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【脱プラ】EUで使い捨てプラ食器類の消費削減、市場流通規制などが始まる

 

 EU 欧州連合で、プラスチック製の使い捨て食器や食品容器の市場流通を禁止する新規則が施行されました。

 共同通信によれば、禁止対象は外食産業の使い捨てスプーンやストロー、皿など海岸を汚す上位10品目を選んだそうです。

nordot.app

 欧州委員会は海洋ごみの80%がプラごみと推定し、この新規則の実施で欧州の海岸を汚すごみが70%減ると推計していると共同通信が伝えます。

 もう少し詳しく確認してみることにします。

 

 

 JETROによりますと、EU各加盟国が2019年7月に発効したEU指令「特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令」を国内法制化することで、7月3日から指令の一部適用が開始されるといいます。 

適用が開始されるのは、次の9種の使い捨てプラスチック製品とオキソ分解性プラスチック製の全製品の市場流通禁止措置

綿棒の軸、風船棒

皿、ストロー、マドラー、

カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン、箸)

発砲スチロール製食品容器

発泡スチロール製飲料容器(含:キャップ、ふた)

発砲スチロール製飲料用カップ(含:カバー、ふた) (出所:JETRO

eur-lex.europa.eu

 指令は特定の使い捨てプラスチック製品について、消費削減や市場流通規制、製品設計、ラベル、拡大製品者責任などに関するさまざまな措置の制定を加盟国に求めるものとJETROは解説しています。

 また、適用開始に先立ち欧州委員会は6月に、ガイドラインを発表しました。

Commission notice
Commission guidelines on single-use plastic products in accordance with Directive (EU)
2019/904 of the European Parliament and of the Council of 5 June 2019 on the reduction
of the impact of certain plastic products on the environment

 このガイドラインは法的拘束力を持つものではないようですが、指令に含まれる「プラスチック」や「使い捨て」などに関する定義や、市場流通が禁止される9種の使い捨てプラスチック製品の定義、その定義によって入る製品を例示しています。

 オキソ分解性プラスチック製の製品に関しては、使い捨てのものに限定せず、また生分解性かを問わず、全て指令の対象となることも明記しているそうです。

www.jetro.go.jp

 飲料用カップ、生理用品、ウェットティッシュ、フィルター付きたばこ製品など特定の使い捨てプラスチック製品に対するプラスチックの含有情報や廃棄物管理方法などに関するラベル表示の義務化も7月3日に開始されるといいます。

 

 

 EU指令を確認してみると、次のことを指摘します。

 海洋ごみを減らすことは、持続可能な開発のために海洋、海、海洋資源を保護し、SDGs国連の持続可能な開発目標の#14を達成するための重要な行動ですとその意義を強調します。

 EUの調査によると、海外で確認された海洋ごみの80〜85%がプラスチックスであり、使い捨てのプラスチック製品が50%を占めているといいます。また、漁業関連の製品が全体の27%を占めているそうです。

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 使い捨てプラスチック製品は、提供される目的からして一度使用された後、廃棄され、リサイクルされることはめったになく、ごみになりやすいといいます。また、市場に出回っている漁具のかなりの部分は、処理のために集められていないそうです。

 海洋ごみの状況は深刻な問題で、海洋生態系、生物多様性、そればかりでなく、観光、漁業、海運などに深刻なリスクをもたらしていると指摘します。

 欧州プラスチック戦略の目的は、2030年までに、EU市場に投入されたすべてのプラスチックパッケージを再利用可能または簡単にリサイクルできるようにすることです。

 しかし、これらの対策が海洋ごみに与える影響は十分ではないとも言います。

 

 

 EUは環境意識が高く、日本より先行しているとのイメージがあります。しかし、EU指令を確認してみると、同じように海洋ごみの問題を抱え、その対処に苦労していることを窺い知ることができます。

 欧州企業の様々な先駆的な取組がありますが、それもほんのごく一部で、実態を改善するには至らず、状況は深刻のままのように感じます。

 EUは対象物を禁止し、日本では有料化との措置をとります。EUはまたパッケージにラベルを貼り付け、ポイ捨てや不適切な処理の防止に役立てようとしています。

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(画像:EU ウェットティッシュの例)

  有料化すると、そちらに目が奪われ、時に不毛な議論に発展します。必要に応じて、禁止という措置があってもよいのではないでしょうか。選挙受けするような施策ばかりでは、本質的な解決につながらないのではないかと感じたりもします。