政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言し、温暖化対策と自然保護の機運が高まればと願うのだが、社会が変化していくにはやはり長い時間をかけていくのが現実的なところのであろう。
昨年のCOP25では、それまでの石炭政策が皮肉られ化石賞まで頂いていた。そのころからすれば、ポジティブな変化が起きているのかもしれない。
海外のニュース記事を読んでみても、この宣言がインドでも報道されるし、マレーシアでは、この政策に見習うべきという解説記事も出たりしている。日本の国際的なプレゼンスの改善にもつながっていけばいいのかもしれない。
As Japanese Prime Minister Yoshihide Suga asserted recently: "Carbon neutrality itself is a growth strategy, and we must carry it out with all we have."
日本の菅義偉首相が最近主張したように、「カーボンニュートラル自体は成長戦略であり、私たちは私たちが持っているすべてでそれを実行しなければなりません」。 (出所:New Straits Times)
コカ・コーラが紙製ボトルのプロトタイプを発表
「製造販売されるすべてのパッケージが、使用後に収集されリサイクルされる世界、つまり廃棄物のない世界を想像してみてください」。
それが私たちの目標ですとコカ・コーラはいう。
そのコカ・コーラは、紙100%で作られたボトルを作ること目指しているという。紙製ボトルは、無駄のない世界を実現するのに役立つ革新的なパッケージング技術だと紹介する。
そして、最初の紙製ボトルのプロトタイプが完成した。
このプロトタイプはパブコの他3社の協力にて実現したという。
「2030年までに販売するすべてのボトルまたは缶を収集してリサイクルすると同時に、未使用の梱包材の使用を大幅に削減し、100%リサイクル可能な梱包材のみを使用することを目指しています」とコカ・コーラはいう。
しかし、まだプロトタイプは100%リサイクルできる状態にまで至っていないという。
「この第1世代の紙瓶のプロトタイプは、プラスチック製のクロージャーと内部にプラスチック製のライナーが付いた紙のシェルで構成されています。私たちが使用するプラスチックは、100%再生プラスチックでできており、使用後に再びリサイクルすることができます。しかし、私たちのビジョンは、他の紙と同じようにリサイクルできる紙瓶を作ることです。次のステップは、プラスチックライナーなしでボトルを作成するための解決策を見つけることです」とコカ・コーラは説明する。
そこにたどり着くには、イノベーション、さまざまなテクノロジーの探求、そしてパートナーシップとコラボレーションへの継続的な投資が必要ですという。
近い将来、この紙製のボトルが実用化し、店頭に並ぶその日が訪れることを期待したい。
海外のニュースに圧倒されるばかりである。国内にもこうした革新的なプロジェクトが増えて欲しい。社会にポジティブな変化が増えることで、そういう動きが生まれてくるだろうか。
プラスチックス素材メーカ 本気のサーキュラーエコノミー
国内はまだ大手企業頼みなのかなと思いながら日本経済新聞の記事を目を通す。
三菱ケミカル、サーキュラーエコノミーに熱心な会社のひとつだ。エレンマッカーサー財団が推進する「CE100」に参加する数少ない国内企業のひとつでもある。
その三菱ケミカルの和賀昌之社長に、日本経済新聞がインタビューする。
――「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に注力する狙いは何ですかと問われた和田社長はこう答える。
地球が危篤状態にあるなか、治療するための技術的なイノベーションを起こしたい。
(政府が掲げる)2030年にCO2を13年比26%削減をするためには石炭火力発電を止め、電気を使うのをやめ、基礎化学品のエチレン製造設備も止めれば達成できるかもしれない。
ただ、それでは社会の発展はなく、全く自慢にならない。 (出所:日本経済新聞)
日本経済新聞によれば、三菱ケミカルは環境対応の事業戦略を相次いで打ち出しているという。8月にはドイツで、炭素繊維のリサイクル事業者2社の事業を取得し、国内では、プラスチックの再資源化を手掛けるリファインバースにも約2億円を出資したという。
リファインバース、産業廃棄物のリサイクルを手掛けてきた会社に、三菱ケミカルのノウハウを融合させ、効率的なリサイクルや環境に配慮した素材の設計を目指すという。
よく耳にするニュースはいつも海外での出資話ばかりだった。 国内の企業に出資したと聞くと新鮮さを感じる。
使い終わった漁網から再生ナイロン作る
リファインバースのことは知らなかった。建設系廃棄物の収集運搬業から始まった企業が、再生樹脂製造事業を始め、ある会社から技術供与を受け、ナイロン樹脂のリサイクル事業に参入した。使い終わったのナイロン製の漁網を回収、リサイクルし、再生ナイロンを作るという。この取り組みの始まりは20年前に遡るという。
そして、今、再生ナイロン「リアミド」は、アパレル業界からの引き合いも増えているそうだ。アパレル資材商社のモリトジャパンと協業しアパレル向け資材で用途開発を進めているという 。
リファインバースは、日本財団が設立した「ALLIANCE FOR THE BLUE」に参加し、まずは仲間を増やしていこうということなのだろうか。
「ALLIANCE FOR THE BLUE」のキックオフミーティングに参加したリファインバースの常務取締役の言葉を日本財団が紹介する。
毎年約1万トンの魚網が海に捨てられていると言われ、その背景には廃却コストが年々上がっていることも影響していると考えられます。そこで私たちは、廃魚網を回収して再資源化することで廃却コストを削減し、資源を有効に使えないかと考えました。
魚網の原料にもプラスチックは使われていますが、プラスチックにも多種多様な素材があり、素材によって価値が大きく違う。経済合理性の面でリサイクルが難しいものも多く、生活者の価値観を変えるために訴えることや、法規制を変えていくことも課題の一つだと考えています。 (出所:日本財団)
海外では当たり前に使われるようになった再生ナイロンが、国内でも動き出す。引き合いも増えたことで原料ソースの拡大、多様化の必要性にも迫られるようになったという。
当社はこれまで、廃棄漁網およびエアバッグ工程端材を主要な原料として「リアミド」を製造販売してまいりましたが、今般、ナイロン製船舶係留用ロープについても弊社の開発したプロセスを用いてリサイクル可能であることを確認いたしました。
今後、ナイロン製船舶係留用ロープを新たな原料として「リアミド」事業をさらに拡大してまいります。 (出所:リファインバース)
(写真:リファインバース)
世界はひとつのつながっている 求められる国際協力
「7つの海という言い方を良くしますが、世界は一つの海でつながっているのです。海洋ごみ問題は、世界が抱える問題なのです」
と、日本財団の笹川会長が「ALLIANCE FOR THE BLUE」のキックオフミーティングの冒頭で話したという。
リファインバースにしろ、彼らが参加する「ALLIANCE FOR THE BLUE」にしろ、欧米の動きに比べると活動規模が小さいようにみえる。無暗にスケールアップする必要はないのかもしれないが、東南アジアの国々と協力することはできないのだろうか。多くのプラスチックスが東南アジアの国々から漏れ出ていると聞く。
国をまたいで協力することで、何か違った化学反応を起こり、活動が勢いづいたりしないだろうか。
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