Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

「REGENERATION(再生)」マーケティングの父コトラー氏が推奨する「共通善」という概念

 マーケティング活動花盛り、データドリブン データの利活用が求められ、SNSやデジタル広告、情報メディアを通じて様々な情報が日々更新される情報過多な社会。それに大きく影響を与えてきたのが、「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏といわれます。今なお多くの企業が彼の提案するフレームワークを戦略立案に活用しているといいます。

 そのコトラー氏の書籍『REGENERATION』では、不安定な世界で企業が成長を続けるには、リーダーは、社会全体の幸福や健康度を高める「コモングッド(共通善)」を追求すべきだと主張しています。

 

 

残念ながら国内総生産GDP)は共通善が増加したかどうかを測るものではありません。GDPの上昇は、国がより多くの財やサービスを生産したことを意味するだけです。生産される財すべてが良いものではありません。また共通善の概念は人によって異なります。だからこそ社会はより多くの人々が幸せになり充実感を得て健康になったかを測る必要があります。(出所:日経ビジネス

フィリップ・コトラー氏「経営者はコモングッドを追求せよ」:日経ビジネス電子版

「共通善」、人々が安全に屋外で過ごせるように公園としてより多くの土地を国が整備すれば、多くの人々の健康度が向上する、こういうものだといいます。こうした社会全体の幸福度や健康度が高まるような取り組みは、政策や行動としても優れていると見なされているといいます。

 気候変動や社会の不安定化など、危機が永続する「パーマクライシス」の世界において、企業は「再生(Regeneration)」の実践に焦点を移し、地球と社会を搾取するのではなく、再生させることを目指すべきだと訴えています。

 

 

 もしかしてこれまでの行き過ぎたマーケティング活動が搾取を助長することになってしまったとの反省があるからなのでしょうか。コトラー氏は今、競争や利益の追求に偏った既存の資本主義モデルからの脱却を促し、社会全体の幸福を第一に考える「再生」を強調しています。

この「共通善」の再生は、「個人」(自身の価値観、幸福、目的意識を育む)、「コミュニティ」(地域社会や文化、家族とのつながりを再生する)、「仕事」(企業活動や働き方を通じて価値を創造する)、「国家」(統治、法律、インフラなど、政治的・構造的な世界を改善する)、「地球」(生態系や気候変動など、地球規模の問題に取り組む)の5つの世界を通じて統合的に実現されるといいます。より良い未来を「再生」していくための能動的な取り組みといいます。

 これまで彼が推奨してきたマーケティング3.0、4.0、5.0と同様に、ビジネス界、政治においても取り入れるべき概念ではないでしょうか。 

 

 地球温暖化の問題が指摘されています。この夏の猛暑を経験すると、先々気候変動が深刻化し、さらにひどい夏になっていくのではないかと心配になります。

 気候変動についての研究も進み、様々な要因が指摘されるようになりました。

温暖化和らげる海に異変 酸性化・プラごみでCO2蓄えにくく - 日本経済新聞

 海の異常で二酸化炭素をためる働きが弱まって温暖化が加速する恐れがあるといいます。複数の科学研究が、人間の活動が原因で海水が酸性化したり、マイクロプラスチックが増えたりすると、海の機能が損なわれる可能性があると指摘しているといいます。

 

 

 世界陸上が東京で開催されています。9月開催にしたにもかかわらず、この猛暑で、過酷な現実を突きつけているといいます。

「史上最も暑い夏」の世界陸上・東京大会、9月開催でも過酷な現実 - 日本経済新聞

  これまでのマーケティングと同様にコトラー氏が提唱する「REGENERATION」の概念を理解して、温暖化、気候変動の問題に対処すべきときなのかもしれません。

 

「参考文書」

海水温が史上最高を更新、地球環境に厳しい影響 - BBCニュース