ロシア軍が去ったキーウ近郊の街には残虐行為の爪痕が残っていた。鉄くずと化した戦車が残り、路上には多くの屍が見つかったという。一斉に欧州各国が批判の声をあげる。脱ロシアが加速するのだろうか。
ロシア産天然ガスを禁輸にするバルト三国
バルト三国のリトアニアが早速ロシア産天然ガスの購入を止めるという。EU欧州連合内で初めてのことになるそうだ。
リトアニア、ロシア産ガス輸入を完全停止 EU初: 日本経済新聞
神奈川新聞によれば、リトアニアの大統領は「リトアニアに今月からロシア産ガスは存在しない。我々ができることは残りの欧州でも出来る」とツイッターで述べたという。
ロシア船への燃料補給をやめる
スペインやマルタなどでは、給油業者がロシア船籍の商船に対する燃料補給を取りやめたことが分かったという。ロシアの輸出には新たな打撃となるとロイターはいう。
エネルギー節約、石炭火力も
一方、欧州の一部の国では、国民にエネルギー消費節約を呼び掛けたという。ロシアからの天然ガス供給が途絶えることを想定しての事だろうか。
欧州、市民にエネルギー消費節約促す ロシア産ガス逼迫懸念で | ロイター
ロイターによれば、IEA 国際エネルギー機関はEU 欧州連合域内の全ての建物の設定温度を2度下げれば、200億立方メートルのガス節約につながると試算したという。
デンマークは石油消費量削減に向け、高速道路の速度制限を一時的に引き下げる案を検討している。(出所:ロイター)
英国では、今年9月に閉鎖予定であった石炭火力発電所の稼働延長などを検討しはじめているという。
ロシアへのエネルギー依存から脱却すべく、欧州で石炭火力発電が“復活”しようとしている | WIRED.jp
「各国政府がロシア産に代わるエネルギー源を探していることから、石炭火力発電が復活する可能性がある国は英国だけではない」と、wiredは指摘し、ルーマニア、チェコなどの名をあげる。
ロシアの化石燃料に依存しなければ、エネルギーは脅しの材料にはならなくなるのです。(出所:wired)
「短期的な対策として検討しなければならないのは、エネルギー需要を抑えること」、そうした考えもあるというが、意外にもグリーンピース・ドイツの気候とエネルギーの専門家は、こうした対策をもっても石炭の使用を考えなければならないと語っているという。
「ロシアから輸入している資源にあまりに依存しているので、使えるものはすべて使う必要があるでしょうね。このことからわたしたちは、天然ガスから石炭への移行も想定しています」
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「クリーンな石油もありませんし、クリーンな石炭もありません。ですが、ウクライナで戦争するプーチンの資金源になるよりはましでしょう」(出所:wired)
一時的に気候変動対策が停滞しても、ロシアへの制裁を優先させる。今ある惨劇を止めることが何にも勝って優先されるということであろうか。
石炭火力発電所の閉鎖を進める日本
JERA 東京電力ホールディングスと中部電力が出資する日本最大の発電会社が、保有する火力発電所9基を廃止したと発表したという。合計出力は原子力発電所4基分の出力に相当する383万3000キロワット。
JERA、火力発電9基廃止 老朽化で採算合わず: 日本経済新聞
日本経済新聞によれば、今年の夏22年7~9月の電力需給は安定供給の目安とされる3%を上回るものの依然として厳しい状況という。22年度の夏、冬も同じ状況が続きそうと指摘する。
一度決めるとそれに邁進するのが日本の強みなのだろうか。一方、ロシアによる戦争の影響は長引き、エネルギー危機ともなりかねないのではなかろうか。
これも最悪を想定しておくべきではなかろうか。熱中症リスクが高まる暑すぎる夏での停電は許されないはずである。