Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【カーボンプライシング】噛み合わない環境省と経産省、企業はどっちを向くか

 

 二酸化炭素の排出に課金する炭素税や排出量取引など「カーボンプライシング(CP)」についての議論が進んでいます。前向きな環境省と、経済活動への悪影響を懸念する経済産業省との間で齟齬があるようです。

 国の「カーボンプライシングに関する有識者検討会」が、「カーボン・クレジット市場」の創設検討を中間報告に盛り込むことを目指していると日本経済新聞が報じています。

www.nikkei.com

 それによると、経団連は「政府が排出上限の規制をかけることなく、企業の自主的な取引を活性化させることが重要だ」との意見を出したそうです。CO2の排出が多い、鉄鋼、電力業界の意見がもとになっているのでしょうか。

 

 経産省は「クレジット市場」への企業の参加を任意としているといいます。経団連の意見を聞き入れたのでしょうか。CO2削減の実効性が課題となると日本経済新聞は指摘します。

新市場は、排出量の実質ゼロを目標に掲げる大企業などの参加を見込む。

排出削減で先行する企業は売り手として収益を得られる。自社の削減計画の達成が難しい企業が買い手になることを想定する。 (出所:日本経済新聞

 一方、環境省は企業に削減義務を課す規制の導入を目指しているといいます。社会全体として脱炭素に向かう推進力とするのが狙いのようです。

 何事も、できないと感じたことは、実現するのは難しいといいます。「できない」を基準に論理展開されれば、「できる」との結論を得ることはありません。常に導き出されるのは、「できない」言い訳です。できないと考える人を説得することは並大抵の努力ではかないません。

 互いが納得できる妥協点を見いだせるのでしょうか。鶴の一声が必要なときもあるのでしょう。

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「脱炭素」、2050年のカーボンニュートラルを目指す企業がカーボン・プライシングに反対する理由があるのでしょうか。

 自社に不都合なものを社会全体の負担に変えようとする論理には無理があるように感じます。
「脱炭素」が既に国際社会の大きな流れになっている中で、それに抗えば、競争力を失するばかりで得るものは何もないはずです。

 表面では「カーボンニュートラル」を謳いながら、その裏側では別な他のことを考えているようでは先行きが思いやられます。そんな悪しき習慣を断ち切る機会なのではないでしょうか。このチャンスを逃すようであれば、競争力の復活も、GDPの成長も期待できそうにもありません。 

 

 

 東京電力ホールディングスの新会長に三菱ケミカルの小林喜光氏が就任しました。

 かつての小林氏には「サスティナビリティ」とのイメージがあります。もうだいぶ前のことですが。そのイメージからすると、会長就任に期待したいなと感じたりします。

小林にとって持続可能性の象徴の一つが「脱原発」である

僕は放射線化学を専攻したから怖いんだよ。やはり制御できない。時間軸は必要だが、今までの延長線上でもの考えるのはやめるべきだろう」。

小林は自然エネルギーを選択し、最終的にCO2をエネルギーに変える光合成の事業化を目指している。それは研究員時代に挫折したC1化学への再挑戦であり、放射線化学と隣接する「光」への回帰でもある。

それにしても、三菱グループには原発の恩恵に浴する企業が少なくない。にもかかわらず、の脱原発伊藤忠商事会長の小林栄三が言う。「言葉と腹の中が一緒。計算して発言している感じはないよね」。 (出所:東洋経済オンライン 2012年の記事)

toyokeizai.net

 小林氏の東電会長就任には賛否両論があるようです。どんなに優秀な人でも得手不得手があるのでしょう。

 これからの脱炭素を占う意味でも、東電の動向が気になります。以前の小林氏だったら、当然環境省の意見に従って、カーボンプライシング導入に積極的なアクションを取るようなると思われます。

 ただ、人の「志」には変節があるのかもしれません.....

www.nikkei.com

 

「参考文書」
biz-journal.jp