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【サプライチェーンと人権問題】経済産業省が繊維産業に求めるサスティナビリティとは

 

 日本政府が、繊維産業などのサプライチェーン(供給網)全体から人権侵害を排除する態勢を強化するとニュースが流れています。少し仰々しい表現とも感じますが。

 ようやくといっていいのでしょうか、経済産業省が、「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」の報告書をまとめ、今後、企業、業界が取組むべき内容を提言しています。人権問題もこの中で扱われ、取り組むべき内容が示されています。

www.meti.go.jp

 大量消費、大量廃棄の問題、脱プラの問題、新疆綿をはじめとする人権問題、それに多くの人たちが疑問を持ち始め、声をあげ、ある方向性を見出してきたように感じます。

 今さらとの感も否めませんが、まだ取り残される企業もあり、企業や業界が自ら先導していこうとの姿勢に欠けるのであれば、経済産業省が動くことも致し方ないのかもしれません。

 

 ロイターによれば、この報告書では、人権侵害が行われていないかどうかを確認するための指針の策定を業界団体に求めているといいます。

指針は、繊維関連のメーカーなどでつくる日本繊維産業連盟が国際労働機関(ILO)と協力して2022年をめどに策定する。企業が、取引先が労働者の人権を侵害していないかどうかを調べる際に活用してもらう狙いがある。 (出所:ロイター)

jp.reuters.com

「2015年のSDGs(持続可能な開発⽬標)の採択以降、国内外において、官⺠でのサステナビリティの取組が活発になっているが、⽇本の繊維産業に⽬を向けると、⼀部の企業においてその取組が始まっているものの、サプライチェーンの管理等、取組が⼗分になされているとは⾔い難い状況にある」と報告書は指摘します。

 報告書での提言内容は、「環境配慮」「責任あるサプライチェーン管理」「ジェンダー平等」「供給構造」「デジタル化の促進」から構成されています。

 

 

 「責任あるサプライチェーン管理」では、「デュー・ディリジェンスの実施」「国際認証取得に向けた環境整備」「外国人技能実習生等への対応」を取り組むべき内容にあげています。

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(資料:経済産業省「繊維産業のサステナビリティに関する検討会報告書概要」

人権デューデリジェンス」、企業が事業活動に伴う人権侵害リスクを把握し予防や軽減策を講じること。サプライチェーン(供給網)上での強制労働や児童労働の排除も含まれると日本経済新聞は説明します。

www.nikkei.com

  

外国人技能実習制度」、米国務省が7月1日発表した世界各国の人身売買に関する報告書で、日本の外国人技能実習制度の悪用が問題視されたといいます。

 多くの実習生が劣悪な環境でも働き続けるしかない状況に追い込まれているからだと東京新聞は問題指摘します。

日本の技術を母国に持ち帰ってもらう「国際貢献」の理念は色あせ、逆に「搾取」の汚名を負った。 (出所:東京新聞

www.tokyo-np.co.jp

 

供給構造」では、⼤量⽣産・⼤量消費といった事業活動や消費活動は限界を迎えているとの指摘があり、限りある資源を有効に活⽤することが重要といい、「適量⽣産・適量供給」を⽬指していくことが求められているといいます。

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(資料:経済産業省「繊維産業のサステナビリティに関する検討会報告書概要」

 

 ⽇本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター法・制度研究グループ⻑⼭⽥ 美和氏は、「アジアにおける責任あるサプライチェーンのリーダーとして」との提言をしています。

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((資料:経済産業省「繊維産業のサステナビリティに関する検討会 プレゼンテーション・ポイント集」))

 その一方で、国内では「外国人技能実習制度」の問題を抱えているという矛盾があります。

技能実習生は毎年増え、昨年10月で40万2356人。外国人労働者の23・3%を占める。賃金は月平均16万1700円で、外国人労働者全体の同21万8100円を大きく下回る。19年に実習先約1万事業所を調べると、7割以上で労働時間や残業代の支払いなどで違反があった。 (出所:東京新聞

 

 

「脱炭素」に注目が集まり、気候変動や環境問題の関心が高まったのかもしれません。しかし、それに比べると、人権問題はまだ取り組みに甘さがあるのではないでしょうか。

 ジェンダー平等や最低賃金、外国人技能実習制度などは企業活動の根幹にかかわる問題です。優先して解決されなければならないはずです。そこに国際的にも批判があるなら、なおさらです。

 変化を行動で示し続けなければ、サスティナビリティ「持続可能な社会」に近づくことはないはずです。リーダーとしての自覚を持ち改革を進めていくことが求められているのでしょう。