Up Cycle Circular’s diary

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【独占を許さず】米中で経済政策を見直す動き始まる

 

 世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのラリー・フィンクCEOが、世界銀行IMF国際通貨基金が時代遅れだと、イタリアのベネチアで開催される「気候変動」に関する国際会議で、世界の指導者らに訴えるといいます。

 ブルームバーグによると、途上国に持続可能性をもたらすのに必要な巨額の投資をこれら国際機関がまとめるには抜本的な改革が必要だと主張しているそうだ。

www.bloomberg.co.jp

開発と経済的安定を促進するために融資を行うのでなく、民間投資家のリスクを低減する役割を担うことで、世界がクリーンエネルギーへと移行する上でより有益な存在になれるとの考えを示した。 (出所:ブルームバーグ

 世界銀行IMFが設立されたのは77年前、第2次世界大戦の末期といいます。SDGs 持続可能な社会を標榜する世界に適合しない仕組みということなのでしょうか。

 コロナ渦がきっかけに、これまでの経済政策を見直そうとする動きが世界各地で散見され始めているようです。

 

 

 米国では、バイデン大統領が競争促進の大統領令に署名し、一握りの企業にシェアが偏りすぎないよう規制を強化する方向にかじを切ったそうです。

 日本経済新聞によれば、独占に目をつぶってでも企業の国際競争力の向上を優先する1970年代以来の路線の抜本的な軌道修正になる可能性があるといいます。

www.nikkei.com

グーグルやフェイスブックなどは多くのサービスを無料で提供している。価格のつり上げのような昔ながらの手法で消費者の利益を損なうことはない。一方で新興企業の相次ぐ買収などで市場支配力を高め、取引業者に対して優位に立つ。 (出所:日本経済新聞

 バイデン大統領の特別補佐官のコロンビア大のティム・ウー教授は、IT大手が買収を繰り返して寡占体制を築き、競合他社の商品やサービスを模倣して地位を不当に強固にしたとみているといいます。

 その対策としてM&A審査を産業界や一般市民に広く公開するといった案を提起しているそうです。ウー氏は、「巨大企業が市場を10年以上支配して変化の兆しもない場合、反トラスト法(独占禁止法)で企業分割すべき」と持論を展開しているそうです。

 ただ米最高裁判所の判事は保守派が多数を占めているため、まだ先を読み切れないが、競争政策の改革が始まる可能性を日本経済新聞は指摘しています。

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 中国でも、ハイテク企業への締め付けが強まり、金融サービスやインターネットプラットフォーム、そして多くの大手企業を支えるデータなどに対する規制を強化しようとしています。

 ブルームバーグによると、国外上場を目指すほぼ全ての企業は、サイバーセキュリティー審査を受けるよう義務付ける新たなルールが適用されることになりそうだといいます。

www.bloomberg.co.jp

 中国の富豪が自由に稼ぐことができた時代は今、突然の終わりを迎えているようにみえるとブルームバーグはいいます。 

中国政府が締め付けを強める動機はさまざまだが、その底流には、経済に大きな影響力を持つようになった富豪の力を抑えたいとの意向が見え隠れする。

指導部の考えに詳しい当局者によると、中国政府は自国の富豪が韓国財閥のように経済や政治に強い力を及ぼすのを防ぎたいと考えている。 (出所:ブルームバーグ

 

 

 米中で動機に違いがあるのかもしれないが、これまでの「独占」を許さずとの姿勢なのでしょうか。

「(アリババの)馬氏のような大富豪が臆することなくルールを曲げ、自分たちの企業の成長を促進し、国有銀行など既得権益層に挑戦できた時代は終わった」とブルームバーグはいいます。

 それがあったからこそ、今までは投資家ばかりでなく、消費者からも支持を得ていたのかもしれません。少しばかり気がかりなニュースです。

 国内では、減資する大企業が増え、中小企業の恩恵を受けようとする動きをニュースが伝えています。こちらの主な理由は、コロナ渦による売上減のようです。

www.sankei.com

 その一方で、昨年度の国の税収が60兆8000億円余りとなり、過去最高を更新したといいます。国内でも、色々なところで偏りがありそうです。

 世界に遅れることなく、国内の経済政策を総点検して、時代にあった経済のカタチに変えていく必要がありそうです。