米国が4日で、「パリ協定」から正式に離脱したことになったという。地球温暖化に懐疑的なトランプ大統領が昨年11月に国連に離脱を正式に通告、規定をもとに、1年後だった昨日で正式に離脱手続きが完了したようだ。
その米国では大統領選の開票が進むが、まだどちらが勝利するかわからないという。結構、隠れトランプが多いとのニュースを目にする。ラストベルト激戦州での結果が勝敗を左右することになるのだろうか。
ラストベルト
ラストベルト、「錆びついた工業地帯」。
4年前の大統領選で初めて「ラストベルト」という言葉を知った。
Wikipediaによれば、ボストンとワシントンを結ぶ、ボスウォッシュ回廊の西に始まり、そこから西方にウィスコンシン州東部までという。この領域の南はアパラチア山脈の炭田地帯であり、北は五大湖で、カナダのオンタリオ州の工業地帯を含み、その場所が故に製造業と重工業の中心となってきたとある。
資源である「石炭」はウエストバージニア州南部、テネシー州およびケンタッキー州やペンシルベニア州西部と北東部で産出された。(中略)「石炭」、「鉄鉱石」などの原材料は周りの地域から船に積まれて鉄鋼業の中心となったピッツバーグなどの都市に送られた。シンシナティは石炭産業の中心地として栄えた。シカゴ、クリーブランド、バッファロー、デトロイトおよびトレドは五大湖の主要港として栄え、鉄道で輸送可能な地域への中継点となった。 (出所:Wikipedia)
石炭産業に、鉄鋼業、さぞかし大量のGHG温室効果ガスを排出し続けてきたのだろう。
この地域が衰退した原因を、1960年代以降のグローバリゼーションと世界的自由貿易合意の拡大にあったとWikipediaは説明する。
1970年から1971年の不況に始まって、生産が国外に移転され合衆国内の製造職の数が減り始めた。国内の仕事はサービス産業に傾くようになり、また新しい種類の製造職が頭角を現してきた。アメリカの製造業の雇用数減退は北西部や中西部での工場の廃棄につながり、これを強調する「銹地帯」(ラストベルト)という別名が付いた (出所:Wikipedia)
古きものが衰退し新しいものにとって代わり、産業の新陳代謝が進む。それでも米国は成長し、豊かな消費生活を謳歌してきた。
4年前に大統領候補だったトランプ氏が声高に「Make America Great Again」だと叫び、人々の感情を揺るがしたのだろうか。この地帯を思えば、悲哀に満ちた感動的なストーリーが生まれそうな気になる。隠れトランプファンが多いのもわかるような気になる。あの時、「うまいな」と思ったりもした。
ラストベルトに焦点を合わせて選挙戦を展開したことはプラグマティズムのトランプ氏ならでの手法だったのかと思ったりする。そのストーリに乗っかれば、地球温暖化対策の「パリ協定」離脱に動くことも理解はできる。先鋭化し過ぎたプラグマティズムとの印象もある。
少し穏便な方向に変化があって欲しいが、一度根付いた社会的雰囲気を変えるにはもめごとも多くなるのだろうか。少しばかり心配しながら見守るしかない。
これまでの日本の石炭政策はどことなく米国の政策とタブってみえていた。政権が変わり、政策が変わった。米国でもそんな変化が起こるを期待したい。
どんな結果が待っているのだうか。暴動などが起きずに穏便に進むことを願うばかりだ。