Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【マイクロプラスチックスの実態】漏れ出るプラごみ、流出防止に取り組み始める企業

 

 マイクロプラスチックを採取、調査している団体があります。一般社団法人ピリカ、環境関連調査を手がける団体です。

opendata.plastic.research.pirika.org

 日本財団の助成事業で、国内外の河川や港湾の浮遊マイクロプラスチックスを調査し、結果を公表しています。

 2020年の調査では、120 地点中 112 地点でマイクロプラスチック が 採取され、そのうち 人工芝破片が23%(重量比)を占め、全体でワーストだったといいます。その次にはコーティング肥料の殻が上り、15%に達するといいます。

 意外な調査結果、意外なものが流出しています。

 

 

「流出するマイクロプラスチック 稲作で使うコーティング肥料の殻が海や川に」と、NHKがその実態をリポートします。

 「コーティング肥料」、作業の負担が少なく、安定的な生産ができることなどを理由に、水田で利用することが多いといいます。ただ、多くの農家が、その素材がプラスチックからでき、一部が分解されないまま川などに流出していることは最近まで知られていなかったと指摘します。

www3.nhk.or.jp

 NHKによると、自治体や肥料メーカーは流出させないようチラシを配ったり、肥料の袋に注意書きを書いたりしているそうですが、十分に周知が行き渡っているとは言いがたいのが現状といいます。

肥料で使われているプラスチックの殻は小さすぎて拾えないため、流れ出した時点でマイクロプラスチックになってしまうことが一番の問題だ (出所:NHK

 現状ではこれと言って有効な対策がないといいます。だからと言って、そのまま垂れ流してしまうことが許されるのでしょうか。

 

 

 人工芝を製造販売する住友ゴムは、今年2月から兵庫県西宮市で、スポーツ用人工芝からのマイクロプラスチック流出を抑制するための実証実験を始めたといいます。

 住友ゴムによると、経年変化などを定期的に観察し、対策効果、バリア資材の適性や耐久性、メンテナンスの必要性などの検証を進めるといいます。

 人工芝の維持管理に手間をかけるくらいなら、無理せず天然芝を利用する手もあるのかもしれません。

f:id:dsupplying:20210714131120p:plain

(資料:住友ゴム

 アパレル大手のアダストリアは、マイクロプラスチックスの原因になる洗濯時に発生する繊維くずの流出を抑制する洗濯ネット「FIBER HOLD BAG(ファイバーホールドバッグ)」を開発、販売しています。

 アダストリアによると、この新しい洗濯ネットは、通常のネットよりも細かい0.05㎜の網目生地を表面に使用し、洗濯ネットの外に微細な繊維くずが出ない仕様にしているといいます。洗濯ネットを使用しない場合と比べると、平均で80%の流出抑止効果があるそうです。内側に網目の大きな生地をフィルターとして入れ、二重構造にすることで、衣服と繊維くずが洗濯ネットの中で分かれる工夫もされているといいます。

f:id:dsupplying:20210714145010p:plain

(写真:アダストリア

洗濯ネットを洗濯時に使用することは衣服同士の摩擦を防ぎ、衣服を長くきれいに保つことにもつながります。着用期間が1年延びると日本全体で4万t以上の廃棄物削減につながるという調査結果も出ており、洗濯ネットの販売を通じて、こうした側面でも環境負荷の低減に貢献できると考えています。 (出所:アダストリア

 製造元が海洋プラスチックごみの原因を探り、それが自らの製品由来であれば、その対策に乗り出す、あってあたりまえのことのようにも感じます。が、アピールすることがでその認知が進めば、その防止に役立つのかもしれません。コーディング肥料についても利用者農家任せにすることなく、対策を講じることが求められているのでしょう。

 アダストリアは、プラスチックごみによる海洋汚染が拡大しており、2050年には海洋プラスチックごみが魚の重量を超えるとも予測されていますといいます。

 早急な行動が求められています。

 

「関連文書」

uminohi.jp

newswitch.jp