米国が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰した。大統領に就任したジョー・バイデン氏が大統領令に署名したという。
Welcome Back
マクロン仏大統領が、「お帰りなさい」とツイッターで歓迎したという。
To @JoeBiden and @KamalaHarris.
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) 2021年1月20日
Best wishes on this most significant day for the American people!
We are together.
We will be stronger to face the challenges of our time. Stronger to build our future. Stronger to protect our planet. Welcome back to the Paris Agreement!
マクロン大統領がツィートした「We are together」という言葉になぜか新鮮味を感じる。
何事も一直線に解決されることはない。反対論者を巻き込むために必要な時間だったということなのかもしれない。4年間、遠回りしただけのことなのだろう。
言葉の力
アメリカ第46代大統領ジョー・バイデン 78歳。歴代で最高齢の大統領だという。国内なら老害とささやかれそうな年齢だ。
大統領就任式なのかもしれないが、国民感情を逆なでするような言葉はなく、人々を鼓舞するポジティブな言葉たちがスピーチの中には満ち溢れる。
バイデン新大統領は、「歴史的な危機に直面する」今のアメリカで、白人至上主義や国内テロと対峙すると約束した上で、「お互いを敵ではなく隣人として扱い」、「今からやり直しましょう」と呼びかけた。 (出所:BBC)
新大統領はさらに、「uncivil war」を終わらせなくてはならないと強調した。
「civil war」は英語で「内戦」やアメリカの南北戦争を意味するほか、「civil」には「礼儀正しい、礼節ある」などの意味もあり、「uncivil」はその反対を意味する。
「私たちは、民主主義と真実に対する攻撃に直面している」と述べ、「真実を守り、うそを打倒する責務が私たちにある」、「恐怖ではなく希望の、分断ではなく団結の、暗闇ではなく光の、アメリカの物語を一緒に書いていきましょう」と語った。 (出所:BBC)
大統領の涙
大統領就任式の前日、バイデン氏が地元デラウェア州の亡き息子の名を冠した州兵基地で演説し途中涙を拭い、自らの生涯の終わりについても言及したという。
「感極まって申し訳ない」と言って少し間を置き、落ち着きを取り戻すと、「だが私が死ぬとき、デラウェアは私の心に刻まれるだろう」と述べた。 (出所:AFP BB NEWS)
AFPは、世界で最も強大な国のかじを取ろうとする大統領としては異例なことだという。その涙は決意と信念の表れなのだろうか。
セカンド・ジェントルマン
カマラ・ハリス氏56歳。アメリカ初の女性副大統領で、アメリカ初の黒人副大統領、そして、アメリカ初のアジア系の副大統領になった。
夫のダグラス・エムホフ氏は、初の「セカンド・ジェントルマン」と呼ばれることになるという。
バイデン大統領は昨日のデラウエアでの演説でカマラ・ハリス氏にも言及、「物事は変わらないとは言わないでほしい。物事は変えられるし、変わるんだ」と述べ、「それがアメリカだ。それがデラウェアだ」と話したとAFPは伝える。
異例尽くし
バイデン新大統領の就任初日の主な行動の一部をブルームバーグが紹介する。
地球温暖化対策の国際的な取り決めであるパリ協定への復帰や世界保健機関(WHO)との関係改善、対メキシコ国境の壁建設の停止など少なくとも15の大統領令を発令する見通し。
このほか「キーストーンXL」パイプラインの建設許可取り消しや、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策として連邦政府の施設・敷地内におけるマスク着用義務化、中東・アフリカなどのイスラム圏を対象とした入国禁止措置の解除などでも大統領令に署名する意向だ。 (出所:ブルームバーグ)
迷走、こうして眺めてみると、前の4年間はずいぶんと異例過ぎる変化があったということなのだろう。
ブルームバーグによれば、大統領就任式を取り仕切った共和党のブラント上院議員は「われわれがここで何をするか、世界中の人々が見ており、見ることになる。今は分断ではなく、結束の時だ」と語ったという。
その通りなのだろう。
前の4年間もそうであったし、それで世界がぎくしゃくしてしまったのだから。
世界が結束し、コロナや気候変動に立ち向かうとの姿勢が強まれば、違った展開も始まると期待したい。
覚醒
アメリカ国歌を熱唱するレーディ・ガガさんの姿を見て、アメリカの覚醒のように感じた。
ひとつの時代がようやく終わったようだ。しばらくすれば、彼の名も忘れされているのかもしれない。
Lady Gaga sings the US national anthem at the inauguration ceremony for Joe Biden and Kamala Harrishttps://t.co/rkHtZRRNH2 pic.twitter.com/GVvXy1QJ1d
— BBC News (World) (@BBCWorld) 2021年1月20日
大統領就任式が終われば、実務が始まる。今はコロナが世界最大の関心事なのだろう。
「国内感染、4週間で27万人超に 米グーグルのAIが大幅増を予測」と共同通信が報じる。少しばかり気になる。
東洋経済オンラインがまとめデータでも、右肩下がりだった傾向が横ばいに転じている。
早く収束して欲しいし、そうした確乎たる姿勢が世界的な流れとなって欲しい。