、私たち漁業者は心を入れ替えICCATで決定された厳格な資源管理を受け入れ、また結果を出すために率先して改善を行ってきました。
その結果資源が回復をしたのは紛れもない事実です。
しかし、私たちのような改善努力をしている漁業者を全く認めず、厳格な管理のもとで正直な操業を行う一延縄漁船に他のすべての問題の責任までも被せるようなことをされるのは、正直非常に残念であり不当であります。 (出所:臼福本店公式サイト)
MSC日本事務所によると、WWFが提起したクロマグロの成熟率に関する懸念事項は、改定された行動計画に反映されていると、独立裁定人が判断し今回の認証となるようだ。
MSC日本事務所は、「審査では、認証取得の条件としていくつかの改善措置が挙げられました。今後の5年間で行う改善措置には、ICCATとその加盟国、他の漁業団体とともにタイセイヨウクロマグロの資源管理のさらなる改善を促進することです」とコメントする。
気仙沼の漁業会社が持続可能な漁業を目指そうととった行動が、結局は大西洋クロマグロの資源保護のさらなる改善を促進したということになったということなのだろうか。
今年もサンマが不漁だという。海にも様々な問題が存在する。
マイクロプラスチックスの問題など、どの問題も一筋縄では解決されそうにもない。
「臼福本店」のMSC認証のニュースに少しばかり希望を感じた。
「参考文書」