米国で、バイオ経済が好調といいます。食品における代替肉を筆頭に、バイオプラスチックス、コンクリート、衣類など、ありとあらゆる分野のバイオ製品が、続々と市場進出しているといいます。これらを支えるため、バイデン大統領が「全米バイオテクノロジー・バイオマニュファクチャリング・イニシアチブ」の創設を宣言するといいます。
米国GDPの5%を占めるバイオ経済、バイデン政権が成長戦略を策定 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
米国政府の内部では、植物、微生物、その他の生物を利用した製造業は将来有望であり、さらに、国内製造業の再活性化と、二酸化炭素排出削減という2つの重要課題とも親和性が高いという認識が浸透しつつあるようだ。(出所:Forbes)
バイオエコノミーがこれからの成長戦略ということのようです。ポテンシャルの高さが認められたということなのでしょうか。もうそろそろデジタル一辺倒から抜け出るべきなのでしょう。
ユーグレナ社のSAF持続可能な航空燃料が国産で初めて、成田空港の給油ハイドラントシステムに導入されたことが決まったといいます。初回の搬入は9月16に実施され、顧客からの発注に応じて順次搬入を進めていくといいます。
ユーグレナによれば、同社のSAF「サステオ」は、原料に使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)から抽出されたユーグレナ油脂等を使用されているといいます。
この燃料は燃焼段階ではCO2を排出しますが、ユーグレナなど原材料が植物で、成長過程で光合成によってCO2を吸収するため、燃料を使用した際のCO2の排出量が実質ゼロとなり、カーボンニュートラルの実現に貢献するといいます。
成田空港の給油設備への導入が決まったからといえ、本格的に航空機に使用されるまでにはさらに数年の年月を要することになるそうです。
国産SAF初 成田空港の給油ハイドラントシステムに ユーグレナ社のSAF「サステオ」を導入 | 株式会社ユーグレナ
新しい産業が興るということはこういうことなのでしょう。
これまでの化石燃料が廃れていき、それと同時にバイオ燃料への転換が進み、成長産業になっていく。脱炭素にしろ、バイオエコノミーにしろ、一朝一夕にできることではないのでしょう。
一方、国は、二酸化炭素と水素で製造する合成燃料「e-fuel(イーフューエル)」の実用化に向けた検討を進めているといいます。2040年までに商用化し、50年までに価格をガソリン以下にすることを目指しているといいます。自動車、航空機、船舶で利用することを想定しているそうです。
合成燃料、官民で検討加速 脱炭素へ40年までに商用化―経産省:時事ドットコム
イーフューエルは「人工的な原油」とも呼ばれる液体燃料。工場などで排出されたCO2と、再生可能エネルギーを利用して生成した水素を合成して造る。ガソリンなどに代わる脱炭素燃料として期待されるが、1リットル当たり300~700円程度とされる製造コストの高さが課題となっている。(出所:JIJI.com)
「ミドリムシで空を飛ぶ」というキャッチーな言葉を聞いてから15年近く経ちます。日本のバイオエコノミーの幕開けだったのかもれしませんが、その実現にはまだまだ解決しなければならない課題があるということなのでしょう。
ウクライナ危機によって生じた配合飼料の価格高騰に、SAFの世界的な拡大の影響があるといいます。原料がかぶれば、奪い合いが起きます。こうしたことも課題なのでしょう。
こういうことからしても、バイオエコノミーが成長戦略として扱われるべきということなのかもしれません。
「参考文書」
「国産SAF」初の成田空港に導入。注目の理由…ユーグレナ「どんどん供給していきたい」 | Business Insider Japan