政府が26日には、二酸化炭素の排出の「実質ゼロ」を表明するのではないかという。今まで先駆的な企業が「脱炭素」に取り組んできたことの影響もあるのだろうか。そんな企業のひとつにユニ・チャームがある。
CO2削減につながる紙おむつの水平リサイクル
そのユニ・チャームが22日、会見を開き、使用済み紙おむつの水平リサイクルについて公表したという。今まで、使用済み紙おむつは焼却処分されていた。
日本経済新聞によれば、ユニ・チャームが開発技術では、紙おむつを破砕し、そこからパルプ成分のみを取り出し、減菌処理し新品のパルプと同等の品質に戻すという。既に特許を取得済だという。
2030年までに国内10ヶ所以上のリサイクルできる生産拠点を建設、また、量産に向け、使用済み紙おむつを効率的に回収する仕組みを自治体とも連携、整備していくという。
日本経済新聞によると、再生紙おむつは22年に発売予定で、既存の「ムーニー」とは異なるブランドで販売、リサイクル商品であることを前面に打ち出すそうだ。価格は既存品と同程度に設定するという。
NHKによれば、ユニ・チャームの高原豪久社長は「消費者が共感できる価値観を発信することがメーカーに求められる今、リサイクルで価値を再生するというビジネスモデルを作り、広げていきたい」と述べたそうだ。
イオンはCO2排出ゼロの持続可能なプラスチックの利用を目指す
国内流通最大手のイオンもまた「サステナビリティ」に熱心に取り組み企業の一つだ。 そのイオンは9月末に、2030年までに使い捨てプラスチックの使用量を半減させること(2018年比)を発表したという。
その一環として、まずはPB(プライベートブランド)の商品パッケージを見直すという。リサイクルプラスチックスや紙など環境負荷の低い素材に切り替えていくようだ。また、PBのPETボトル商品も100%リサイクルまたはバイオマスプラスチックスに転換するという。
イオンによると、同社の使い捨てプラスチックの量は6.9万トンで、プラスチック製品に起因するCO2 排出量は約18.9万トンだという(2018年)。
レジ袋やラップ、トレーなどの容器包を含む資材がプラスチック総重量の8割を占めている。 (出所:オルタナ)
店頭で回収される廃プラスチックスなどが、PB商品に再利用されたりすることはあるのだろうか。
オルタナによると、イオンは、2050年までにCO2排出ゼロの持続可能なプラスチックの利用を目指しているという。今回の2030年までの目標はマイルストーン、中間目標ということなのだろうか。
イオンの環境・社会貢献担当の三宅香執行役が「目標値を立てることで、企業側の関係者の目線を揃えて取り組める。化石由来で使い捨てのプラスチックの使用をなくし、有効的に資源循環させる社会を目指していく」と語ったと日本食糧新聞が伝える。
イオンとウォルマート
イオンがみずほ銀行など取引先金融機関から一部を資本と見なせる「劣後ローン」で約600億円を調達することが分かったと日本経済新聞が報じる。
ポストコロナを見据えてのことか、調達した資金はネットスーパー事業の強化に充てるという。日本経済新聞によれば、23年からは英ネットスーパーのオカドと組み、ピックアップロボットの導入や人工知能(AI)を活用した配送ルートの策定などで首都圏向け配送網を拡充するという。また、需要が高まっているディスカウントストア(DS)事業もテコ入れし、店舗網を現在の約340店から25年までに500店に増やすという。
国内最大手、世界12位で8兆円の小売りとなれば、多様な顧客の要望にも応えていかなければならないのだろう。 しかし、一方で業界のリーダーとして「規範」となる行動を示していく必要もあろうし、消費者にもより良きメッセージを伝えていかなければならないだろう。
(資料:イオン「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定 )
世界最大の小売りウォルマートは、「リジェネラティブ・カンパニー (地球を再生する会社)」になるとの目標を掲げた。
米ウォルマートは、2040年の「ゼロエミッション」を目標のひとつにする。
イオンも「サステナビリティ」の先駆的な企業のひとつとして、そんなわかりやすく強いメッセージを出してくれるといいのかもしれない。
(資料:イオン「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定 )
コロナ禍において、安全や衛生への意識の高まりのみならず、大量に買って大量に廃棄することへの懸念や、リユース思考の高まりも含めた生活様式の見直しが確実に進んでいるように見受けられます。
そんな変化をサーキュラーエコノミーにうまくつなげられたらと考えています。ただ、これも弊社単独で実施していくのは難しいため、サプライチェーン全体での連携や官民連携が求められるでしょう。 (出所:Ideas for Good)
Ideas for Goodのインタビューに答えたイオン 環境・社会貢献部 鈴木隆博 部長の言葉だ。真面目過ぎるなと感じる。理解はできるが、「官民連携」と聞くと少々残念だと感じる。
世界12位の小売りであるイオンならもっとできることがあるのではないであろうか。
「参考文書」