再始動。ジョン・ケリー氏、オバマ時代の国務長官で、バイデン新政権の気候変動問題担当大統領特使を務めるという。
そのケリー氏が、G20の経済界サミットB20のバーチャルイベントに早速登場したという。世界の気候変動対策を強化し、化石燃料への依存度低下に向けた取り組みを加速させる必要性を訴えたとロイターが伝える。
ケリー氏は「石炭火力発電所に資金を拠出したり、石炭火力発電能力を拡大している国が一部である。単刀直入に言うと、汚染の原因となる選択肢からの脱却スピードを上げる必要がある」とした。
各国は石炭利用の段階的廃止や樹木被覆面積の拡大を現在の5倍のスピードで行い、再生可能エネルギーの導入は6倍、電気自動車への移行は22倍のペースで実施すべきだとした。 (出所:ロイター)
今年11月に英国グラスゴーで開催されるCOP26第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議について、「失敗は選択肢にない」と、ケリー氏が強調したという。
180°
過去4年間と180°、真逆な方向に走り始める米国。
ケリー氏は「4年間を無駄にした」と述べ、「謙虚な姿勢」で交渉に再び加わるとの立場を表明したとロイターが伝える。
地球温暖化の脅威を否定した前政権は、連邦政府所有地における石油・ガス・石炭の生産を最大化することを目指していたというが、バイデン新政権は、米国領土・領海における石油・ガス鉱区のリース権と掘削許可について、暫定的に停止したという。法的および政策面での影響を検討するためだとロイターはいう。
主張はファッションから
「ファッションは政治家にとって強烈な公式メッセージなのです」、「多様性や分断を超えた融合、新しい希望を作っていこうというバイデン政権の姿勢はファッションがもの語っています」
と話すのは、ファッションエディターの軍地彩弓さん、Business Insiderがその言葉を紹介する。
多様性
バイデン政権の多様性の象徴ともいえるカマラ・ハリス米副大統領、20日の就任式には、鮮やかな青紫色のドレスとコートを身に纏っていた。その服を手がけたのは、まだ少ない黒人の新人デザイナーのクリストファー・ジョン・ロジャーズ氏。
その装いには、女性や黒人などマイノリティーへのリスペクトをはじめ、「分断から連帯」への強い思いが込められているのかもしれない。 (出所:ハフポスト)
ハリス副大統領ばかりでなく、ミシェル・オバマ氏やヒラリー・クリントン氏、元大統領の夫人たちも紫を着用して就任式の臨んだという。
青に赤を混ぜると紫になるという。
青と赤は、民主、共和各党のそれぞれのシンボルカラー。誰の発案であったのだろうか。少しばかり気になる。
就任式のためにワシントン入りした19日、大統領夫人ジル・バイデン氏も、紫を選んでいたという。
アメリカン・ドリーム
バイデン大統領はラルフローレンのスーツだったという。
「ラルフローレンは アメリカン・トラッドをベースにしており、アメリカン・ドリームの象徴。アメリカの文化を象徴するナショナルブランドの誇りを体現するという、バイデン氏の意図もあるかと思います」
とは、前出、軍地氏の言葉をBusiness Insiderが伝える。
サスティナビリティ
ワシントン入りした19日の大統領夫人ジル・バイデン氏の服装は、マスクも含めて、ニューヨークを拠点とする若手デザイナーのジョナサン・コーエン氏が手掛けたとWWD Japanはいう。
コーエンはカリフォルニア州の出身で、自身のブランド「ジョナサン コーエン」を2011年に設立。
循環型ファッションに早くから取り組んでおり、19年には生地などをアップサイクルしたカプセルコレクションを発表している。
なお、バイデン夫人が着用したコートやワンピースは21-22年秋冬コレクションの一部で、マスクや裏地は以前のコレクションで余った布を再利用したものだという。 (出所:WWD Japan)
まだそれほど有名でない新進デザイナーの作品を選んだのは、コロナ禍で苦戦している若手のクリエイターを応援する意味があるのかもしれないとWWD Japanは指摘する。
「消費が選ぶ人の意思表示へと変わりつつある時代に、どんなブランド、どんなメーカーを選ぶかが、これまで以上に政治家にも問われています」と軍地氏はいう。
労働搾取や人種差別を経営者がするようなブランドを選べば大きな問題になる。 (出所:Business Insider)
融和
大統領就任式で自作の詩を朗読し、もう一人の「主役」になったのは、若き詩人アマンダ・ゴーマン氏22歳。
BBCによれば、米議会図書館でゴーマンさんが朗読する映像を見たジル・バイデンさんが、ゴーマンさんに就任式での詩の朗読を打診し実現したという。
彼女が朗読した詩にはこんな一文がある。
奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた、
やっせぽちの黒人の少女が大統領になりたいと夢見られる、
そして、気づいたら大統領のために詩を朗読していた
ゴーマンさんは、就任式のために書き下ろした自作の詩「The Hill We Climb」(私たちが登る丘)について、「アメリカの新章について、未来について、言葉の美しさとエレガンスを通じて表現したかった」と話しているとBBCは伝えた。
力と慈悲を融合させ、力と正義を融合させれば、
私たちは次世代に愛を残せようになり、
自分の子どもたちが生まれながら持つ権利を変えられる、
なので与えられた国よりも良い国を残そう
歳を重ねると涙腺がもろくなる。罵詈雑言に腹を立てていたことがどこか遠くに消え去るような気がする。
言葉には力があるのかもしれない。何となくでも、世界がよい方向に進むのかもしれないという気になる。
大統領就任式で紫に染まった多様性の国、米国が動き始めたようだ。